第一章 石と出会いと 【第4話:自己紹介】
「良いのかい?憲兵につきださなくて」
バルトが暴漢から財布らしきものを回収している青年に声をかけると
青年は慌てたようにバルトに返事をする
「ば、バカをいうな!ここまでやって警察なんか呼んでみろ!俺らが逮捕されるわ!」
「バカな!殺したならまだしも無力化しただけだぞ?!」
「お前の国ならそうかもだが、この国の司法はくそなんだよ!」
そういうと乱れていた服を整えた後、気を失っている暴漢にトドメとばかりに蹴りをいれる
「くそがッ!」
「おいおい、止めとけ。もう無力化したんだから」
何度か蹴りを入れていた青年がふぅ、と一息を入れると
バルトの方を見ながら
「よし、さっさと逃げるぞ!!」
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「いやー、ほんと助かったよ。よりによって今日は金を入れてたからな」
適当な店に入って席に座ると、青年はバルトに礼を言う
「お礼にご馳走させてくれ。っても居酒屋だけどな。ビールでいいかい?」
周りの明るさに驚きつつ、青年の声に耳を傾ける
「お、おお。馳走になろう、、、」
「馳走ってwww まぁ、ガイジンならそういう言い方を習うか。にしても日本語うめぇな、兄ちゃん」
「はーい、ビールになりまーす」
「うっし、それじゃあ乾杯!」
あっという間に運ばれてきた飲み物を青年から受け取り乾杯に応じて、一口飲む
「おお、冷えててうまいな、、、これはラガーか」
「オタクの国じゃビールって呼ばないのか?どこの国から来たんだよ」
笑いつつ、ふと青年はバルトを見ながら思い出したかのように真面目な顔をした
「礼を言うことで頭が一杯になってた。自己紹介を忘れてたな」
じっと顔をみた後、頭を下げながら青年が自己紹介をする
「俺は高内春人。ハルって呼んでくれ」
「おっと、丁寧にすまない。俺はバルト。バルト=イル=エヴォル、、だ。よろしく。」