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黒谷ヤマメになっても、私は元気です  作者: 土蜘蛛
黒谷ヤマメとして、幻想入り
12/15

12話「外から来た人間」

外来人、幻想郷の外の世界からやってくる人間のこと。

幻想郷にはない文明、知識をもっている。

私が前に読んだ本で知ったこと。

イスで眠っていたヤマメは軽く伸びをした。

そうだ、昨日の子は大丈夫かな?

ベッドの方に目を向けると体を起こしたその子と目が合った。

数秒の間が空き、

「ど…どちら様ですか?」

最初に口を開いたのは少女の方だった。

ヤマメは彼女のそばに寄り、小さな声で話しかける。

「私は黒谷ヤマメ、あなたは?」

「入江千尋です」

「ヤマメさん、その、ここは一体何処なんですか?」

「信じられないと思うけど、今から話す事を落ち着いて聞いてね、」

ヤマメは彼女にできるだけ簡潔に、ここが幻想郷という世界だという事を伝えた。

「そんな…私はもう元の世界に戻れないんですか?」

「そんなことは無いと思うんだけど…」

「ヤマメー入るぞー!」

「お邪魔するよー」

二人の会話の間に威勢の良い声が割り込んできた。

「お、もう起きてるじゃないか」

千尋は突然の二人の介入にヤマメにすがりついている。

「ヤマメにすっかりなついているね」

「違うよ、キスメ」

「冗談なのに真に受けちゃって、ヤマメは素直すぎるよ」

「二人は私の友達の小さい方がキスメ、それと勇儀だよ」

「あんた見るからに外の世界から来た人だよね」

「ヤマメ、お前この子…えーと」

「千尋さんだよ」

「千尋をどうするんだい?」

「元の世界に戻してあげたい」

「ヤマメならそう言うと思ったよ」

「博麗神社に連れて行けば何とかしてくれると思うよ、

あそこは外の世界に詳しいからさ」

「ありがと、キスメ」

「まぁ、まずはその傷だらけの体を治してからだけど」

「そうだね、無理に動いたら傷が酷くなるし」

「不便だね、人間って。私達妖怪はケガなんてすぐ治るのに」

「妖怪!?」

千尋は目を見開き体を引いた。

「ヤマメ、言ってなかったの?」

「あまり言いたくなかったんだけど」

「いや、普通言うでしょ」

「私達は皆、妖怪。でも千尋を襲うつもりはないから安心してくれ」

勇儀は朗らかに笑いながら千尋の肩をぽんぽんと叩く。

「は、ひゃい…痛っ!」

「勇儀、まだケガが治ってないから優しく」

「あ、すまん」

「千尋は何でそんな傷だらけで倒れてたの、妖怪にでも襲われた?」

「その、記憶がないんです」

「記憶が無い?私は嘘が嫌いだよ」

勇儀のまゆがピクリと動き、千尋に詰め寄った。

「本当です!」

「何か、怪しいな」

「勇儀、千尋さんは本当の事を言ってるよ」

ヤマメが勇儀の疑いに指摘をする。

「何故そう言い切れる?」

「…何となく」

「はぁ?…ま、いいや。そんなことより宴会しよう」

「唐突だね…何の宴会?」

「千尋が無事だった祝いに!」

勇儀はこれからの楽しみに小躍りをしている。

「それじゃ、私はどっか適当に宴会の予約とってくる」

「いや、ここでやろうよ!」

「勇儀、ケガ人の前で宴会は流石にないでしょ」

「あの…」

千尋の声に3人が振り向き次の言葉を待つ。

「ヤマメさんとキスメさんっておいくつなんですか…?」

「あー…妖怪はね、いくつでも飲めるのよ」

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