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姫と騎士 -プリンセスナイト-  作者: 中村 リョウ
第零章:騎士の目覚め
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EPISODE2:学校の日常

「おい、優希!お前どうゆう事だ!」


「朝からどうした?卓人。」


「どうしたもこうも・・・お前!昨日はなんで帰ったんだ!?」


「ああ、それか。」


「おかげで、セール中だったフィギュアが買いそびれたじゃないか!」


どうやら、卓人は昨日の事で、不満があるみたいだ。だけど、これで確信した。時間は早く進んだんだな。


「まーまー師匠。優くんも何か用事があったみたいですし、その辺で許してくださいよ。」


「いーや、こいつは黒だ。真実を喋るまで俺はやめねーぞ。」


「強引すぎる師匠・・・だけど、そこに痺れる憧れちゃいます!」


「朝から中二病コントありがとうございます。」


「いや〜、それほどでも。」


「認めるんかい!」


さすが里奈。ボケカウンターは伊達じゃない。


「まあ、それはいいとして今日は集まれるか?」


「ああ。月美ちゃんも来るって言ってたぞ。」


「そうか。神谷は・・・まあ、来るだろう。」


神谷に関しては、何故か放っておけば来るだろう扱いだ。まっ、あんなフワフワッとした性格なんだから仕方ないとは思うけど。


「みんな〜おはよ〜。」


「おっ、噂をすればだな。」


別に噂はしてないとは思うけど、あえてツッコミはいれないでおこう。


「おはよう神谷。」


「うん。優希くんも里奈ちゃんも卓人くんおはよ〜」


「ウィっす神谷。」


「おはようです、さっちー氏!」


「里奈ちゃん卓人くん、おはよう。」


神谷は先に自分から挨拶した事を忘れたのか、再び挨拶している。さすが本物のアホの子は次元が違うな。


「ウィっす神谷。」


「おはようです、さっちー・・・」


「ループするからやめとけって。」


「ほえ?」


神谷が何の事か分からないのか首を傾げた。


「アホだな・・・」


「ア、アホじゃないもん!」


「おはよう神谷。」


「おはよう優希くん。」


「やっぱりアホだ・・・」


「ガ〜ン・・・」


自分で効果音をつけた!?


「私・・・優希くんに遊ばれてたのです・・・」


「なんですと、優くん!女の子で遊ぶとは何事ですか!?」


里奈が何かスイッチが入ったのかふざけ始めた。


「あのな・・・人聞きの悪いこと・・・」


「そーよ藍葉くん!女の子を泣かせるなんて最低よ!」


「そーだそーだ!今すぐ里美ちゃんにあやまれー!」


いつの間にか、俺たちのまわりにはクラスメイトの大半が取り囲んでいた。

これはもう・・・


「ス、スミマセンデシタ。」


「・・・はい。今回も、優くんの負けです。」


「くそ・・・」


「「「あははは!!」」」


クラス中から歓喜の笑い声が響く。


「ん〜!今日は中々面白かったわよ藍葉くん!」


「おっと!」


女子から背中を思いっきり叩かれ椅子が動いてしまいバランスが崩れる。


「そーだね。今日は結構いい線行ってたよアッキー。」


いい線と言われてはあれなんだが・・・実際自分でも何の勝負をしているのかよく分からない。


「そうだぜ!この後、アニメ的展開があっても良かったんだけどな〜」


「アニメ的展開?」


「ああ。不可抗力で胸を触っちゃうとか。」


「おいおい・・・」


どこをどう辿ったら、そんな不可抗力シーンが訪れるんだ?


