そんな距離で好きって言わないで!
「幼なじみ、だけど好きでいいよな?」
……あれ、やっぱ、あれって、告白だったよね!?
次の日の朝。登校中。
「うわあああああ!」
私は思わず声を上げて、自転車のペダルをこぐ足に力が入る。
「やっぱ無理!顔合わせられないってば!!」
昨日の涼の笑顔が、脳内で何回もリピート再生されてて、
心臓がもうずっと爆発しそうなんだけど!!!
教室のドアをそーっと開けると、涼がいつも通り、後ろの席で寝てた。
(あんなこと言ったのに、いつも通り……!?)
「おはよ、彩〜」
悠真が声をかけてくる。
「って、顔赤っ。……さては昨日のやつ、気にしてるな?」
「き、気にしてないし!!!」
「はいはい、バレバレ〜」
悠真がニヤニヤ笑って通り過ぎる。
……くっそ、あいつ、全部お見通しかよ!
(でも……気にしないなんて無理でしょ……)
「なんで……なんで、あんなこと言うのよ……」
涼の天然(?)告白が頭から離れなくて、教室に居たくなくて。
私は気づいたら、席を立って、廊下に飛び出していた。
「っ……バカ……っ、知らない……!」
階段へ向かって走る途中。
カタンッ
「──っきゃっ!」
足が引っかかって、視界がぐらりと傾く。
落ちる──!と思った瞬間、
「危なっ……!」
背中にぬくもり。
腕の中に、抱きとめられていた。
「っ……黒崎……くん……?」
涼が、すぐ目の前に居た。
ほんの数センチ、目と目が合う距離。
腕の中。顔が近い。体が、触れてる。
「……寝てたんじゃなかったの……?」
「寝たふりしてただけ。」
「なっ……」
「逃げると思ったから。」
「えっ」
「逃がすつもり、なかったから。」
「……っ」
ドクン、と音がした。
それが私の心臓だって、自分でもびっくりするくらい、響いた。
「お前、昨日からずっと顔真っ赤なんだもん。」
「……な、何よ、それ……っ」
「かわいいなって思って。」
「──っ!!!」
「俺、お前のこと、ちゃんと好きだよ。」
耳元で、低くて優しい声が響いた。
心臓が、爆発した。
「う、うるさいっ!!ちょっと離れて!!ばかっ!!」
「ごめん、でも手、まだ震えてるよ。」
「……っ……バカ……っ」
恥ずかしすぎて、もう何も言えなかった。