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神に魅入られた少年と異世界の日常 作者:櫻 紅葉

第一章 ~ 第一節『深層世界』~

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プロローグ

※2017/9/24修正
※2017/12/17修正

「……」
「心配するな。すぐ帰ってくる」

 少年は目の前の今にも泣きそうな少女の頭を優しく撫でる。

「妾は何時まででも待ってるぞ。寿命は長いからな。それは御主もであろう?」
「でも……もし……戻ってこれなかったら……」
「……悪いが、何と言われようが戻らないといけないんだ」
「何故そんなに……ずっと此方に居ればいいじゃないですか……」
「ふむ、妾も理由は気になるな」
「理由、は……」

 2人の問いに対して、少年は何かを言おうとしたが、口を閉じた後、左手で口を覆い視線を少し2人から外す。

「なんだ?その理由は言いづらいものなのか?」
「いや……別に」
「妾の目は誤魔化せぬぞ」
「……そうですね。貴方様のその仕草は何かを誤魔化している時ものですから」

 少年の様子に、少女の横に居た女性はニヤニヤとした笑みを少年に向け、先程まで泣きそうな表情をしていた少女もくすりと笑った。

「……そうか、無意識だったな」

 少年は「はぁ……」と小さく溜め息を吐いて、口を覆っていた手でそのまま目元を覆う。

「それで、理由は何なのだ?」
「……大切な奴等が居るんだ」
「それは、私達よりも……ですか?」

 少女は泣くのを我慢し、少年の目をじっと見て尋ねる。

「……ごめん」
「……そう……ですか」

 少女は少年の答えを聞き、暗い表情で俯く。

「此奴は、大切な者はすべて守る。そう言う奴だ。……これまでもそうであったようにな。心配することはない。違うか?」
「……そうですね」

 女性が少女の肩に手を添えながらそう言うと、少女も顔を上げ女性と少年を交互に見ながらそう言った。

「まぁ、そうだな。お前等の事を放って置くつもりも毛頭ない」

 少年の答えに女性は悪戯な笑みを浮かべる。

「そういえば、御主往復できるだけの魔力はあるのか?」
「あぁ。取り敢えずは、な。……俺としてはもう少し欲しいところだが」
「もう少し欲しいと言うことは…御主にはまだ伸びがあるのか」
「一応」
「全く、御主は何処までイレギュラーな存在になるのだ? まぁそれは兎も角として……本当にあ奴等には知らせなくて良かったのか?」

 少年の答えに呆れた表情をした女性だったが、その表情を真剣なものに変え少年にそう尋ねる。

「あぁ。彼奴等には2人から伝えてくれ」
「分かった。伝えておこう」
「……本当に……戻って来て下さるのですね?」
「必ず」

 不安げな表情で尋ねた少女に、少年は少女の目を見つめ返事をする。

「……分かりました。貴方様が帰るその時まで、私達は城を守り待っています」
「妾達に任せるが良い」
「……頼んだ」

 少年のその言葉に引き締まった表情で頷く2人。

「じゃあ、行ってくる」
「はい」
「さっさと行って、さっさと戻って来い」

 少年は笑顔で見送る少女と女性の頭を撫でると、床に書いてあった魔方陣の中心へ移動する。
 暫くすると魔方陣が光り始めた。

「またな」
「行ってらっしゃいませ」
「行ってくるが良い」

 見送られた少年は光に包まれながら消え、先程まで光を放っていた魔方陣も消えた。



「……許せ」

 暫くして、少女もその場を去った後、誰も居なくなったその部屋で、女性は誰にも聴こえぬ声でそう呟くのだった。


 ◇


「……ん」

 眩しさに目を開く。

 少年が辺りを見回すと真っ白な空間。そして、周りに人が倒れている。30人程だろうか。

(どこだ此処)

 そんな思いを抱きながら、少年は現状を整理する。

(何もないな……)

