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スキル汚部屋しかない俺が異世界で掃除スキルを習得してもしかしたら整理収納アドバイザーになれるかもしれない?!お話【仮】  作者: 三愛 紫月
第一章 真っ白な世界

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リズリさんの話と決意

「朝ご飯、いれてきますね」

「はい」


リズリさんは、キッチンに行く。


「シェッフルが作ってくれるんですか?」

「忙しい時は、そうですけど。なるべく自分で作るようにしてます」

「そうなんですね」 

「10歳になったら、シェッフルを使えるようにしなくちゃいけないので。それまでは、やっぱり母の味を覚えさせてあげたくて」

「そうなんですね。素晴らしいです」

「そうかしら?」

「そうですよ。シェッフルのように便利なものがあるのに……」




リズリさんを見ながら……。

俺は、愚か者だったのがわかる。

便利なものに頼って、お金があるからって宅配に頼んでばかりで。

何も学習しなかったから。

シェッフルさえも使う才能がなかった。


「お待たせしました」


味噌汁、ご飯、卵焼き、ウインナー、レタス。

見た目や形でわかるのに、やっぱり全部真っ白……??


「どうされました?」

「いえ。何もありません」


どうしてだろう。

ウインナーの色が赤い。


「いただきます」


俺は、ウインナーを掴んで見つめる。

そうか。

これは、俺の脳の残像なんだ。


「色がついていますか?」


ウインナーをまじまじと見つめる俺にリズリさんは言う。


「えっ、いや。そんな事は……」

「大丈夫ですよ。私にも、そのウインナーは赤く見えますから」

「えっ?」

「私が幼い頃は、この王国も色がありました。ですが、いつの間にか色は消え去り……。ただの真っ白な世界になったんです」


リズリさんは、悲しそうにしながら白い湯呑みで白い液体を飲む。

そう言えば、初めて出会った時にパーンが俺に言っていた。

魔法で、色をとられてしまったと……。


「生物以外の色がなくなったんですよね」

「そうです。生物に色がついているのは、街と同化してしまうとわからなくなってしまうからです。だから、真っ白な生物達はみんな黒王国に送られました」


リズリさんの悲しそうな顔に真っ白な生物が知り合いにいるような気がした。


「あの、こんな事聞いていいかわからないんですが……。リズリさんは、真っ白な生物に知り合いがいるんじゃないですか?」

「はい。小さな頃の私にスキルを教えてくれた真っ白なウサギのチル先生です。母親を早くに亡くした私にとって、彼女は母親代わりでした」



リズリさんは、ポロポロと泣き出す。

リズリさんの言葉に奪ったのは、色だけじゃない事がわかった。


体の底から、怒りが沸いてくるのを感じる。

スキルを全て覚えて、この世界に色を取り戻してあげたい。

ホウやリズリさんの為に……。


「すみません。ご飯、食べてください」

「はい」


ウインナーは、懐かしい味がする。

味噌汁は、大好きな母の味に似ている。

涙が頬を伝うのがわかるけど、気にせずご飯を食べ進めた。


ここに来たのは、俺にしか出来ない事があるからだ。

リズリさんは、俺の邪魔にならないようにキッチンで片付けをしている。


諦めずに頑張らなきゃ!

俺がやらないとこの世界に色は一生つかない。


「ごちそうさまでした」


涙を拭った俺の元にリズリさんが、やって来る。


「マトメーの練習、よろしくお願いします」

「はい」



リズリさんは、ニコニコ笑いながら「ピカピカ」と小さく呟いた。

すごい。

リズリさんが、シンクに下げたお皿はふわふわと浮き。

真っ白なスポンジで洗われ始める。



「整理収納アドバイザーになるとあらゆる事がスキルで出来るようになるんですよ。それじゃあ、まず。リオに教えていた纏める作業のやり方を練習してから……。実際に公園でマトメーを使ってみましょうか?」

「はい。わかりました」


大丈夫。

今の俺なら出来る!

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