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黒谷ヤマメになっても、私は元気です  作者: 土蜘蛛
黒谷ヤマメとして、幻想入り
14/15

14話「襲撃と覚悟」

初めて山の外の景色を見た。私の知らない幻想郷。

ある方向には血のように真っ赤な館。

またある方向には密集した竹林が目立つ。

「確か神社はこっち」

案内をするキスメが小高い山の方を指差す。

「何かあいまいだね」

「だって、地上に出るのは3年ぶりだもん」

「3年前は何の為に出たの?」

「地上がどんだけ変わったのか見るため。

前より好戦的な妖怪の気配が増えて長居はしたくないね」

「それなら、急いで行こうか」

「そうだね、私は早く一杯やりたいよ」

「怖かったら、目をつぶってた方がいいよ」

「えっ、ちょっと」

ヤマメは千尋を背中におぶると、空に飛び出した。

「飛んでる!何で!?」

「落ち着いて。私達妖怪だからこういうことができるの」

「寒っ、地上で飛ぶのは嫌だわ」

強風が全身に吹きつけ、彼女達の髪をなびかせ、服をはためかせる。

「確かに寒いけど、私は嫌じゃないかな」

きっと、鳥はいつもこんな景色を見ているとヤマメは思った。

妖怪も、動物も空から見ればミニチュアのように見える。

「キスメ、あの白い妖怪って何?」

一面の緑に明らかに動物でない白い何かがいる。

キスメが目を凝らして見るとぴくりと眉を動かした。

「あれをあんまり見ない方がいいよ」

「何で?」

ヤマメと千尋が口を揃えて言う。

「ずっと見てたら気が狂って死ぬから」

キスメがそう言った瞬間、ヤマメは彼方の方へ急加速した。

「あらら、待ってよ」


博麗神社の小高い山の近くまで、ヤマメ達はたどりついた。

「思ったより近かったね」

「本当は割りと遠いよ?空を飛べばあっという間だけど」

「あの、ちょっと休みませんか…?」

千尋がか細い声でヤマメとキスメに呼びかける。

「そうだね、まだ時間はあるし休もうか」

できるだけ見晴らしの良い所で3人は手ごろな岩に腰をかけた。

「あまり長く休めないよ、不意打ちされたらたまったもんじゃないし」

「私が見張っておくよ」

「…今更だけど、千尋は運が良かったね、ヤマメが

来てなかったらそこらの虫に食い殺されてたよ」

「ひぃ…地底って怖いですね」

「ふふ、最初に出合った妖怪がヤマメで良かったね」

キスメと千尋が会話してる間にヤマメは何気なく空を見上げた。

その時、ヤマメは異変に気がついた。

空色に映える紫の点。点はだんだんと大きくなっている。

彼女の第六感が警鐘を鳴らす。

「二人とも、逃げよ!」

何事かと呆気に取られる千尋の背中を左手、

両膝を右手で抱き上げ、駆け出した。

千尋が頬を真っ赤に染める。

「お姫様抱っことは大胆だねぇ」

「ほっといて!」

ヤマメ達がいた所に何か降りてきたようだ。

ヤマメが後ろを振り返き、何かの姿を見る。

皮膚がただれ、骨が一部露出した異形の紫の馬。

上に騎乗しているのは武者が着ける大鎧をまとった骸骨だ。

彼は両手で古びた大砲のようなものを抱え、

こちらに敵意を放っている。

「おの…れ妖怪…よくも御館様を…殺すべし…」

言葉は途切れ途切れだが低い声で骸骨は喋った。

「…どうやら、妖怪を怨んでいる人間のようだね。今は化物だけど」

「何とか、戦いは避けられないかな?」

「無理でしょ、さっき飛んでたし、馬に乗ってるし」

「相手は弾幕勝負とかする気はなさそうだから……ヤマメ、覚悟はいい?」

神妙な顔でキスメはヤマメに問う。

「…うん」

怖いけど、私は逃げない。戦って、千尋を元の世界に帰す!

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