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7.信頼


 長老から居住許可を頂いた後、まだ俺が住む事に不信感を持ってる者も多くいたが、大々的に宣言されてしまったため誰も不満を口に出す事はなかった。

「そしたらアル僕達が案内してあげるね!」

子供達が再び手を引いてくる

「あの、その前に名前聞いてもいい?」

村を案内してくれる前に先ほどの口論で助けてくれたお礼を伝えるために名前を尋ねる。

 

 出会って最初に声をかけてくれた赤髪で吊り目の女の子がグラッソ。

 横にいる金髪の少女がアニー。

 そして唯一の男の子でオレンジ髪の少年がエドワード。


「グラッソ、アニー、エドワードさっきは助けてくれてありがとね」

お礼を言われ嬉しそうに微笑む三人を見てランドルを出てから初めて優しい気持ちになることができた。

 その後約束通り三人は村の隅々まで紹介してくれた。途中案内に飽きたエドワードが遊びに誘ってきたが、他の二人がそんなエドワードを注意し、ちょっとした小競り合いになったが、そんな光景もなんだか懐かしく昔のランドルを思い出した。

 村の案内が終わりヴァイトの家の前で解散するとヴァイトが家の中から出てきて俺を招き入れる。

「どうだ村の事はだいたい分かったか?」

「ああ問題なく」

「それは良かった。あいつらはどうだった?」

「三人とも賑やかで久しぶりに笑った気がする」

「それはもっと良かった。とりあえず2階の部屋が余ってたからそこを使ってくれ」

 ヴァイトの家はまさに男の一人暮らしを体現した様な部屋になっており、整理整頓されているわけではないが程よい散らかり具合のおかげで変に緊張しないで済んだ。

 ヴァイトの雑なルームツアーを聴き終えた後2階の部屋に入ろうとした時改めてヴァイトに気になったことを尋ねた。

「ヴァイトはどうして会って間もない俺にここまで良くしてくれるんだ」

ヴァイトは少し呆れた様子で答える。

「アル大人ってのはな、困ってる子供がいたら助けるんだよ。それが例え種族が違おうが歪みあっていようがな」

 「それでもさっきの村の大人が言ってた様に俺が裏切って村に危害が加わる可能性は捨て切れないだろ?なんでそこまで信用出来るんだよ!」

「お前は裏切るのか?」

「死んでも裏切らない!!」

 ヴァイトの問いかけにスターリングの顔が浮かびつい声を荒げてしまう。

 そんな俺の反応を見てヴァイトは微笑んだ。

「だろ、なら問題ない。アル、お前は自分が死にそうな状況でも他人を心配することができる様な心優しい人間だ。

 そんなお前が俺達を裏切る様なマネは絶対にしないって俺は知ってる。何より俺の勘がアルは大丈夫って言ってるからな」

「そ、そんな簡単に信用してんじゃねーよ!」

 ヴァイトが自分の事をよく見ていてくれたことに涙が溢れそうになるが、何とかバレない様に背を向けて必死に顔を隠す。

「ワッハハハッまあ今日は疲れてるから早く寝ろよ」

ヴァイトが部屋を去った後、一人ベットに潜ると様々ない感情が入り混じる。

 それでも長い間常に死と隣り合わせで生活してきた中、久しぶりにこうしてベットで寝れることに喜びを感じ安心感で心が満たされると、身体が疲れを思い出したかのように押し寄せ、いつの間にか寝てしまった。

 

 こうしてアルの長い一日が終わった。

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