第一章 石と出会いと 【第7話:招待】
「どうしたもんかな、、、」
帰れないことに落ち込むバルトをみながら、春人は考える。
この世界の常識や知識がないコイツを放置したらどうなるのか。いろんな意味で問題になりそうだ。
『コスプレ』ではないのだから、服はないだろう。身分証明もできない。パスポートなんてもっての他だ。
勿論日本で使える通貨は持ってない可能性も高い。
まぁ、所々金っぽい装飾の服だから金には困らなそうだが、、、
「バルト、お前の国の金は持ってるのか?金貨とか銀貨ならこの国の通貨となんとか換金できるかもしれん」
「金貨と銀貨なら何枚か、、、」
「よし、当面はなんとかなるだろう、、、」
「金よりどうやれば帰れるのか。それをどうにかして、、、だな、、、」
落ち込んだまま返事をするバルトを尻目に、一先ずの心配が無くなって、今後をどうするか考える。
(思うことはひとつある、、、)
マナがない、とバルトが言った手前、魔法とやらの期待はできないだろう。
それでも、昔から『神通力』なんてものや『奇跡』なんて言葉があるくらいだ
もしかしたら、違うエネルギーがあるかもしれない。
「古代のオーパーツ、、、ってのをこっちの世界でも探す、くらいしかないか」
それが聞こえた途端、ガバッとバルトが顔を上げ、椅子を倒して立ち上がる
「それだ!!オーパーツ!!それさえあれば!!」
「まてまて、慌てるな。そもそもどこにあるかの検討すらつかんだろう」
バルトは頭を抱えながら隣の椅子に座り直す
「ああ、、、そうか、、、検討もつかないか、、、」
「まぁ、調べてみるしかないわな、、、どうせ身分証明もないだろうし、うちに来い。狭いけどな。」
「すまない、、、たすかるよ」
うつむいたまま返事をするバルトを尻目に店員に声をかけ、春人は精算を頼んだ。