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第10話 下準備と初戦闘

 早く本格的な戦闘がしたいです。

でもここも大事な部分です。

 ホーリークローバーは主にヨーロッパ地方で栽培されている植物。

特にイギリスでは、家畜の飼料用・土壌の改良、そして極上のはちみつが採取されることから「植物界のロールスロイス」と言われているほど有用な植物である。

 ただ雑草を生やして放牧地にするよりもずっといいし、刈り取って乾燥させれば冬の間の家畜の餌を確保出来るのも選んだ理由の一つだ。


 「この植物を放牧地で育てることにより、土地の回復・家畜の飼料の確保・設備があれば最高級のはちみつが確保できます」

 「そんなすごい物なんですかい!!こんな草が」

 「確かに、そうですね。知識としてはありますがここまでとは思いませんでした」

 「さてと、理由を話したので探しに行きましょう。ついでに魔物を狩れればなお良しです」

 「分かりやした。では、近くの森に行きましょう。そこなら草も多いし、魔物もそこまで強いのはいませんから丁度いいでしょう」

 「ええ、行きましょう」

 「お供します。ケネス様」


 俺たちはそのまま近くの森へと入っていく。

装備に関してはロウは自前のがあるし、俺とイゼルナは創造魔法で創った物を持っている。

素材は二人ともミスリルで製作し、イゼルナには剣と小盾を俺は長剣を用意した。

 森の中はまだ昼前のはずなのに少し薄暗く、視界は悪い。

だが、神眼に含まれているスキル「マップ」によってどこにいるのかがわかるので問題は無い。

 入り口付近には、ただの雑草しかないので奥へと向かう。

そして・・・

 

 「坊、どうやら魔物が来たようで」

 「らしいな」

 「一応確認ですが。大丈夫ですか?なんなら手を貸しやしょうか?」

 「平気だ。イゼルナもいるし、ロウは周囲の警戒を頼む」


 そんなことを話していると、森の奥からそれは姿を現す。


 「ぎゃあ、ぎゃぎゃぎゃ」


 緑の体にケネスを同じくらいの背丈で腰巻を身に着けている魔物「ゴブリン」だ。

それに三匹も居り、顔は同じで違いがあるとすれば前衛の一匹は剣を後衛の二匹は槍を持っている。だが、どこかふらついている。

 それでも、三匹は武器を構えて突っ込んできた。

 まず剣を持ったやつが大きく振りかぶって来たので横にかわす。

振り下ろされたゴブリンの両腕を下から上に切り上げると得物を持ったまま空を舞った。

 仲間が切られて焦ったのか、一匹のゴブリンが槍を突き上げるが速度は遅い。

刃のない場所を左手で掴むとそのまま槍にそって剣を走らせていき、相手の首を落とす。


 「ふぅ~~~、後は」

 「せいっ!」


 もう一匹の方を見るとイゼルナがとどめを刺しているところだった。

恐らく盾で相手の槍を弾き、続けて攻撃したのだろう。流れるような動作が彼女の能力の高さを証明している。

 そんなことを思いながら、最初に腕を切り飛ばしたゴブリンにとどめを刺しておく。


 「これで・・・終わりっと」

 「こちらもです。主」

 「・・・初めての実践にしちゃあ出来過ぎな気もしやすが、安心しやした」

 「まあ、ゴブリンにやられるような鍛え方はしてないよ」

 「まあそうですが油断は禁物ですよ、坊。後は倒したゴブリンの右耳と魔石を回収してから燃やします」

 「わかった」


 討伐証明の右耳と魔石を回収すると土魔法で穴を掘り、そこにゴブリンを放り込み燃やしておく。

そのままにすると他の魔物がやってくることもあるし、最悪の場合ゾンビ化してしまうことがあるのでやった方が良い。

 初の戦闘を終えて、目標の一つを達成したことで幸先は上々である。

後は目的の植物があることを祈るばかりだが、その前に。


 「なあロウ、ゴブリンの使っていた武器はどうしているんだ?」

 「ああそれは捨てておいていいですよ」

 「なんで?使えそうな感じがするんだが」

 「まあそうなんですが、試しに振ってみてくらせい」


 ゴブリンが使っていた槍を持ってみると、彼が渋る理由がわかる。

二本を見比べても長さがあっていないし、刃もそこまで切れるわけでもない。

 なによりも以前持ってみた鉄の槍よりも重いということに加えて。


 「ふっ!」


 持っていた槍を木に向かって突き出すと当てた瞬間に中ほどから曲がってしまった。

加減すれば使えなくはないが、これよりも鉄の槍を使っていた方がはるかにいい。

 剣もまた同様に切れ味が悪く、曲がりやすく、強度も低い。


 「・・・ロウが渋い顔をするわけだ。武器として問題があり過ぎる!」

 「だからいったじゃないすか、捨てておいた方が良いと」

 「・・・いや、持って帰ろう」

 「?!マジっすか!」


 俺の言葉が信じられないのか驚きの声が森に響くが正直やめて欲しい。

声につられて魔物が寄ってくるから。


 「確かにこのままじゃ使えない。でも素材としてはかなり質がいい」

 「はい?素材ですかい?」

 「ああ、これを鋳つぶして打ち直せば中々の物ができると思うよ」

 「そんなこと考えもしませんよ、普通は」

 

