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4、エレベーターガール

エレベーター、逃亡士、細かい装飾。と、御意。




今回はそんな感じの第4話。




楽しんで読んでいただけると嬉しいです

俺は自分の声がこもるのも気にしないで呟いた。

周りのちょっと前までザワザワ通りが…

「止まってる…のか?」

何もかもが動いていない。一枚の静止画ように。

唯一動いているのは俺と周りの黒いマントを羽織った奴らだけ。

どおりでこの外から見たらとてつもなく奇怪な俺たちの姿を見て誰も何も言わないんだ。見えてないのだから。

「あら。いいじゃないお散歩。いい景色よ?ふふ。ほら、また怯えてる。」

自分の状況が想像以上に異常な状況であると気付いた俺の表情はさぞかし怯えていただろう。

ドSさんがめっちゃ喜んでいる。

「よっしゃ!目指せ歩いて1分のあの場所へ!」

近!!その程度でめんどくさいのかこいつらは。

俺はもう浮いてる状態にも慣れ、勝手に体が前に進むのを普通に感じる様になった。

何処へ行くんだろう。分からないけど、特に不安じゃなかった。

そのまま無言でてくてくと目的地へ向かう。

いや、俺はふわふわと動いてるんだけど。

何やらくねくねと曲がった脇道に入ってる。気付いた時にはもう周りは壁だらけ。

こういうのを裏道って言うのか…?なんか違う気がするけれど。

「到着だぜ☆」

元気っ子が言う。目だけで周りをみると、側にある入れそうな建物は細長く上に伸びたビルだけだった。

「もう拘束を解いてもよいのではないでござるか?ほら、拙者たちに助けを求めてるでござる!見るでござる!」

いや、そんな目してないし。してるとしたら黒マントの奇怪さを不審がってる目であろう。

「んー…そうね。もういいんじゃないかしら。見終わったしいろいろと。」

と、ドSさん。

「そだね!着いたしねー。ここから逃げれたらザ☆逃亡士の証をあげちゃう!」

びしっとウインク付きで言ってる元気っ子。

あれ?今さらだけど、なんだか元気っ子が柚季に似てるのは気のせい…?

「…フ……リャ…ノ…」

召使がまた別の暗唱を始める。

同時にゆっくりと俺の体が下に降りて、ふわっと地面に着地した。

「は、早く拘束を解いてあげるでござる!」

ナイス侍。

「御意。」

「……ミュ…カ……」

次はスルスルと俺を縛られているように錯覚させている何かが徐々に緩くなって体が楽になる。

しかし、やっとのことで立ち上がった俺はまだもう1つ拘束が解かれてないことに気がついた。

そう。

喋れないんだ。

口が何にかに塞がれたままで、声を出そうとしてももごもごとした音に変換されてしまう。

この拘束を解けると思われるのはただ一人。

今まで何やら詠唱したのもこいつだし、拘束解いてくれたのもこいつだった。

すべて他人の指示に従い、自分の意思を何も言わずにしっかり発した言葉はただ一つ。

“御意”

そう。あいつだ。召使。

…なんて名探偵気取りで推理してみたけど。さて、こいつらは口に付けたガムテ的なものを外す気はないらしい。

「はぁ…」

俺は周りは全く気付かれないであろうため息をつく。

「さて。行くわよ。この人の苦しむ声を聞けないのは悲しいけど…いつ詠唱されるか分からないし怖いわね。」

いや!俺詠唱とかするほどおかしくないし!

「んじゃーいっくよ♪開けゴマリンコ。」

とか言いながら元気っ子が豪快に両開きのドアを開ける。

「さぁいらっしゃい。あなたは一応お客様なんだから。」

ドSさんが俺を丁寧にエスコートしてくれる。なんだかその仕草が逆に怖いけれど。

細長いビルの中はそりゃ狭いって外から見れば分かるけど、これはさすがに…。

中を覗き込んで気がついた。

エレベーターしかないんですけど。

一歩入って周りを見渡しても変わらない。

普通なければおかしい階段すらない。正真正銘エレベーターだけなんだ。

「てい☆」

元気っ子が壁についてるボタンを先回りしてポチっとおす。

あれだ。エレベーターを呼びだすボタンなんだが…。

普通、一階だったら上のボタンがあるはずだよな?

一階建てでない限りだけど。

この建物は外から見たらかなり上へ上へのびていた。

ふと上を見上げてみる。天井がもしかしたら限りなく高いかも…と思ったんだけど。

俺の目に見えたのは普通の高さの天井だった。外から見た感じを考えると軽く5階建てくらいはあるだうな。

俺がこんなことを考えだしたのも無理がない。

だって、元気っ子が押したボタンは下方向しかなかったんだから。

もうそこは諦めて、改めてエレベーターに目をやる。

んー…一言で言うと、キレイだ。

それに尽きる。

何やら細かい装飾がたくさんついていて、全体的にレトロな感じだ。

いや、よく見るとホントに古いぞこれ。木製じゃないのか?

ほら、ボタン押してから到着するのに俺がここまで考える時間があるんだよ。

古い証拠じゃないか。

――チン――

あ、着いたらしい。にしても、この音からして古い。いったい何年前のものなんだ?

「さ、入るでござる。」

今度は侍がエスコートしてくれる。開いたドアから見える光景もやはり新しさは微塵も感じられない古いものだった。

でも、蜘蛛の巣やら埃やらが見当たらないところをみると、定期的に掃除されてるらしいそれに俺もひょいっと乗った。

外から見たら気付かなかったが、中に入るとこれまた珍しいエレベーターガールがこっちを見て優しく微笑んでくれていた。

続いて、ドSさんが乗る。その次は、

「よっこらせ♪」

元気っ子。同じくらいのタイミングで侍も乗る。

後に続いて召使が乗った。

なんだかこの四人の力関係をそのまま表したような順番。

――ビー――

読んでいただきありがとうございました




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