表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫と騎士 -プリンセスナイト-  作者: 中村 リョウ
第弌章:孤高のブレードマスター
18/20

EPISODE17:目覚めの一日

どのくらい寝ていたのだろうか・・・起きて見ると、いつも寝ている押入れではなく見慣れた自分の部屋の天井。外からは、スズメの鳴き声。カーテンの隙間からは、日差しが流れ込んでいる。


(何日か寝ていたというオチじゃないよな・・・)


ズボンのポケットに手を入れスマートフォンを探し取り出す。電源を入れ時間を見ると。


(5月21日・・・よかった。一日しか経ってない。)


ホッと溜息を吐き俺は半身を起こす。


(アクアは・・・)


辺りを見回すが見当たらない。


(何処に行ったんだ・・・?)


いつもならこの部屋で寝ているのだが・・・


-ムニュッ-


左手を床に置いた途端、何か柔らかい感触が伝わる。


「んっ・・・」


それに聞き覚えのある女の子の声・・・

恐る恐る左手を置いてある所に顔を向けると。


「ア、アク・・・!」


大声を出したら、マズイと思い口を余った右手で塞ぎ左手をゆっくりと離す。


(き、気をつけないとな・・・)


ドキドキしながら、そう心に釘を打つ。


(・・・)


恐らく、昨日はアクアとローラに支えられた所まで覚えている・・・その後、気を失ったと思うので、風呂に入ってないはずだ・・・


(シャワーだけでも、浴びるか・・・)


そう思うと、立ち上がり風呂場へと向かう。



「ふぅ・・・」


軽く身体や髪を洗い風呂場から出る。濡れ切った身体をタオルで吹きそのまま学校の制服へと着替える。


「さて・・・朝食を作りますか・・・」


そう独り言を呟きカーテンを開ける。


「ん・・・?」


「ユ、ユウキ・・・!」


「ちょっ・・・アクア!?」


アクアは寝巻き姿で今起きたせいか髪の毛がくしゃくしゃになっていた。俺の姿を見るなりホッとした様子で泣きながら、俺のそばへと駆け寄り抱きついてくる。


「よかった・・・生きてた・・・!」


「あ、ああ・・・おかげさまで・・・」


・・・そうじゃなくて。


「ア、アクア・・・いきなり抱かれると恥ずかしくいんだけど・・・」


あと・・・その柔らかい感触も気になるんですが・・・


「!?す、すまん!」


アクアは顔がカーッと赤くなり慌てた様子で俺から離れる。


「そ、そのだな・・・な、何ともないのか?」


「あ、ああ・・・むしろ、いつもより身体が軽い。」


起きて気になったのだが、昨日刺されて血を流し、力を使いすぎたにも関わらず、身体がだるくも何ともないのだ。


「それは恐らく、ユウキの力だな。」


「俺の力?」


「いや、ユウキの力だけではない。ユウキの力とあの宝石の力が混合してお前の身体を回復させてるのだろう。」


「それって・・・」


「ああ・・・ユウキは"一時的"な不死身に近い。」


なん・・・だと・・・


「だが不死身とはいっても、ダメージを受け続ければ、回復が追いつかない。そこに関しては、普通の身体と変わりはない。」


「いろいろ知ってるんだなアクア。」


「本に書いてあったからな。」


・・・要するに致命的なダメージがない限り、俺はゾンビのような存在か・・・

例え方が気に入らないので、少し気持ち悪くなる。


「ま、まあ、その話は夜にしようぜ。今は朝食だ。」


「う、うむ。だが・・・ユウキばかりに食事を作らせて悪いな。」


「気にすんなって。料理くらい任せとけ!」


俺はポンっと胸を軽く叩く。


「そ、それじゃあ、ユ、ユウキ。」


「ん?」


「こ、今度私にこの世界の料理の作り方を教えてくれないか?」


「えっ・・・?」


突然の予想外なお願いに俺は驚いてしまい少し声が出なくなってしまう。


「この世界の料理はとても気になってな・・・いずれバリアフールに帰れたら、私はユウキから教えてもらった料理を広めたいのだ。戦争を終わらせて必ず・・・」


「アクア・・・わかった。」


何だか少し胸が踊った。


「それじゃあ、俺もアクアのためにも、魔法を覚えて手助けしないとな。アクアが助けてくれた命だし。」


この時決心した。俺は・・・アクアの夢を守りたいと。争いを終わらせて無事彼女をバリアフールに帰還させてあげたい。


「なっ・・・わ、私こそ、ユウキに助けてもらった命だ!」


「それじゃあ、おあいこだな。」


「そ、そうなるのか・・・?」


「ローナもいるんだ。アクアを守れるくらいの力はつけとかないとな。」


俺は笑いながら、そう言った。


「呼んだ・・・?」


「うわっ!?」

「きゃあっ!?」


天井に吊っている室内灯の横からローナがヒョコッと顔を出す。


「ロ、ローナお前!何処から出現してるんだ!?」


「隠し通路・・・」


「またか!」


次、ミカエルさんに会ったら隠し通路の事を報告しよう・・・


「ところで・・・私がどうしたの・・・?」


「ああ・・・魔法の使い方と剣の使い方を教えてくれないかな〜って思ってたんだけど・・・」


「任せて・・・」


そう言うと、ローナはゆっくりと隠し通路の方へと戻って行くのだった。


「・・・さ、さすがアサシンだな。」


アクアは一つ面食らった様子だ。


「ここ(日本)だと"忍者"って呼ばれそうだ。」


「なに?この世界にも"ニンジャ"がいるのか?」


「そうだが・・・えっ?」


忍者って日本特有じゃなかったのか!


「バリアフールにもアサシンと似たような存在ニンジャがいる国があってな・・・・・・この話は後にしよう。」


「そ、そうだな。朝食を作らないと学校に間に合わなくなるしな・・・」


「そうだな。では、私はユウキが料理を作っている間にお風呂にでも入る。」


「了解。」


俺は両腕の裾をめくり台所へと向かう。


(さてと・・・とりあえず、今は一日、頑張りすか!)


EPISODE17:目覚めの一日END

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