温め直せない
たくさんの方に読んでいただき嬉しく思います。
今の予定では、10万文字での完結を目指して執筆しています。
この先、読んでくれる方が今より増えたり、ブックマークやポイントが増える事がありましたら、続きの執筆も考えようと思います。
ここまで、読んで応援していただきありがとうございます。
最後まで、読んでいただけたら嬉しいです。
昨日、リズリさんが片付けをしてくれたお陰で早めに寝る事が出来て助かった。
「おはよう」
キッチンにいるホウに話しかけたけれど無視されてしまう。
「あのさ、ホウ。昨夜は、ごめん。俺、ホウに迷惑かけないようにするから……」
ホウは、俺を見ずに出て行ってしまった。
許してくれないよな。
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コンコン……。
「どうした?」
「昨夜、アーキー君が水道の蛇口を壊したみたいです」
「また、破壊のスキルが発動されたのか?」
「違います。どうやら、蛇口を捻ろうとしてはずれたようです」
「まさか。そんな事があるとは……」
「ソウヤ理事長。やはり、汚部屋スキルは強いものなのですね」
「どうやら、そのようだな。ミズー。報告は、それだけか?」
「いえ。もしかするとホウ君がアーキー君を見捨てるかも知れないと思いまして」
「まさか。それは、困るよ。一人になってしまったらアオーに殺されてしまう」
「そうですよね。何とかしてみます」
「頼んだよ」
私に頭を下げて、ミズーが出て行く。
彼がいなくなれば、この街に色がつかない。
どうしても、二人で頑張ってもらわなければ……。
そうだ。
リズリに連絡しておこう。
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グゥーー。
「お腹すいたな……」
冷蔵庫にあるカレーを温める為に鍋ごとガスコンロにのせる。
カチカチカチ……。
温めるぐらい俺にだって出来る。
カチカチカチ……ボゥ。
火がついてカレーが温められる。
「触らないのが一番だ」
弱火にして触らないように気をつける。
あっ、アオーの掃除だ。
昨夜は、リズリさんがアオーを片付けてくれた。
朝食の前にアオーを片付けてからご飯を食べなきゃ。
って、言ってもこの部屋にはもうアオーの姿はない。
そうか。
ホウが片付けてくれたんだ。
俺の部屋のも……。
「アーキーさん、入っていいかしら?」
「あっ、はい。リズリさん」
「何かね。すごく、焦げ臭い匂いがするんだけど」
「えっ?」
慌ててコンロに向かうとモクモクと鍋から煙が出ている。
「えっ?何で?あ、あっつーー」
蓋を外した瞬間。
蒸気で火傷する。
中身を覗くと丸焦げだ。
「ゴホッ……ゴホッ……」
「大丈夫ですか?アーキーさん」
「昨日のカレーさえも温められないみたいです」
最低だ。
俺のスキルは、何も出来ない。
「アーキーさん。大丈夫ですよ。一つずつ、やっていきましょう」
「はい」
「まずは、何から始めましょうか?」
「何から……そうですね。やっぱり自分の力で、アオーを片付けられるぐらいにはなりたいです」
「わかりました。じゃあ、それをやりましょう。その前に、朝ご飯を一緒に食べましょう」
リズリさんの言葉に甘えてしまう。
「それじゃあ、私の家で食べましょう」
リズリさんに連れて行かれて、朝ご飯を食べに行く。
「息子さんは?」
「リオは、もう保育所に連れて行きました」
「リオって言うんですか?」
「はい。リオです」
「可愛い名前ですね」
「ありがとうございます」
リオ君は、母親の愛情を受けながらスクスクと成長していくのだろう。
俺とは違って、立派な大人になっていくんだろう。