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プロローグ
「さぁ世界よ、始めようか戦争を」
目下に広がるのは夥しい数の輝き。
それは穢れなき血統、裕福な家庭、幸せな生活を営み明日来ることを信じて疑わないもの達の生きる印。
「私達の目的はただ一つ。
この世界から全てを奪うこと。お前達人間がそうしてきたように」
灰色の雲で覆われた夜空は星を奪われた悲しみに暮れ、今にも泣き出しそうにしていた。
そっと目を閉じ亡くなった最愛の者達に追悼を捧げる。
凍てつく大気が世界から熱を奪い去る中、静かに瞳からこぼれ落ちる一滴の雫に籠った熱だけが自分がまだ生きてることを実感させた。
「開戦だ」