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姫と騎士 -プリンセスナイト-  作者: 中村 リョウ
第零章:騎士の目覚め
10/20

EPISODE9:野球練習

「優希くん♪」


「・・・・・・」


「これ、着てほしいなぁ。」


「やだ。」


「ええー・・・」


一人のメイドさんから渡されたのは、メイド服のセットだ。


「優希くんなら似合うのにー・・・」


「似合わない。」


「ここ。LOVE☆LOVEのランキングでは伝説の三位なんだよ?」


「幻のな。」


彼女はここメイド喫茶LOVE☆LOVEの店長を務めている春川 瑠美。髪は紫で短髪、アホ毛があるのが特徴だ。彼女は、俺と同じ年齢で学校は行ってはいないがさっき言ったとおり、ここのメイド喫茶の店長を務め働いている。


「また、伝説起こそうよ〜」


「い・や・だ。」


「AKO部の中で女装が一番合ってるの優希くんなんだよ?」


「別に好きでやってるつもりはないから。」


「ボクが一目惚れだったの!」


いやいや・・・そんなはっきりと話が合わない言葉で言われても、困る。


「大丈夫。優希くんのプライドはボクが守るよ!」


「その前にメンタルがやられるから!」


何故このような話になったかと言うと、おいおい話すとして・・・簡単に言えば、俺がここでアルバイトをしたことがきっかけだ。もちろん、自ら進んでしたことではない。


「俺じゃなくても、お前が求めているような女性陣はいるだろ?」


「優希くんは特別なの!」


ダメだ・・・食い下がる気が全然しない。


「お給料は即日で現金支払いするから〜・・・」


「マジか?」


「本当だよ!」


「だが、断る。」


「ふぇ〜ん・・・どうしたら引き受けてくれるの?」


ウルウルした目で彼女は見つめてくる。俺はその表情を見ないよう遮るように手で隠す。


「あの時は、ノリノリでやってくれたのに〜・・・」


いや・・・あの時は、吹っ切れたから出来た事だ。


「優希・・・みんな先に行って待ってるからそろそろ行くわよ。」


「待ってください。すぐ行きますから・・・」


店内で待っているエリーさんに呼ばれる。結構待ちくたびれている様子だ。


「それじゃあ、瑠美。また、今度な・・・」


俺はそう言いエリーさんの方に行こうとするが・・・


「話は終わってないよー!」


左腕を掴まれ引っ張る瑠美。女の子なのに以外と力があり結構痛い。


(このままだと埒が明かない・・・)


すると、偶然だが接客中の朱鳥ちゃんと目が合う。声を出して助けを呼ぶのもあれなので、ハンドサインで呼ぶ事に挑戦する。


(朱鳥ちゃん。何とかできる?)


(任せてください!)


ハンドサインが伝わったのか朱鳥ちゃんは胸をポンっと軽く叩いた。


「みなさん注目してくださーい!今日はなんと特別に店長の春川瑠美さんからサプライズライブをやりまーす!」


「「「マジか!!!?」」」


「マジです!」


「えっ・・・えっ!?朱鳥ちゃん!?」


「ほら、店長こっちですよ!」


「ち、ちょっ!?ボ、ボク、まだ話のとちゅ・・・」


店長を引っ張る朱鳥ちゃんは密かにグッドポーズをした。それを見た俺は同じくグッドポーズをやり返す。


「結構強引に切り抜けたわね・・・」


「朱鳥ちゃんがいて助かりましたよ・・・」


心からそう思った・・・



-河川敷-


「さて・・・みんないるわね?」


アキバから離れ着いたのは結構広い河川敷だ。今のメンバーはというと、エリーさん入れてアクア、卓人、浩二、神谷、月美ちゃんに里奈だ。


「先輩ここって・・・」


「苗宮荘から歩いて行ける距離だよな・・・」


「正直、金の無駄じゃんかよぉ・・・」


「こら、そこ。文句言わないの!」


エリーさんから釘を刺され俺たちは一度静かにする。


「さて、みんな。今日メールで送った通り、AHO団との野球試合に向けて練習を始めるわよ。」


イキイキと語るエリーさんはバットを持つ。


「練習と言っても、野球部みたいに本格的な練習はしないから、安心してちょうだい。」


「それはよかった・・・」


浩二がため息を吐く。


「ただし。負けは絶対に認めません。」


「それは思いっきり練習しろってことなのか?」


「卓人?さっきも言ったとおり、本格的な練習はしないわ。私からあれこれ指示を出すつもりはないし、自分達のペースで構わないわよ?」


「イャッホー!それじゃあ、のんびり・・・」


「ただし、ダラダラやってるところを見かけたらあの橋まで走らせるから。」


エリーさんが指をさした方向を見ると、青い橋が小さく見える。という事は、遠い所にあるというわけだ。


「あの橋までは、およそ5キロありますね。」


「往復で・・・10キロ!?」


ハラショー・・・(※なんてこったの感情を含めて。)


