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23. 襲撃

目を覚ますと17時を過ぎていた。

 昨日は結局ルルと日が昇るギリギリまでお祭りを楽しみ、宿に戻ると疲れがどっと押し寄せてきたためすぐに泥のように眠むってしまった。

 昨日の光景を思い出しながらベットから這い出ると、余韻に浸りつつゆっくり身支度を済まして外に出る。

 外では撤去作業でどこもかしこも、ごった返しており、既に昨日のお祭りの面影はほとんどなくなっていた。

「昨日は楽しめたか?」

 ぼんやりと撤去作業を眺めていると後ろから聞き慣れた声がかかる。

 「ああ、おかげさまで最高な1日になっよ。改めて色々と手伝ってくれてありがとな。このお礼は何処か必ずさせてもらう」

「ワッハハハ、それはよかった!お礼なんて結構、って言いたい所だが、折角だしお前が成人したら高級なお酒でもご馳走してもらうとするか!」

「そんな事で良かったら幾らでもご馳走てもらうよ」

「それまでは絶対にくたばるんじゃねーぞ、アル」

「肝に命じておくよ」

 そのまま2人でルルを待っていると俺の到着から5分ほど遅れて宿から出てきた。

「すいません!お待たせしました」

「俺とヴァイトが早くきただけだから安心して」

 少し慌てた様子で現れたルルを落ち着かせ、街を後にする。

 帰り道も特に問題はなくスムーズ進んでいた。

 しかし、森の中部に差し掛かった頃、猛烈な違和感に襲われる。

 そしてそれは進んでいくと確信に変わった。

「さっきから魔獣どもの気配が一切感じれないからおかしいと思っていたが、この辺りから急激に馬の足跡が増えていやがる」

「それって誰かがここを通ったって事か?」

「ああ間違いなく。それも1人や2人じゃねぇ、下手したら100人以上だ」

「100人も!」

「嫌な予感が当たらなきゃいいが、とりあえず先を急がぞ!振り落とされない様よく掴まっておけ!」

 みるみる馬は加速していき、やがてしがみ付いてるのがやっとのスピードで森の中を駆け抜けていった。

 

先程まで快晴のだった空に雲が陰り出し、全身を包む嫌なベタつきを振り払うかの様に向かい風に耐える事1時間、とようやくルヴァン村の入り口が見えてきた。

 しかし、残念な事に違和感が勘違いなどではない事を証明するかの様にルヴァン村を覆い隠す隠蔽魔法の結界が解かれていた。

「うそ…」

 ルルの顔から血の気が引く。

「いやいや…誰かが間違えて魔法を解いたままにしてるだけかも…」

 「それはない」

 現実逃避していた所を、ヴァイトの冷たい一言で現実に引き戻される。

「結界の重要性はルヴァン村の住人であれば耳が痛いほど言い聞かせられてる。これは間違いなく外部の誰かが侵入している」

 「……!早く中に入らないと」

 急いで中に入ろう走り出した俺の手をヴァイトが掴み制止する。

「何やってんだよ!ヴァイト」

「冷静になれアル!敵は100人以上いる可能性がある上に、ここまでやってこれる時点で強者だ。冷静さを失えば死ぬぞ!」

「……!」

 その時、ルルの震える手が優しく俺の腕に触れる。

「アルくん、ここはヴァイトさんの言う通りにしよ」

「…取り乱してごめん」

「気にするな。それよりアル、これから先は俺が逃げろと行ったらルルを連れてすぐに逃げ出せ、分かったな」

「…!そんなことできるわけな、、、」

 ヴァイトの視線が俺を貫く。

「…分かった」

「第四界隠蔽魔法 認識阻害」

 ヴァイトの魔法が3人を包む

「これで俺たち3人は外部から認識されない。これから先は最新の注意を払っていくぞ」

 ヴァイトを先頭に洞窟を進む。

 洞窟の中部に差し掛かると至る所に光を放つ魔道具が幾つも置かれており、何者かが侵入したことを決定づける。

 はやる気持ちを抑えてつつジリジリまるで泥の中を進み、ようやくルヴァン村の入り口が見える。

「う…嘘だろ」

 

そこにはあの日のランドルを彷彿とさせる地獄絵図が広がっていた。

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