 あきれたように俺を見る彼を尻目に戦利品をアイテムボックスにしまい込んでいく。

今回は三匹しか倒していないので少ないが後々集めればいい。

 新たな目的を作りつつ、俺たちは森の奥へと進んでいく。

そうして、広場のような場所に出るとそこは辺り一面にホーリークローバーが群生していた。


 「おお、ようやく見つけた!!」

 「主、これがホーリークローバーですか?」

 「そうだ、イゼルナ、ロウ。今から刈り働きを行います」

 「マジっすか!こんなところに来て刈り働きとかありえね!!」

 「文句言わない。ほらキリきりやる」

 「へいへい」


 文句を言いつつもホーリークローバーを刈り取っていくロウに続くように俺たちも作業を始める。

 しばらくすると群生地の半分ほどを狩り終わったので休憩をすることにした。


 「で、これをどうするんですかい?坊」

 「待って。創造スキル「錬金術LV10」・・・修得完了」

 「錬金術:下位変換 発動」


 積み上げられたホーリークローバーの元に錬金術用の魔方陣が展開された。

素材となった物は魔方陣の光と共に消えて後に残されたのは大量の種子である。

 優に麻の大袋一袋分はあるだろう、これを輪作式と合わせれば種は雪だるま式に数は増やせる。

ひとまずは当面の量は確保できたことは確実である。

 今日の目的が終わったので帰ろうと、振り返るとイゼルナとロウの二人があきれ顔をしていた。


 「坊、今のは何ですかい?」

 「?錬金術、知らない?」

 「それは知ってはいますが、坊はそのスキルを持っていなかったはずでしょう」

 「そうだね。だから創った」

 「さすがは主様です!ですが、安全のために自重はしてください」


 誇らしくしてくれるイゼルナから誉め言葉と同時にクギを刺されてしまった。

しかし、将来のスローライフの為にも衣・食・住は充実させたいから自重はしない。

 麻袋一杯の種をアイテムボックスにしまうと、帰り支度を始める。


 「必要な物も手に入ったし帰ろうか?」

 「そうしましょ、そうしましょ。帰って酒を飲みたいので」

 「今からなら、お夕食には十分間に合いますね」

 「飲み過ぎるなよ、ロウ」


 歩いてきた道を戻り、領都「ケムルト」へと歩いていく。











 その夜。


 「父さまっ!お願いがありますっ!」

 「どうした?ケネス。そんなに慌てて」

 

 俺は夕食を終えると、カインのいる執務室にやって来た。

そこで、ホーリークローバーを使った新しい農法を試してみたいから許可を貰いに来たのである。

  

 「だが、ケネス。いかに有用な農法があったとしてもこの方法はまだ実績がない。よってケムルトとの畑は貸すことはできない」

 「そんなっ!」

 「ケネス、このやり方は自信があるんだな?」

 「もちろんです!必ず、収穫高を上げて見せます!」

 「なら、それを証明して見せてくれ」

 「どうやってですか?」

 「ケルムトの畑は、我が辺境伯家の生命線だ。安易に貸し出すことはできないが、他の場所ならいいだろう」

 「では、どこならいいのですか?」

 「先ほどの方法は、収穫高が低下している土地に有効なのだな。ケネス」

 「ええ、欲を言えば牛か馬がいる村がいいですね。あと近くに森があればなお」

 「そうか・・・なら、ここだな」


 カインが机に地図を広げ、一点を指さす。

そこは辺境伯領の北側に位置している農村であった。


 「では、この村でなら試していいと」

 「そうだ、昔はこの村もかなりの収穫量を誇っていたがここしばらくは芳しくない。だから、ここで試してみる価値はあると思う」

 「この村には、鍛冶屋はありますか?」

 「確か、あったはずだ。近くに川も流れているから大丈夫だろう」

 「わかりました。準備ができ次第行かせてもらいます。父さま」

 「待て。お前ひとりで行かせられん。イゼルナとロウも連れて行きなさい」

 「イゼルナはともかくなぜ、ロウも?」

 「お前の突拍子もない行動についていけるのはこの二人だけだ」


 何を言っているんだと言わんばかりの顔で、ため息を吐く父を見て俺は返事に困っていた。

 カインから村を一つ借りてから一週間後、必要な物をアイテムボックスに仕舞い準備を整えていく。

 ニーナ母様にこのことを話した時、ひどく泣かれたがしばらくすると頑張って来なさいと背中を押してくれた。

 イゼルナはどこへでもついていくと答え、ロウは久々の休暇だと喜んでいた。

 俺は父さまが用意してくれた移動用の馬車に乗り込み、目的の村へと向かうために領都を後にした。

 身を切る寒さもあと少し終わりを告げようとしていた。











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