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黒谷ヤマメになっても、私は元気です  作者: 土蜘蛛
黒谷ヤマメとして、幻想入り
11/15

11話「人間の私」

ヤマメは嗚咽を漏らしながら事情を話した。

「自分が自分じゃなくなって、妹を殺す夢ねぇ…でも、所詮夢だよ?」

「そうだよね…夢、だよね」

「ねぇキスメ、私自分が分からないの」

「どういうことだい?」

「何て言うか、妖怪なのに心は人間で…こんなのおかしいよね?」

「まだ、受け入れ辛いの?妖怪としての自分は」

「うん…情けないよね、ずるずる引きずって」

「ヤマメ、あんたは自分を大切にして、自分らしく生きたらいいの」

「ここは地底、ルールさえ守れば何してもいいからさ」

「キスメ…」

「自分を見失わないで。それと、妖怪である自分を許してあげなよ」

「はいはい、暗い話はそこまで!飲もう飲もう!」

「もがっ!?」

ヤマメは突然勇儀に酒瓶を押し込まれ、勢いで1本丸々飲み干してしまった。

「けほっ、勇儀ぃ!」

「はは、この程度で潰れちゃ困るねぇ」

「大将、裏鬼殺しよろしく」

キスメは二人を傍観しながら注文を始めていた。

数刻後。

「ヤマメ、顔色悪いよ」

「うぷっ…夜風に当たってくる」

よろよろとヤマメは立ち上がり、若干千鳥足で外に出た。

「妖怪なのに酒に弱いとはこれ如何に」

「勇儀は度が過ぎてるのよ」

抑揚のない声で鋭くキスメは突っ込むのであった。


【地底湖】

夏の面影はもう無く、秋の涼しい風が地底の湖に吹き込んでいる。

ヤマメはやっとの思いで湖に辿りついた。

「あれ、誰かいる?」

定まらない焦点を合わせると酔いは一瞬でさめた。

湖のへりにあちこちが裂けたパーカーとスカートで

傷だらけの少女が力無く横たわっている。

ヤマメは急いで彼女を背負い、自分の家のベッドに寝かせた。

「まず傷を治療しないと…」

傷口を刺激しないように丁寧に処置をする。

多少失敗はしているが特に問題はなさそうだ。

「こんなものでいいかな」

少女はすやすやと寝息を立てて手遅れにはならなかったようだ。

そろそろ戻らないと、二人が心配しそうだし。

「大人しくしててね」

ヤマメは彼女を家に残し、居酒屋に戻った。

「おう、ヤマメ、戻ってきたか」

「ねぇ、この後時間ある?」

「「二次会?」」

1人は目を輝かせ、1人は面倒そうにしている。

「いや、違うけど」

「違うのか、まぁいいけどさ」

「私もいいよ、ヤマメの頼みだからね」

ヤマメは二人を家に連れて湖で見つけた

少女の事を話し、助けたことも話した。

「この子、人間だよね」

「もしかしたら、外から来たのかな、って思って」

「とりあえず、今日はもう遅いからさ、また明日くるよ」

「それまではその子の事、お願い」

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