第一章 石と出会いと 【第8話:面妖な世界】
「こ、こんなに狭いのか、、、俺が泊まって大丈夫か?」
「大丈夫だ。適当に座ってくれ。布団用意するわ」
忙しなく動き回る春人を尻目にバルトは腰を下ろす。
周りをキョロキョロと見渡してみるが
どれもこれもみたことのない不思議なものばかりで、、、
「あ、寝る前にお前風呂入れ」
「風呂だと?!まさか備え付けてあるのか?!」
「左の扉の先だ。使い方を教えてやる。ちょっと来い」
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「面妖な、、、」
何もかもが不思議だったが
こんなに狭い部屋に完備される風呂
湯が簡単に出てくるし、髪や体を洗う洗剤の泡立ち方の良さ。香りもよい。
何よりも
(お湯は自由に使ってくれ。日本は水が豊富だから、そこそこ安いんだ、、、)
体を洗うためにこんなに大量の水が使えるなどと思いもしなかった。
「ふむ、、、これは金貨の価値があるな」
言われた通りに体を洗ってから湯船に浸かり
一息つきながらゆっくりと暖まった
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「なにを、、、している?」
風呂から上がると春人がバルトの服についていた装飾を取り外している
「おう、あがったか。これ洗うからお前とりあえずそれ着てろ。俺のだからサイズが合うか分からんがな。あ、パンツは新品だから安心しろ」
指を指した先に、畳まれている服がある
「洗う?!春人がか?!今からか?!」
「この世界の『科学技術』をご覧あれ、ってとこかねー」
【箱】に服を押し込み、なんやら音を立てている
「これの中に入れて操作すると、自動的に洗っといてくれるのさ」
そういうと、その箱はガタガタと震えだす
「おおっ?!」
「よーし、オーケーだ。夜も遅いし、また明日考えようぜー。」
春人がふらふらして壁に手をつく度に上の明かりが一つ一つ消える。
「あ、あかりが、、、」
「明日教えるからー、、、早く着ろよ。布団それな」
飄々とする春人を尻目に、バルトは小声で呟く
「、、、もしかしなくても俺はとんでもない世界に来たのではないだろうか?」