「もう。アニヲタ患者は黙っときなさい!」


「うへぇ〜」


「お前が地雷踏んでどうするんだよ。」


またもやクラス中から笑い声が響いた。


「それにしても、優くんは弱いですねー。」


「うるさい里奈。神谷のアホパワーが圧倒的すぎるんだろうが。」


「ほえ?」


分かってない顔だが、実は知らんぷりしているな。


「まあまあ、勝利を祝して今日のお昼は食堂でスペシャルパフェを食べに行きましょ。」


神谷の友達・・・通称なっちゃん。活気があって、クラスのまとめ役だ。


「ええ〜・・・また、テイクアウトすんの〜?」


「何言ってんの!里美が入れば、テイクアウトする必要なんてないじゃない。」


「う〜ん・・・まあ、それもそうね。」


「分かってるわね。あ・い・ば・くん?」


「へいへい。今日のお昼は食堂でいいですよーだ。」


「はい。ツンデレいただき!」


「誰がツンデレだ!!」


またまた、クラス中に笑い声が響く。朝から騒がしいクラスはここだけだろうな。


「言っとくけど、おごるのはパフェだけだぞ?」


「分かってるって。」


「俺はカツパンな。」


「話し聞いてたか?」


卓人が不意をつくかのようにふざけるが俺は冷静に対処した。


「おっと、そろそろHRが始まるので私はこれで!」


「うん。里奈っちまたね。」


里奈は手を振りかえし教室から出て行く。



授業をまともに受けあっという間に昼休みになった。時間が経ったせいか、卓人も神谷も昨日の事は何も聞いてこなかった。朝のやりとり通り、食堂にやってきた俺たちは空いているテーブル席につく。食堂っていっても、この広さでテーブル席とカウンター席があるんだから、もうファミレスみたいなものだ。


「藍葉くん!これから峠だっていうのに、他のメニューを頼まない!」


「っと言いますと?」


「ふふ、言わなくても分かるわよね?」


俺の方を見ながら、彼女はニヤついていた。


「パフェだけで昼を過ごせと?」


「イエス!」


「イエスじゃあねぇよ!」


何だよ!お昼がパフェって!


「まっ、運命っと思って諦めるんだな。」


「お前な・・・」


カツパンをもくもくと食べる卓人を恨めしく睨む。


「そんな目をしても、カツパンはやらないぞ。」


「いらねぇよ・・・ったく。」


「川崎。あんたも食べるのよ?」


「おい、聞いてないぞ。」


「今決めたもの。」


「マジか。」

「マジよ。」


二人とも同時に、喋ったのかお互い聞き取れなかったようだ。だけど、大体予想はしてるので


「なら、お前の好きな同人誌一冊でどうだ?」


「二冊・・・」


「・・・いいだろう。」


「のった。」


そして、握手を交わす。


(なんの取り引きだよ。)


っと思っていると。


「お待たせしました。こちらスペシャルパフェになります。」


食堂のウェイトレスさんが持ってきたのは、想像をはるかに超えるものだった。


「ぶっ!?」


テーブルの真ん中に置かれたのは、バケツのような容器に入れられたすごくデカイパフェだ。


「見たことない?藍葉くん。」


「し、食堂のメニューの写真では見たことあるけど、実際に見ると、デカイもんだなぁ・・・」


「そうよねぇ。私らも始めての時は興味本位で頼んでみたんだけど、後悔したわね。」


「ほんとほんと。夏海ったら計画性がないんだから。」


「ちょっ!失礼ね・・・」


俺の隣に座っているもう一人の女の子。通称ミーちゃんと呼ばれている。


「でも、今回は楽勝でしょ?里美がいるんだから。」


「うん!私、頑張るよ!」


スプーンを片手に持った神谷は張り切っていた。確かに、神谷のスイーツに対してのブラックホール論は有名だけど・・・


(この量、さすがに神谷でも無理じゃないか?)


俺なんかすぐにギブアップしそうなんだが。


「あっ、先輩。」


「ん?」


後ろから聞き覚えのある声がしたので、振り向くとそこには月美ちゃんがいた。


「あっ、月美ちゃん。今日は食堂で?」


「はい。たまには食堂で食べるのもいいと思いまして。」


「うん。分かるよ・・・」


「あれ?先輩それって・・・」


「・・・・・・」


月美ちゃんが目にしたのはスペシャルパフェだ。


「そ、それが先輩のお昼ですか・・・」


「強制にな・・・」


「人聞きが悪いわねぇ。」


「誰もお前とは言ってないだろ。」


「私の方を見てたじゃん!」


「あはは・・・」


月美ちゃんは気まずそうに笑った。


「月ちゃんもよかったら、一緒に食べない?」


「えっ?いいんですか?」


「月美ちゃん・・・お昼にパフェだよ?」


「お昼にパフェ・・・」


月美ちゃんは目をつぶると・・・


「いいですね。」


(いいんだ・・・)


