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姫と騎士 -プリンセスナイト-  作者: 中村 リョウ
第零章:騎士の目覚め
13/20

EPISODE12:朝会話

「ん・・・」


珍しく目覚ましがなる前に起きてしまう。真っ暗で何も見えないので、辺りを身回そうとするが・・・


(・・・まてまて。)


俺はゆっくりと体を起こす。そして、上に手を伸ばす。


(天井・・・押入れの中だな。)


前に体を起こして頭をぶつけたのとがある事を思い出す。


(気をつけないとまた、痛い思いをするな。)


俺は横に置いていたスマートフォンを手に取り時間を確かめる。


(6時34分か・・・)


確か今日は土曜日だ。自分でも、休日で朝早く目が覚めるのは、珍しく思ってしまう。


「まあ・・・たまにはこんな事があるかな・・・」


「何があるの・・・?」


「休日でたまに早く起きてしまう・・・って。」


声がした方にスマートフォンの明かりをかざすと端の天井から寝巻き姿のローナがこちらを覗いていた。


「おはよう・・・ダーリン。」


「ロ、ローナ?どうしてここにいるんだ?」


「抜け道・・・」


「抜け道?」


俺はゆっくりローナがいる抜け道というものの方に向かう。


「抜け道だ・・・」


「そう・・・抜け道。」


ってダメだろ。


「明らかにローナ不法侵入してるからな。」


「フホーシンニュー?」


「勝手に人の家や部屋に入る事を言うんだよ。」


「気にしない・・・何度もしてる。」


「向こうの世界のとは勝手が違うからな?」


「違うの?」


「・・・」


キョトンとした目で問いかけられ俺は言葉を詰まらせてしまう。


「とにかく、ここの世界だとローナが今やってる事をしたら、捕まるんだからな?覚えておくこと!」


「うん・・・肝に銘じておく・・・」


ローナは抜け道からゆっくりと出てくる。


「って・・・帰らないのかよ・・・」


「ダーリンと少し話がしたいから・・・」


うーん・・・そう率直に言われると反論しづらい。しかも、キラキラとした目で見てこないのがまた、言葉がでないと言うか・・・


「はぁ・・・分かったよ。」


「ありがとう・・・」


まあ・・・二度寝する気分じゃないし、いいか。


「っで。何を話すんだ?」


「ラブコメ・・・」


「はい・・・?」


「冗談・・・」


怖い冗談だ・・・


「彼女のこと・・・」


「アクアのことか?」


「うん・・・」


表情を変えないままローナは頷く。


「心配しないで・・・下心とかはない・・・」


「うーん・・・」


とは言われてもなぁ・・・アクアとは敵対してる組織に属してるようだし・・・でも、嘘をついているように見えないけど。


「アクアはどんな人なの?」


「どんな人って・・・性格のことか?」


「うん・・・ダーリンが始めて彼女と会った時の感想でもいい・・・」


「そうだな・・・始めて会った時は突然すぎて驚くことしかできなかったかな?」


今思えば、アクアも不法侵入ということになるのだろうが、今となってはどうでもいい。


「気が強くていきなり魔法を見せられて動揺してな・・・」


「気が強い・・・?」


「うん。まあ、それは始めて会う人に警戒してただけで、実際話すと恥ずかしがり屋で普通の可愛い女の子だよ。」


「そう・・・よく分かった。」


「これでいいのか?」


「うん・・・十分わかった。」


また、表情を変えないまま彼女はコクっと頷く。


「そうか。」


「そう。」


話こそ、繋がりにくいが話していると意外に和む。


「逆に質問いいか?」


「どうぞ・・・」


「ローナはどうしてアサシンなんかやってるんだ?どう見ても、暗殺者って感じじゃないんだけど・・・」


「・・・」


ローナはしばらく沈黙してしまう。もしかして、聞いてはいけなかったか?


