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お風呂場での練習

俺は、寮の部屋に戻ってきた。


練習あるのみだ!


お風呂場に入って、「マトメー」と叫んだ。


ザザッ……


ザザッ……


カンカラ……


ガッチャン……


備え付けの棚に置かれたシャンプーやリンスや石鹸や風呂桶まで床にぶちまかれた。


最悪だ……。


で、俺はこれを片付け方がわからない。


なので、ひたすらにこれを言うしかない。


想像して、「マトメー」


想像して、「マトメー」


想像して、「マトメー」


想像して、「マトメー」


想像して、「マトメー」


………………。


「最悪だ」


いつの間にか、シャンプーやリンスの中身までもぶちまけられていた。


ぐちゃぐちゃだ。


「あーー」


「大丈夫?」


ガタン……


お風呂場の扉が開いた。


「あっ、あっ、ホウ」


「何?これ?」


「あっ、あの……ごめん」


「まだ、習得出来ないなら仕方ないよ」


ホウは、お風呂場を見つめてから「マトメー」と唱えた。


ホウが唱えると……。


カタカタ……


カチッ


元通りに、全部戻ったのだ。


「すごいね」


「そんな事ないよ!アーキーもいずれ出来るよ」


「ありがとう」


「とりあえず、シャワー浴びなよ!シャンプーやリンスまみれだよ」


「あっ、うん」


俺は、シャワーを浴びた。


ホウがいるから、何とかなってるのがわかる。


いなかったら、ゴミ屋敷になってる所だ。


「アーキー、ご飯行こう」


「うん」


俺は、ホウと食堂に行く。


「今日は、ミートスパゲティーだって」


ホウは、嬉しそうに笑っているけれど……。


俺には、クリームパスタにしか見えない。


「いただきます」


「いただきます」


食べると味は、ミートスパゲティーで頭の中が混乱する。


「ごちそうさまでした」


「ごちそうさまでした」


俺は、ホウと一緒に食堂を出た。


「今、受けてる授業が彩りだからね」


「うん」


「想像するんだよ!アーキーが、色をつけてくれたこの世界を……」


諦めそうになっていたけれど、ホウのキラキラした目を見たら頑張るしかないと思った。


「今は、彩りって言っても白だからね!何にも彩られてないよね」


「そうだな」


俺は、ホウと笑い合っていた。


「アーキーの世界みたいな色をつけてよ!」


「そうだな!頑張るよ」


「頑張って、応援する」


寮の部屋に戻る途中だった。


「なぁー、サイがひかれたってきいたか?」


「赤信号に気づかなかったのか?」


「気づかなかったんじゃなくて、信号無視だよ」


「またかよ!」


「音じゃわからなかったらしいよ。運転手が……」


俺は、通りすぎる彼等の声を聞いていた。


やっぱり、音じゃわからないんだよな!


頑張るしかないよな!


俺が、色を取り戻すしかないんだよな!



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