落ち込まないで
「アーキーさん。落ち込んでる暇はないですよ!この公園の木から葉っぱがなくなるまで、どんどん続けましょう」
「わかりました。リズリさんは、優しいですね」
「そんな事ないですよ。それに、他のみんなだって初めから何でも出来たわけじゃないんですよ。みんな、諦めずに頑張って続けたから出来たんです。だから、アーキーさんも頑張りましょう。私が見守ってますから」
確かに、リズリさんの言う通りだ。
学校で、クリーン先生が教えていた子達も……。
諦めずに、何度も何度も挑戦していた。
俺だって、諦めなかったら絶対に出来る!
何度、失敗したってやるんだ!
そしたら、絶対!!
「リズリさん。俺、頑張ります」
「はい。一緒に、頑張りましょう」
気合いを入れて「マトメー」と叫ぶ度。
リズリさんと俺は、葉っぱにまみれた。
それでも、諦めずに何度も何度も叫び続けた。
リズリさんも、昼過ぎまでマトメーの練習に付き合ってくれたけれど。
結局、俺は公園内の葉っぱを巻き散らかしただけで終わったのだった。
全部の木から葉っぱが落ちて大きなため息をつく。
「そんなにガッカリしないで下さい」
リズリさんは、聖母のように優しく微笑んで俺の肩をそっと撫でてくれた。
リズリさんと一緒にアパートへ帰る。
リズリさんは、すぐに壁の修理を手配してくれて、悲しんでいる俺に紅茶まで入れてくれた。
やっぱり、リズリさんは優しい。
「結局、散らかしただけでした。何か、すみません」
「最初は、そんなものですよ。慣れれば、大丈夫ですから。また、明日もやりましょう」
「でも、やる意味ありますかね?」
「ありますよ。アーキーさんが必要なものと不必要なものを見る目が養えられればマトメーは簡単に習得できるんですから!頑張りましょう。私がついてますから」
「でも、もう葉っぱが……」
「大丈夫です。別の場所がありますから」
にっこり笑いかけてくれたリズリさんは、やっぱり母に似ていた。
そんなリズリさんに励まされたお陰で勇気が湧いてきた。
大丈夫!
マトメーを習得できる。
「頑張ります」
「はい」
リズリさんがいれてくれた紅茶を飲み干した俺は、笑顔でガッツポーズをした。
「それじゃあ、帰りますね」
「はい」
壁の穴が埋まったので、俺はちゃんと玄関から家に帰る。
リズリさんと話してやる気が出たから、疲れて帰ってくるホウのために晩ご飯でも作ってあげよう。
シェッフルを使うといいんだよな。
あっ、でもリズリさんが言ってたみたいに自分で作るのがいいのかも。
冷蔵庫の中を開けるとオムライスなら作れそうな材料があるのがわかる。
「白いけど。形でだいたいわかるもんなんだなーー」
俺は、真っ白なウィンナーを取り出しながら頷いた。
いや、俺にはうっすら色が見えるからわかるのかも知れない。
バターは、黄色い箱に入ってる気がするし。
ケチャップはちゃんと赤色がうっすらついている。
じゃあ、作れる。
大丈夫。
母さんが作ってくれた時のことを思い出しながら。
ガチャガチャ。
ガチャン。
ドンドン。
ゴトッ。
「あーー、玉ねぎ。目に染みる」
トントン。
ガンガン。
「何でだ!うん?どうなってる?」
ガンガン。
何故かフライパンの取っ手が取れたので、俺は一生懸命直してみる。
ガチャガチャ。
ドンッ。
「いたーー」
ガシャン、ガチャン。
「何だよ。これ……」
「えっ?」
足をキッチンにぶつけて痛がっている俺を見つめながら、ホウは「最悪だよ」と呟いた。
「おかえり、ホウ」
「あり得ないよ」
朝より怒っているのがわかる。
ホウは、イライラしながら自室に入って行く。
とりあえず、片付けなきゃ。
ガチャガチャ。
ガチャガチャ。
ガシャガシャ。