「ダーリンは少しアサシンを誤解している・・・」


「えっ・・・?勘違い?」


「アサシンはみんな決められた信条で、行動している・・・アクアから聞いたと思うけど、私の世界の二大国は10年も戦争をしているの・・・」


「ああ・・・」


「アサシンは異教徒でしか見られていない・・・だから人々には悪という目でしか見られていないからどちらの国にも加担はしていない・・・」


「じゃあ、どうしてアクアを狙ってるんだ?」


「別に狙ってる訳じゃない・・・」


・・・狙ってない?少しわけが分からなくなってきたな・・・


「私はただ、アクアを降伏させろとしか命令されていない・・・」


「そうか・・・じゃあ、アクアを降伏させる理由は分からないんだな?」


「うん・・・」


じゃあ、何故アサシンはローナを送ってきたんだろう・・・悪い言い方になるが、天然で交渉に向いていない彼女よりも他にもいるはずのに・・・


「さっき、どちらの国には加担はしていないって言ったけど、一つだけ同盟を組んでいる国がある・・・」


「同盟を組んでいる?」


「そこまでしか分からない・・・」


「そ、そうか・・・」


理由は聞かないでおこう・・・


「理解した・・・?」


「オーケイ。理解したよ。」


「そう・・・よかった・・・」


ジトっとした目は、変わらないものの、始めて見せてくれる微笑み。


「つまり、アサシンは理由がない限り、相手を殺さないって事か?」


「そう・・・なる。」


アクアが暗殺目的で狙われていない事が分かったので少しホッとする。


「ところで、ダーリン・・・」


「ん?」


「アルバイトとやらを紹介して・・・」


「アルバイト!?」


突然すぎるだろ!


「ミカエルから言われた・・・"少年は人望があついからな。アルバイトを紹介してもらえ"・・・と。」


アルバイトを紹介しろって言われても、俺が経営してるわけではなく、ただ、知り合いが多いだけだっていうのに・・・


「ところで、アルバイトってなに・・・?」


ローナはローナでアルバイトより教える事があるし・・・


「よし、ローナ。今日は3人でアキバに行こう。」


「アキバ・・・?」


「来れば、分かるさ。ローナみたいな人が行ったら、驚くような事はわかりだからな。」


「うん・・・分かった。」


ローナは無表情のまま頷いた。


「3人と言う事は・・・アクアも来るの?」


「あ、ああ・・・」


「よかった・・・」


「・・・?」


さっきの質問もそうだけど、結構アクアの事気にするな・・・ローナは無表情だけど、嬉しそうに見える。


「なあ、ローナ。」


「なに?」


「もしかして、アクアと友達になりたいのか?」


「・・・!」


おお・・・動揺した。これは当たりのようだ。


「そ、それは・・・わ、私はアサシンで彼女に嫌われてる・・・」


ローナは体をモジモジさせながら、気まずく言った。恥ずかしがっているようだ。


「アサシンなんて関係ないだろ?今もこうして話をしていたら、普通の可愛い女の子なんだし。」


「か、可愛い・・・?私が・・・」


「言われた事ないのか?」


(コクっ)


何も言わず顔を赤くしながら、頷いた。


「無愛想・・・しか言われた事ないから・・・」


「アハハ・・・」


確かに、そう思われても、仕方がないと言うか・・・


「ダーリンもそう思う?」


「そうだな。」


「ダーリンは悪人・・・」


「すみません・・・」


それで暗殺なんてされたら、笑えないな。


「まあ、それは笑わなかったらの話だ。」


「え・・・?」


「こうして普通に話してさっきみたいに恥じたり、微笑んだりしていたら、可愛いよ。」


「そ、そう・・・」


ローナは表情こそ、豊かではないが、時に微笑んだり、恥ずかしがったりする不意打ちなところは、本当に可愛いく思える。


「それじゃあ、今日はローナもアキバ観光と同時にアルバイト探しをするか。」


「で、でも・・・私・・・」


「でもは、無しだ。アクアとは敵対したままでいてほしくないからな。」


「やはりダーリンは悪人・・・」


「スキありとかはやめてくれよ?」


「大丈夫・・・ダーリンにはしない・・・」


また、自然と出るローナの微笑みにつられ俺も微笑んでしまうのだった。


EPISODE12:朝会話END

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