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初めての遭遇

俺とホウは、相変わらずシチューの見た目をしているカレーを食べる。


「あのさ、アーキー」


「何?」


「アーキーのいた世界だったら、僕も彩りが出来たかもしれないね」


ホウに言われて、俺は確かにと納得していた。


「こんな真っ白な世界じゃ彩りなんか覚えられないよな……」


俺は、カレーを見つめながらホウに話した。


「でも、みんな。出来てるから……。僕には、色を読む力がないんだよ。きっと……」


「そんな事ないよ。他は、何だって出来ているじゃないか……」


「どうかな?僕もアーキーと対して変わらないよ。ごちそうさまでした」


ホウは、食器を下げに行く。


ホウと俺は、全然違う。


「彩りの勉強をして寝るよ!じゃあ、おやすみ。アーキー」


「おやすみ」


俺は、部屋に行くホウを見つめていた。


俺は、ここでの生活が少し不安だった。


それは、スキルが汚部屋しかないからだ。


俺も寝るかな……。


部屋に入り、ベッドに横になり目を閉じる。


ブー、ブーという音が聞こえ始める。


寮にいた時にはなかった。


「な、何だ?」


俺は、眠い目を必死で開ける。


(アオーが止みました。直ちに、掃除を開始して下さい)


ブー、ブー、ブー


(アオーが止みました。直ちに、掃除を開始して下さい)


アオーだって?


俺は、ベッドから慌てて起き上がる。


ドンッッッ……


「いたたたたた」


バンッッ……


勢いよく部屋のドアが開いた。


「な、な、な、」


「アーキー、大丈夫か?」


ホウがいきなり入ってきて驚いた。


「触っちゃ駄目だ」


そう言われて、左手の下を見るとアオーがいる。パーンに見せてもらったものより気味が悪い。

そいつは、俺に近づいてくる。


「フーキー」


ホウが大きな声で叫ぶ。


その瞬間、真っ白いタオルとバケツがどこからともなく降ってきた。


「アーキー、自分でも拭かなきゃ間に合わないよ!僕は、他の部屋をやるから、そのタオル使って」


「わ、わかった」


ホウは、別の部屋に行ってしまった。

屋根に穴が開いてるわけじゃないのに入ってくるなんて不思議だな。


俺は、タオルを一枚取る。アオーは、思ったよりも侵食する。


ホウの魔法が拭いてくれても、すぐに増える。


「拭き掃除って、俺、出来るのかな?」


俺は、見よう見まねでやってみる。


フキフキフキフキフキフキフキフキフキフキ……?


何故だ?何故?何故?


広がっている。


さっきより確実に広がっている。


おかしい。おかしい。


何故だ?


何故だ?


「アーキー、終わった?」


ホウが部屋を開ける。


「あっ、ああーー。何とか」


「終わってないけど」


「な、何でかなーー」


ホウは、俺の横に来る。


「雑巾は、絞らないと汚れが広がるんだよ」


ホウは、手早くアオーを拭きとってくれた。


「アハハ。忘れてたよ」


俺は、とっさにホウに嘘をついた。


「ちゃんとこのバケツに絞ればよかったのに……。アーキーの世界では、雑巾がけはなかった?」


「あっ、俺はほらモップを使ってたからさ……」


「モップかーー。今度、頼んどくよ」


「よ、よろしくーー」


ホウは、アオーを片付けてくれる。



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