 少年は台座に目を向ける。なにか乗ってる訳でもない。ただの台座のようだ。

(それにしても、妙に明るい……)

 眩しさに目を覚ましたが、この部屋ライトがある訳ではない。部屋の白さで異様な眩しさが生じているのだ。

(はぁ、いったいなんなんだ……)

 心のなかで溜め息吐いた少年は、何故この現状に至るのか思い返すのだった。

 ◇

「………ん…」

 カーテンから除く太陽の眩しさで目を覚ます。

(眠い…)

 そう思い、まだ半開きの目を閉じようとしたが――

御空(みそら)ー! 何時まで寝てるの! 早く起きなさい! 今日入学式でしょー!」

 母の声に叩き起こされる。

「早く起きないと朝食とる時間無くなるわよ。それに、待ち合わせしてるんでしょ!」

(……入学式……待ち合わせ……そうだった)

 御空は、まだ冴えないていない頭を働かせて学校へ向かう準備をする。母に急かされながら朝食を取っていると

 ピンポーン

 迎えが来た。

(あかね)ちゃん青治(せいじ)君いつもごめんなさい。もう少しだと思うんだけど……」
「大丈夫です!まだ遅刻する時間じゃないですから」
「そうですよ、いつもの事だし、気にしないで下さい」

 洗面所で身なりを整える御空。

(高校生か……)

 身支度をしながら、自身の新品の制服姿を見て呆けていると

「御空、早くしなさい。2人が迎えに来てくれてるのよ!」

 母の声で現実に引き戻される。
 急いで玄関に向かった御空は、母に見送られ家を出た。

「待たせた。ごめん」
「まぁ、いつもの事だし気にすんなって」
「9年間も一緒だからもう慣れっこだしね」

 御空、青治、茜の3人は家が近く、幼稚園の頃から一緒の、属に言う幼馴染みだ。
 日常的な会話をしながら15分程歩くと、学校に着いた。3人が今日から通う学校はかなり大きな高校だ。今年の1年生は10クラスあるらしい。
 御空達が中庭に張り出されている紙でクラスを確認すると、御空と青治は5組、茜は6組だった。

「御空は5組か。俺と一緒だな。茜は6組だけど隣のクラスだし、良かったな」
「そうだね。同じじゃないのは残念だけど、10クラスあって隣だっただけラッキーかな。……それより、さっきから視線を感じるんだけど……」

 茜はそっと少し離れた所に居る男子に目を向ける。

(あぁ、それは……)
「2人のせいだろ」

 御空の幼馴染み2人は、属に言うイケメンと美少女だ。
 青治は爽やか系だが優しさのあるイケメン顔をしている。髪は短めに切り揃えてられていて清潔感がある。何より高身長だ。180cm弱ある。そして、運動神経が良い。だからきっと、学校が始まったら更に騒がれるだろう。
 茜は綺麗というよりは可愛い感じだ。柔らかさを感じる綺麗な茶髪をポニーテールにしている。身長は大体158cmくらいでスタイルが良い。中学の時は可愛い顔に反してたまに容赦ない所が、ギャップ萌えとやらでモテていた。

(……先教室行くか)

 御空がそんな事を考えていると、

「ちょっとっ。その発言、聞き捨てならないよ? 2人のせい(・・・・・)ではないでしょっ!」
「そうだぞ。お前のせいでもあるんだぞ」
「……」

 心当たりの無い御空は無言になる。

「お前なぁ……」
「ほんと……」
「……何の話だ」
「「はぁぁ……」」

 2人曰く、御空も小中とモテていたらしい。実は、御空も青治とは違う系統だが、青治に負けず劣らずのイケメンなのだ。
 身長は青治より低いものの、175cmはある。御空は、少し長めの黒髪に、猫目でクールな印象を与える。そして特徴的なのが、御空の瞳の色は紺色だ。生まれつき紺色の瞳は、光を受けると鮮やかな蒼色に変わる。その蒼さが、御空のクールな印象を与える端整な顔立ちを引き立てる、そうだ。――御空ファン談

(何故俺は溜め息を吐かれているんだ?)