目を開け微笑みながらそう言った月美ちゃん。ツッコミかけたが、なっちゃんに抑止されてしまうのがオチなので、俺はあえてツッコまなかった。


「早速みんなでボスを攻略するぞー!」


「お、おおー」


なっちゃんの掛け声にのってくれたのは、神谷だ。卓人以外のみんなはまわりの目がこちらに注目しているので、気まずそうにパフェを食べ始めるのだった。



「つ、月美ちゃん・・・大丈夫?」


「大丈夫・・・じゃないもしれないです・・・」


「だ、だよなぁ〜・・・」


美味しいのだが、さすがにこの大きさとなると・・・きつい。甘いものばかりで、喉もかわいてきた。


「うぷっ・・・私、もう無理・・・」


ミーちゃんは限界なのかスプーンをテーブルの上に置きぐったりする。


「夏海・・・あんたは大丈夫なの・・・ってダメそうね。」


なっちゃんの方を見ると、テーブルの上に頭をのせにぐったりしていた。」


「前から思ってたんだが・・・こいつ口先だけだな。」


「私も同感〜・・・」


「失礼承知で言わせてもらいますと、なっちゃん先輩は計画性がありませんから・・・」


「みんなひどい〜・・・別に計画性はないわけじゃないもん。」


「ん〜・・・私は今幸せです。」


一人で幸せそうにもくもくとパフェを食べる神谷。よくあんな大きいものを食べれるものだ。


「す、すごいですね・・・神谷先輩。」


「これくらいへっちゃらだよ〜」


「ふ、太ったりしないの?」


「うん!私、食べても体重増えないんだ〜」


「ずるい!」


神谷の言葉に反応したなっちゃんはテーブルを叩きそう言い放つ。


「じゃあ、体重が気になるんだったら、こんなチャレンジしなくてもいいんじゃないか?」


「うっ・・・ごもっともです・・・」


「ということで、このモンスターパフェは神谷ほぼ一人で制覇しました・・・めでたしめでたしっと。」


「卓人お前・・・」


楽しんでたなこいつ・・・


この日、始めてこの学園でスペシャルパフェを完食したという伝説が生まれた。



「一日お疲れみんな。それじゃあ、気をつけて帰ってね。」


担任の先生の合図でHRを終えクラスの中がざわめき始める。カバンを手に取り教室から出て行く人や、中に残り友達どうしで話をする人もいた。


「バイバイ藍葉くん。」


「おう。また、明日。」


クラスの女子に挨拶を返し俺も机の中から持って帰る教科書をカバンの中へと入れる。


(そういえば、姫様大丈夫かな・・・昼ごはん作れらなかったけど。)


スマホを取り出し家に電話をかけようと思ったが、思いとどまってしまう。

この世界に来たばかりの姫様のことだ・・・見たこともない機械に驚いて手を出さないかもしれない。


「おーい、優希。さっさと行くぞ!」


「置いて行っちゃいますよー。」


ドアの前で卓人と神谷が俺に呼びかける。


「ああ。今行く。」


スマホをポケットの中に入れカバを持ち立ち上がる。


「ん?お疲れ藍葉くん。」


「ああ。お疲れなっちゃん。」


「今日はアキバに行くの?」


「そうだな。新しいのが入荷してるって言ってたからな。(俺はあんまり興味ないんだけど)」


「ん〜・・・私も時間があったら、そっちに顔を出すよ。」


「時間?・・・ああ、そうか。」


なっちゃんの机の下に置いてある一つの細長い棒らしき物に目を配る。時間の理由は部活だ。彼女はラクロス部に入っており、部活の中ではエースと呼ばれているらしい。


「ミーちゃんはどうする?」


「私?・・・私も夏海と同意見で。」


「了解。」


ミーちゃんもラクロス部に入っているがマネージャーとして活動している。


「じゃあ、部活頑張れよ。」


「うん。藍葉もハメ外してエロゲーばかりしないように!」


「するか。」


「えー・・・本当に?」


「しないって。」


俺はそう言うと、さっさとドアの方へと歩く。


「藍葉くん。」


「ん?」


「パフェありがとうね。」


なっちゃんは笑顔でお礼を言った。


「ああ。」


俺はそれだけを言うと、教室から出て行く。正直に言えば、真っ当にお礼を言われると恥ずかったのでそれを誤魔化すためだ。


「さて、行くか。」


「うん。レッツゴーなのです。」


「優希。昨日みたいに消えて帰るなよ?」


「分かってるって。」


そう言ってしまうが本音はまっすぐ帰りたかったのだが・・・

その理由は姫様のことだ。一人にしてしまっているし、何よりも昼ごはんを作れなかった。怒られることはないだろうが、多分、不機嫌になってるのは確実だろうな。

それと、先ほどから変な胸騒ぎがしていた。


(胸騒ぎはともかく、帰ったら、ちゃんと謝らないといけないな。)



しかし・・・胸騒ぎの理由は、この先で思い知る事になる・・・


俺はもうこの時、異世界との事象に巻き込まれていたのだ。


EPISODE2:学校の日常END

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