第3話 勉強
なかなか話がまとまらない気がします。
三年後・・・。
無事(?)に赤ちゃんライフを終えて、屋敷内限定ではあるが自由行動できるようになった。
もちろん魔力の鍛錬は一日も欠かしていないので魔力量・操作共に成長している。
三歳の誕生日にアニスがケネス専属のメイドになり、日々の世話から将来に向けての勉強を教えてもらっている。
最初のころは文字が読めなかったが、三歳児の力かそれともアニスの教え方がいいのか約一か月ほどで読み方を、さらに一か月後には書き方をマスターできて、今はこの国の歴史の勉強をしているところである。
アニスから教えてもらう内容とは別に定期的にカスミからの定期報告が念話で伝えられてくるので簡単にまとめるとこんな感じだ。
まずこの国の名前はヴェンドラント王国いい、建国が約400年ほどで今の王様で16代目になるそうだ。
元々はこの平原にある小国の一つであったが、ある時突然現れた英雄的な冒険者を王族に迎えたことにより、状況は一変し周辺の小国をまとめ上げて今の王国の土台を成しているという。
ホラント辺境伯家の領地は王国の西側に位置し、領都は「ケムルト」といい重厚な城砦が目を引く。
辺境伯領の西南部には魔物が多く生息する通称魔の森が広がり、北西部には三千メートル級の山脈が聳え立ち人間の侵入を阻んでいる。
そして、西に進むと仮想敵国、いや王国と敵対しているユーダリル帝国との国境で大規模な砦が築かれており、その場所をめぐって過去何度も戦争を行ってきた。
そのために辺境伯家は王国常備軍とは別に独自の軍を編成して、森からの魔物を王国内に入れないように駆逐したり、帝国が進行してきた際先陣を切ったりするのが主な役割である。
またヴェンドラント王国には王族から始まり、公爵・侯爵・辺境伯・伯爵・子爵・男爵・騎士爵となっており、辺境伯は上位貴族に分類されている。
宗教はミーミル教というのが一般的であり、 隣国のミーミル教国が本山を有している。ミーミル教国は、各国の教会に司教などを派遣し、そこで得られるお布施や寄付などで成り立っている。
貴族の子供は、5歳の時に教会で洗礼を受けるが、ステータスなどはほとんどの人がこの時に初めて知る。
有力なスキルを持つ子供はどの国でも欲しがるので、あまり家族以外に公言しないほうがいいみたいだ。
「ケネス様もあと二年すれば、洗礼ですね。いったい同様なスキルをお持ちなのか楽しみです」
「・・・そうだね」
ちなみにアニスのステータスはこんな感じ。
名前:アニス
種族:人族 年齢:22歳 性別:女
能力:A-
レベル43
体力:2580/2580
魔力:897/897
スキル:双剣術LV6 短剣術LV4 風魔法LV3 生活魔法 家事LV5 料理LV5 礼儀作法LV5
称号:スタンピードを超えし者
スキルにはLVが存在する、剣術スキルを例に挙げるとこうなる。
1~2は初心者又は駆け出し
3~4は一般クラス
5~6は隊長格や師範代
7~8はベテランや剣聖
9~10は剣神等の神クラス
となっている。
大体が3~4と考えるとアニスはかなり有能な人材だ。
次に称号に目を向けると詳細が表示される。
スタンピードを超えし者:一度に多数の魔物と戦闘を行ったものへ与えられる称号
一対多数の戦闘時ステータスアップ
確か4年前にもスタンピードは起こったのだが、父に率いられた討伐軍により王国の援軍が来る前に片づけたみたいだ。
当時アニスは父と共に先陣を共にして、その縁でホラント家に就職し今に至る。
この時にステータス見るために神眼スキルは使っていない。
もちろん神眼スキルで見ることはできるが、ステータスはある一定の信頼や愛情などがあればその相手にのみ見せることができる。
この世界においてスキルなどをさらすことは自身の戦術などを相手に教えるということになるので、全く知らない相手に教えることはまずない。
貴族ならなおさらである、常に探り合いをしている彼らにとって、ステータスを見せるのは家にとっても大きなマイナスにしかならないのである。よってもし見せた又は見たのなら機密保持のために止む無く結婚させることもあるようだ。本人たちにしてみれば願ってもないことなのだろう。
このことからアニスはケネスのことを信頼していることになる。
「ケネス様、一旦ここまでにしましょうか?もうすぐお昼ですし」
「もうそんな時間か、早いな」
「それだけ集中していたということです。では、昼食をお持ちしますね」
アニスがケネスの昼食を取りに部屋を出ると。
「御屋形様、失礼します」
「カスミか、どうした?」
「はっ、定期報告に伺いました」
「・・・何か、あったのか」
「はい、異常とはまだ言いませんが魔の森で魔物が少しづつ増えてきています」
「・・・スタンピードか?」
「仮にスタンピードであってもあと数年はかかるかと」
「わかった。監視を続けてくれ、あとできれば間引きもお願いしたい」
「わかりました。では」
報告を終えるとカスミは一瞬で気配を消した。
それと同時にアニスが戻ってくる。
「お待たせしました、ケネス様」
「ありがとう。アニス」
ケネスに昼食を渡すとアニスは部屋の中をジっと見つめる。
まるで何かを探すように、やがてあきらめたのか勉強に使った道具を片付けていく。
「そういえば、アニス。午後は何を勉強するんだ?いつもなら、ここまでだけど」
「本日から、魔法学についてお教えしようかと」
「やった。ついに魔法か!」
「本来でしたら、教会で洗礼を終えて属性を確かめてから行いますが基礎としまして、魔力を感じることから始めようと」
「わかった。どうすればいいの?」
「まずは・・・」
三年前からケネスは魔力制御などの鍛錬をしているが、目立つことを避けようと初めてのように授業を受けていく。
しかし、段々と羽目を外していき一般的には一年はかかるであろう内容を一か月で終えてしまいアニスに驚かれてしまう。
報告を受けた両親は、母は息子の優秀さに微笑み、父は目頭を押さえていた。
そんなことがありながらも年月は過ぎていき、ついに洗礼を受ける日となる。
これからもよろしくお願いします。
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