 これらの事について、本人は全く自覚なしだ。よって、女子の好意にも気付かない。というよりは、青治曰く「興味ない」そうだ。その為、告白したら、した方が傷付くことを見計らった幼馴染み2人が、御空への告白を止めていたらしい。それが、本人が好かれている事を知らない理由だ。

「ほんとに……」
「お前って奴は……」

 中学の時はファンクラブもあったらしい。勿論、本人は全く知らない。

「教室いかないのか」
「うぅん……まぁ、いいっかぁ」
「そうだな……言っても無駄な気がしてきた。それにそろそろ入学式始まるしな」
「そうだね、行こっか」


 そして、入学式の席順が書かれた紙を貰い入学式に出た3人は、入学式後、自分達の教室で自己紹介や、始業式後の指導を受け、学校での1日を終えた。因みに、御空は青治と席が隣になった。青治の苗字は浅葱(あさぎ)で御空の苗字は鴉羽(からすば)だから近いとは思っていたが。もし仮に、茜も同じクラスだったら白百合(しらゆり)だから近かっただろう。
 その後、御空は青治と一緒に隣のクラスの茜を回収し、学校を出た。因みに、茜を回収しに行った時、御空や青治が、茜の周りに居た女子と目が合い、目が合った女子が頬を染めていたりするが、御空はそんなことは気付いていない。
 その後、3人で昼食をとり、新学期必要な物を揃える為に買い物へ行った。そして「次いでに……」と、茜の買い物に付き合わされたり、茜が行きたいと言ったカフェに連れていかれたりしたのだった。



 家に着いたのは夕方だった。学校が終わったのは午前中だったから、かなりの時間連れ回されていたのだ。

(はぁ、疲れたな……まぁ、必要な物も揃ったし良いか)

 そんなこんなで、家に帰った御空は、夕食をとったり明日必要な物を準備したりして、1日を終えた。

(10時か……)

 「特にすることもない」と判断した御空は眠りに就いたのだった。


 ◇


(……特に何もない)

 思い返したが現状に至る原因は全くわからなかった。
 御空が周囲を見渡すと、20人程が目を覚ましていた。御空が回想してる間に目を覚ましていたらしい。
 皆、混乱している様子だ。
 そして、御空の横でも声がした。

「……んぁ?」

(この声……)

 御空が「何処かで聞いた声だな」と思いながら、その声がした方へ目を向けると

「青治」
「うぉっ! 御空! お前なんでっ!」
「俺にも分からない。というか、声が大きい煩い」
「ご、ごめん。驚いて声がでかくなっちまった……」

(……青治が居るってことはもしかして――居た)

 御空は小さく溜め息を吐く。

(幸せそうに寝てるな……)
「青治、茜」
「えっ、茜? ――あ」

 茜は青治の隣で寝ていた。すやすやと幸せそうに眠っている。

「茜ー、起きろー」
「……んん?……ここどこー?」
「ごめん。それは俺にも御空にも分かんないんだ」

 茜を起こしている間に全員が目覚め、それぞれが様々な感情を露にしている中、台座が白く輝いた。
 そして、白いワンピースに柔らかくウェーブがかかった金色の髪、好き通った緑色の目をした女性が現れた。

(人間じゃない……)

 直感的にそう感じた御空は、警戒しながら周りと同じように台座上の女性に注目する。
 そして、その女性は口を開く。

「私の名はアージェント。アージェとお呼びください。そして私は、女神と呼ばれるものです」
お読みいただきありがとうございました。
とりあえずプロローグでした。
登場人物の名前が読みにくいですが、ちょっとした関連性があります。これから続々と登場人物も増えていくと思うので是見つけてみて下さい。

感想、レビューよろしくお願いします。
次回更新は未定です。できるだけ早く更新できるようにしたいと思っています。
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