2 憂鬱な朝とノンビリ弓道部
暑い・・・
クーラーと扇風機の前から動きたくない・・・・・・。
_(:3」∠)_
テッテレッテ〜♪テッテレッテレッテッテ〜〜♪♪
ソウイン!キショウ!!
灰色の空の下をラッパの軽快な音色が大音量で鳴り響いた
ここは、私立大山農業高校の男子寮
今日もいつもと変わらない朝が来た。
農高生達の朝は早い、しかし今日の朝の目覚めは最悪だった。
「フ、ファ〜ア・・・。
もう朝か・・・。」
神納はアクビをしてそう呟き、ベットから降りようとした時、
ドガッ
「ッンー!!!!」
突然、足に激痛が走り神納は悶えた。
彼の足に激痛を与えたのは昨日借りてきた古式銃を入れたケースだった。
「誰だよ、こんな所に置いた奴・・・・・
・・・・・・あっ俺か」
「うるせーよ、神納もう少し寝かせろよ・・・・ふぁ〜〜」
「いや、もう朝だぞお前も起きろよ沢木」
寮のベットは二段ベットとなっている
神納のベット上からひょこっと顔を出したのは丸刈りのいかにも野球部な生徒、園芸科の沢木信二であった。
沢木は同室の他の生徒達が寝ているベットを見た
「アレ…?みんな何処行った?」
そう呟き時計を確認
・・・・・・時刻は、8時を回ろうとしていた。
「やべぇ!!朝飯が!!!食堂閉まっぞ!!!!」
沢木はベットから飛び下りた
「おい、沢木ちょっと・・・・・・」
神納は声を駆けようとしたが沢木は持ち前の脚力をフルに使い食堂へと駆けていった。
「…………今日は、土曜だから食堂休みなんだが……
………まぁいいか」
その後、顔を真っ赤にした沢木が神納に対し野球ボールを豪速球で投げ付けてくるのであった。
*****
・・・・大山農業高校文化祭
警察・自衛隊等の装備品、公的備品製造する
国内最大手企業大山コーポレーションが運営を行っている私立高校である大山農業高校で毎年秋に行われる文化祭である
大山農業高校・・・・
この学校は、県南東部の内海に突き出た
この『瀬津半島』約250ヘクタールの内、8割がこの学校の敷地である。
毎年、春と秋に収穫祭を実施するが当然、その規模は桁が違う。
一例として、学校の祭りなのだが花火が上がる
しかし花火は生徒の手作りで製作から打ち上げまでを生徒が行っている
(※もっとも、地元の花火師と警察の指導の元である)
また、学校が公的機関に関係しているため毎年、収穫祭や文化祭・体育祭等のイベントにも警察や自衛隊そして消防の装備品が持ち込まれている
そして文化祭、
昨年は航空自衛隊のブルーインパルスを呼び編隊飛行を行い
今年は、近くの警察署や自衛隊の駐屯地より
パトカー、ジープ、トラック、装甲車が来る事になっている
・・・・話が逸れたが
この学校の大規模さ故にイベントで催しをする物をする各部活動には毎年催し物10万円づつ支給されるのである。
イベントにて準備する物や期限等は特に規定は無い。
文化祭を明日に控えたこの日
ある部活動は、まだ準備が出来てなかったのである。
「で、部長私たちは今年何するんですか?」
髪の毛をツインテールにして弓道着を着た少女は目の前に居る黒髪で髪をセミロングにしたジャージ姿の女子に尋ねた。
「・・・・・・。」
ジャージを着た女子生徒は、額に汗を出して沈黙
「はぁ〜、やっぱ無いんですか・・・・。」
とツインテールの少女は溜め息を吐いた。
ここは、体育館裏にある弓道部の練習場所である弓道道場
海が一望出来る好立地なのだが校舎や寮より何分遠くにある為、部員以外は余り近付く事は無い。
「先輩何かやりましょうよ〜!!」
とツインテールの女子生徒蒼野龍美は弓道場の床に座り声を挙げた
「そうは言ってもねぇ・・・蒼野ちゃん弓道場の場所考えてみて私たち以外でこの付近に来るっていったら射撃部かアーチェリー部だよ?」
セミロングにジャージの女子生徒、赤城茜は、淡々と現実を告げた。
「うぅ赤城部長いくらなんでも・・・・
藤野先輩〜どうします?」
蒼野は後ろを振り返り矢道で草むしりをしている茶色い作業服を着て眼鏡を架けた小太りの男子生徒に声を掛けた。
「おいおいそれ僕に聞くの?」
先輩と呼ばれた彼、藤野康志は目の前に後輩二人を見た
「そうですよ!文化祭で出し物するのに何か良いアイディア無いですか!?」
蒼野にそう言われ藤野は、考えた
昨年の事、というか大山農高弓道部の文化祭定番の出し物
水着(海パン)でひたすら的に射こみ練習・・・・・
・・・・弓道部の部員は体のスタイルは普段の練習の成果なのか痩せすぎずかといって太すぎず筋肉も適度にある非常にバランスがとれた体つきではある。
もっとも、それは自分は除いての事だ自分はどうあがいてもデブなのだ。
筋肉にしても、
まぁ・・・無い
あるといったら腹のぜい肉・・・・・・
弓は引きが13㎏と比較的軽い物なのだ
海パンで弓を引き
そして離す
揺れるぜい肉
吸い込まれる様に地面に刺さる矢
・・・・・・。
なにか無性に腹立たしくありむなしくなってきた・・・・。
「はぁ・・・・・。」
「先輩なにため息ついているんですか?」
気付けば目の前には、蒼野と顔があった。
「いや!何でも無いよ・・・・」
思わず顔を反らし同時に想像した。
こいつらの水着姿・・・・・。
顔が熱くなる感覚が何故か妙に恥ずかしい。
「顔青くしたり赤くしたり相変わらず先輩は面白いですね」
そんな様子を見ていた赤城は、クスクスと笑うのであった。