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世界の期限  作者: 夜霧
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1ヶ月以内に世界は消滅します♪

「もしあと1ヶ月で世界が終わるとしたらあなたは何をしますか?」


ある日唐突に日本全国に流れたコエ。

テレビやラジオ、携帯電話、パソコン、情報を発信するもの全てがそのコエに乗っ取られた。電子的に作られたものではない、でも男か女かもわからない、不思議なコエ。

そしてコエはどこか楽しそうにこう続けたんだ。


「そんなことはないとお思いのあなた。残念ですが1ヶ月以内に世界は100%消滅します♪」

「さあ皆さん、残された時間を有意義に使いましょう。」


そう言い放つとコエは消え、すべての日常が戻ってきた。


しかし、日本だけではなく、このコエは同時に世界中に配信されていたのだ。世界中が騒然となった。

メディアはこぞってこの出来事を取り上げ、ネットでは色々な憶測が飛びかう。国際的なハッカー組織のしわざだとか、はたまた神のお告げだとか、1ヶ月以内は具体的にいつかだとか、世間の話題はそれ一色になっていた。

不思議なことに、政治家は誰もこの出来事について発言しようとはしなかた。意見を求められると、全員が『調査中だ』を貫くその異様な様が、噂をいっそう増長させていた。


そんな中、事態が一変する出来事が起こる。

一週間ほど経ったとき、なんと世界各国のトップが一往にコエについての会見を開いたのだ。ここ日本でも首相の会見が全国生放送された。


「皆さん、落ち着いて聞いてください。今世間を騒がせている、1ヶ月以内に世界が終わる、という配信のことです。これは、つまり世界が滅亡するというのは、非常に残念ですが、事実です。」


眉間にシワを寄せ、かすれ声でマイクに向かう首相の憔悴しきっま様子は、事態の重さを物語っていた。


「何故そのようなことが!」「根拠は!」と、どよめくマスコミ。首相は言葉を選ぶように、しばらく沈黙すると、こう続けた。


「これは、避けようのないことなのです。どういう風にか、それは明らかになっていません。1ヶ月以内のいつなのかも、すみません、わからないのです。」


首相の言葉に、怒号のような記者達の質問、というよりほぼ罵声が飛びかう。その喧騒を遮るかのように、


「しかし!世界がなくなってしまう、これは事実なのです!国民の皆様にはこの事実を受け入れ、その時まで日本国民の誇りを持ち、残りの時間を大切に過ごしていただきたい!」


と首相は声を張り上げた。


「力不足をお許しください、、、」


最後に深々と頭を下げると、興奮する記者達の怒号から逃げるように首相は袖へ捌けた。


世界各国でも、言葉は違えど、ほとんど同じような内容で会見は開かれ、世界中の人々はパニックに陥った。それはそうだ。世界が無くなるなど、にわかに信じがたい話である。噂話や話のたねとして、話題になっていたそれが、国のトップが肯定したことによって、一気に現実的になったのだ。



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