「あの橋は男子限定だけど♪」


「おい・・・」


「鬼か!?」


卓人と浩二は顔を青らせ少し震えていた。


「別にグータラしてなかったら、いいだけだろ?普通にやってれば、問題ないじゃないか。」


「まっ、優希の言うとおりね。」


別に練習自体ダラダラする気はない。むしろ、こっちの方が充実してて、楽しいくらいだ。


「確かに、そうだけど・・・ポジションを言わなかったら、練習しようにも出来ないんだが・・・」


「そうだったわね。」


エリーさんは地面に横のベンチに置いてあったカバンの中から小さなメモ帳を取り出した。


「みんなのポジションは決めてあるから、聞いてね。えっと、スターティングメンバーは優希がピッチャーで・・・」


ピッチャーか。大体予想はしてたから、不満とかはたいしてないな。


「浩二がキャッチャー。」


「俺がキャッチャー!?」


「不満があるの?」


「いや、不満つうか・・・優希の球を取れる気がしないんだけど・・・」


「練習で取れるようになってちょうだいね?」


「交渉の余地なしかよ!?」


俺が投げる球ってそんなに強いのか?まあ、聞くのも時間がくってしまうので、流しておこう。


「話を戻してファーストが私。セカンドが月美ちゃん。」


「はい。」


「ショートが夏海ちゃんでサードが里奈ちゃん。」


「任せるのですヨ!」


「ライトが里美ちゃん。」


「ライト・・・?」


「右だ神谷。」


「そっかー。ライトって右だったんだー」


さすが天然っ子。何故か聞いてて癒される。


「センターが卓人。」


「ああ。」


「レフトがアクアちゃん。」


「レ、レフト?」


「左だアクア。」


まあ、アクアは知らなくても、仕方がないか。


「グローブとバットはベンチ横の地面に置いてあるから、好きに使って練習してちょうだい。」


言われたとおり、ベンチの横の地面に置いてあるグローブを取り左手にはめる。


「それじゃあ、練習開始!」



「えいっ!」


「うんうん。いい調子よアクアちゃん。」


「か、神谷先輩!?投げる方向が違いますよー!」


「ほえ?」


練習を開始してから、しばらく経った。離れた先からメンバーの声が聞こえる中俺は浩二とキャッチボールをしていた。


「それにしても・・・なんで、野球なんだろうな?」


「さあ?向こうが野球好きだからなんじゃないか?」


「それもあり得るけど・・・アニメでもそうだけど、勝負と言えば、野球が定番だからとか?」


「・・・あり得るか。」


そう浩二と ダベりながら、キャッチボールするなか・・・


カキィンッ!!


「優希ー!ボールそっち言ったわよ!!」


「えっ?」


エリーさんにそう叫ばれ上を見ると、こちらにボールが飛んでくるのが見えた。


「よっと!」


グローブを上げ見事にキャッチした。


「ナイスキャッチ!優希。」


キャッチしたグローブの中からボールを取り出す。


「す、すまないユウキ・・・」


ボールを取りに来たのかアクアがこちらに駆け寄って来る。


「さっきのアクアが打ったのか?」


「ああ。当たったら思った以上に飛んでしまって・・・」


アクアとエリーさんが練習してた距離からだとすると、ギリギリホームランに近いぞ。


「アクアって結構運動神経がいいんだな。」


「運動神経・・・」


「えっと、つまり、才能があるってこと。


「そ、そうか・・・それはよかった・・・」


安堵と同時に嬉しかったのか笑顔を見せるアクア。


「いやぁ〜・・・アクアちゃんの笑顔って綺麗だよなぁ〜」


浩二みたいに下心はないが、言ってる意味では同感できる。


「あふっ!?」


里奈の鈍い声が聞こえるのと同時に、地面に何かが倒れる音がする。


「おい里奈。大丈夫か?」


里奈の声がした方に向くと里奈が目を回しながら、倒れていた。


「卓人。どうしたんだ?」


「里奈がいきなり倒れた。」


「熱中症か?」


「まだ5月だぞ?この・・・バカは羽目を外さないかぎり大丈夫だ。」


「ひどいですよ!師匠!!」


ガバッと起き上がる里奈は涙目になりながら、そうツッコミをいれる。


「ほら?大丈夫だったろ?」


「ま、まあな・・・」


「優くんまでひどい!?」


ショックを受けた里奈はもう泣く寸前でツッコミをいれる。


「冗談だ。立てるか?」


地面にちょこんと座っている里奈に手を伸ばす。


「あ、ありがとう優くん(=゜ω゜)ノ」


「・・・なあ?語尾のその顔文字は最近流行ってるのか?」


「何言ってるんですか?流行らしたのは、私ですヨ?」


お前が流行らしたんかい!!


「いや〜、優くんのクラスの人はノリが良くて助かりますよ〜・・・」


まあ、一人だけしかいなけどな。


「まあ、話を変えて悪いが・・・お前はどうしていきなり倒れたんだ?」


「そうでしたよ!それは、後ろからいきなり強い衝撃に襲われましのですよ!頭にですよ!?致命傷になりかけたんですよ!?」


「落ち着け・・・ん?」


里奈の足元に落ちていた金属バットを持ちあげる。


「里奈はなんの練習してたんだ?」


「私が練習してたのは、素振りですヨ?」


素振り・・・ね。


「何回か振っていたら、いきなり手元が滑りましてねバットが飛んでいったのですよ!そうしたら、いきなり後ろの頭にドンッ!」


「・・・自分で叩いたんじゃないか?」


「ふえ?」


里奈はヘルメットを外し後ろの凹んでる部分を見る。


「バットも微妙に凹んでるぞ。」


「あっ・・・」


里奈にバットを渡すと気づいたのか表情がぎこちなくなってくる。


「あ、あはは・・・ヘルメットが超合金で助かりましたね?テヘペロ!( *`ω´)」


「バカかお前は!!」


ていうより、超合金のヘルメットに一番驚いたわ!


・・・っとまあ、野球練習初日は賑やかになりながら、過ぎていった。


EPISODE9:野球練習END

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