表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/30

9.修行


魔力回復兼食事休憩を二時間ほどとった後ヴァイトが立ち上がり話し出した。

「それじゃあ休憩もこれぐらいにして、早速今日の修行を発表する…………」

 勿体ぶったことで独特な緊張感が生まれ、アルの生唾が喉を我が物顔で存在感を放ちながら通過する。

「瞑想だ」

「は?」

 特別な修行を期待していため、ついすっとんきょな声が口から漏れてしまう。

 「おいヴァイト!ふざけるのもいい加減にしろ!」

「まあそう怒るなって、これは至って真面目な修行だ。とりあえず今からする説明を聞けばいかに瞑想が重要か理解できるはずだ」

 ヴァイトこ声が真剣なトーンに変わる。

 「まず魔法の基礎について話すが、その前にアル、魔法の使い方を俺に説明してみろ」

「使い方って…まず使いたい魔法の強さを決める界数、その次に種類、そして最後にその魔法のイメージを定める為の固有名称の順に唱えると魔法が発生する」

「それじゃあ何故お前は高界数の魔法を扱うことが出来ないと思う?」

「それは単純に俺の才能と修行が足りないからだろ」

 貴族の子供なら7歳程の年齢でも答えられる簡単な質問に思わず苛立ちが滲み出てしまう。

「50点って所だな」

「は?何でだよ、どこも間違ったこと言ってないだろ」

「ああ確かに間違っていることは言ってないが本質を理解できているわけでも無い、それをこれから説明する」

「本質…」

 アルが魔法を習いたての頃、外部から呼んできた魔法師や魔法書もこの辺の内容はサクッと終わらせすぐに実践練習や具体的な使用方法に移行していた為、魔法の本質などを考えたことはなかった。

「まず最初に言った界数についてだか大前提として界数は魔法の強さを決めるものではなく、その魔法に必要な魔力の出力、及びその魔法に与える効果や脳内で構築する魔法陣の複雑さを示すものだ。

 まあ簡潔に言うとその魔法の難しさを定める役割だな」

「難しさって言っても実際戦場だとより高い界数の魔法の方が強いだろ」

「確かに基本的には高界数と低界数の魔法がぶつかったら高い方が打ち勝つことが多い、だけどそれは絶対的なものではない。

 第一界魔法でも使い方や使い手次第では第三界の魔法に打ち勝つことだってできる」

「三界に?!それはいくらなんでも不可能だろ」

「いや可能だ実際にこの後の話を聞けばわかる。がその前にもう一つ話しておかなきゃいけない事がある。

 それは魔術についてだ」

「魔術?」

「ああ魔法とは魔力を体外に放出して使用するものだが魔術はその逆、魔力を体内の中で循環させ自身の身体能力を上げたり、高純度の魔力を捻出する技術だ」

「魔術……その高純度の魔力ってのはなんだ?」

 聞いたこともない単語の羅列に困惑すると同時に、未知の技術の登場にアルの心が躍る。

 「そのままの意味だが改めて説明すると、俺たちは魔法を使う時、魔力を使って発動させるがその際無意識の内に使いたい属性に合った魔力を体内で集めている。例えば毒魔術を使う際は毒属性の魔力を樹木魔法を使う時は樹木属性の魔力を好んで集めてるって事だ」

昔教わっていた魔法講師や魔法書では聞いたことも見たこともない情報が雪崩の様に飛び込んでくる。

「つまり魔力って言うものは体内で生成された段階で得意、不得意の属性があるって事だ。

 その上で人によって体内で作られる魔力の属性の偏りが発生し、それが原因で得意魔法、不得意魔法って言うものが存在する」

 こちらが理解できる様噛み砕きペースを考えながら説明をづづけていく

「この前提の上で高純度について説明するが、さっき無意識で集めると言ったが、正直無意識で集める魔力は不純物が多いい。例えば火属性魔法を使おうとしているのに集めた魔力の何割かは火とは関係のない水や風属性なんかが混じっちまう。これによって魔法の出力が下がり、高界数魔法になるとそもそも魔法が発動する為の最低力の属性魔力を満たせなくて魔法が失敗に終わっちまう。そこで必要になってくるのが高純度の魔力だ。生成された魔力を魔術を使って選別して意識下で使いたい属性の魔力だけを集められると、魔法本来の出力に戻って魔力効率もよくなる。その上高界数魔法の発動最低条件の魔力も集めやすくなって、高界数の魔法が扱える様になるってわけだ」

 曖昧だった魔術のイメージがクリアになっていく。

「もしその魔術を扱える様になるとどんな属性、高界数の魔法が使える様になるってことか?」

「いやあくまでそれは無い。魔術はあくまでも本来その人が持ってる力の100%を扱える様になるってだけでそいつのポテンシャル以上の物を引き出すことは出来ない。

 つまり体内で火属性魔力がない奴はいくら選び取っても火属性魔法は使えないし、そもそも体内で作られる属性魔力以上の界数の魔法は使えない。そこは残念ながら生まれ持ったものだ」

「それじゃあ魔術を完璧に扱える様になっても第七界魔法を扱えるとは限らないってことか?」

「ああその通りだ。正直七界レベルを使うとなるとそもそも常人とは画一してる魔力量を保有してる上でさらに魔力が特定の属性に相当偏ってないと扱えない」

「そうだったのか…ちなみにヴァイトから見て俺は第七界魔法が使えると思うか?」

 左手をこめかみに当て少し俯きながら言葉を探す。

「正直厳しいな、俺達ヴァンパイアは目に魔力を通して相手を見ると相手がどれだけの魔力を有しているか分かるんだが、お前の魔力量は多い方ではあるが第七界魔法を使えるほどではない。と言うかほとんどの生物が七界を扱うことなんで不可能だ」

 ヴァイトの無慈悲な言葉がアルを襲う

「そうか……正直に言ってくれて助かる」

「他に聞きたいことはあるか?」

「いや知りたいことは全部聞けた。改めて修行の方よろしく頼む」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