4 着服発覚と処分
施設長の着服が発覚した。取り調べを受け事務員10人が処分された。マリエールは施設長になった。
4 着服発覚と処分
3度目に年金を貰いに行く時宰相に施設長がマリエールの年金を着服している事実を細かく伝えた。翌日捜査に入ると返事があった。その日は何食わぬ顔でいたが施設長に声を掛けられた。
「年金は出たかね。あのお金がないとやり繰りが厳しくてね。」
マリエールは出たら直ぐ持って行きますと応えた。
翌日捜査が入った。マリエールが言った通り裏帳簿が見つかった。施設長が連行された。帰り際宰相が言った。
「施設長はきみがやりなさい。マリエールきみが一番適任だ。」
とてもそう思えないが、やるしかないだろう。各病棟長に事実とマリエールが施設長になった事を伝えた。残った9人の事務員から仕事のノウハウを聞いた。テレパスも使って深いところまで確認した。何とか出来そうだ。
翌日9人の事務員も連行された。各病棟から1人づつ事務員が貰えたので何とかやっている。マリエールは治療と施設の管理で忙しい。年金は着服された事があるので自己管理している。事務員の一人に言われた。
「事務は我々で出来ます。マリエール様はこの施設の顔としての役割を担って下さい。」
と言って貰えた。マリエールは午前中治療、午後から事務所で勤務する事にした。
マリエールも15歳に成った。この世界では成人だ。時々結婚話があるが興味はない。マリエールが施設長に就任した事で傷病者施設が注目されるようになった。寄付の申し出は受けるが、治療の依頼は受けない。傷病者施設は他に治療が受けられない市民の為の施設だ。他に医療が受けられる貴族達の施設ではない。施設長になり回復魔法を始めいろいろな魔法の力が強く成ったり新たな魔法を身付けたりした。一番の収穫は創生魔法だろう。いろいろな医療器具、消耗品、薬剤が出来る。医療従事者でもないマリエールには限度があるが、医療の向上に役立った自信はある。
各医療機関、医師達との交流の場で紹介するととても褒められる。取り敢えず無償で融通する。
これとは別に第1王子が凶悪な魔獣討伐を手伝って欲しいと言ってくるが断る。また魔王が出たわけでもないでしょ。軍人なり冒険者なり連れて行けばいいわよね。聖女の力がいるわけでもないでしょう。私あの王子2度と会いたくない。結構しつこく何度でも言ってくるので宰相に連絡して辞めさせた。宰相の話に拠ると第1王子が評判を落とす事が続き、魔獣討伐と聖女との結婚で挽回したいのではないかということらしい。絶対に嫌だ。
季節が変わる頃、第1王子に関する情報が合った。王子は討伐に失敗して王子を始め殆どのメンバーが亡くなったらしい。軍人30名冒険者30名総勢100名の軍勢がである。魔獣はドラゴンである。私が居たってどうにもならないのではないか。そんなもの私知らないよ。時が経つともう少し詳細が伝わった。ドラゴンは自己修復するらしい。傷付いても治るらしい。その意味では魔王と一緒だ。知っていたかどうか知らないが、聖女の力を求めたのは正解だったようだ。マリエールにどうにかなるか判らないが。
第1王子から討伐の誘いが有った。断ると討伐に失敗して第1王子は亡くなったと知らされた。