死んだ?《再加筆修正しました》
「あのーー、もしもし。さっきから話してるの全部聞こえてるんですが。って、聞いてます?寝たフリしてます?」
夢の中で、まだ誰かに話をされている。
そうか、まだ夢の中だ。
だって、さっき眠ったばっかりだし。
俺は、瞼をギュッと閉じる。
「あのーー、もしもし!!!!!」
「さっきから、何だよ!!!って、ギョッ」
「ギョッ?」
ビックリしすぎて変な声が出た。
夢だと思っていただけに、動悸がすごい。
さっき頭にデカイ声が頭に響いて、目を覚ました。
いてててて。
頭を押さえながらキョロキョロする。
俺の家か?いや、そんなわけない。
「何だ、ここ?」
目を開けた先に広がっていたのは、ただただ
真っ白な世界だった。
えっ?
これって、もしかして。
もしかして、俺って。
俺って、もしかして。
「死んだのか?」
「えーーと、死んではいませんね」
俺の言葉に目の前にいるちびっこいのは笑いそうな顔しながら答えた。
はぁーー?何だこいつ!
何かトゲのある言い方をするな。
それに、何かちょっと笑いそうな顔してるし。
いや、もう笑ってないか?
いや、笑ってるよな?
何だよ、こいつ、腹立つわ!
本当に、何だよ、こいつ。
って、こいつの見た目どっかで見たことある気がするんだよなーー。
どこだっけ?
どこで見たんだっけ?
頭をトントン叩きながら俺は必死で思い出す。
あっ、そうだ!!
思い出した!!
昔、飼っていた白黒のパンダみたいな模様の猫のパン太に似てるんだ。
ただ、パン太と違うところは何か喋ってるし。
何か、手が人間みたいに五本指だし。
それに何か、二本足で何か立ってるし。
眼鏡までかけてて、何故か服まで着てるんだけど。
ヤバい、何か見てたら気持ち悪くなってきた。
俺は、吐きそうになる口を左手でしっかり押さえる。
「あなた、失礼ですね!それに、もしかして吐こうとしてますか?まさかそんなわけありませんよね?もし吐くなら失礼ですよ、あなた」
ちびっこいのは怒りながら、俺の肩をブンブンと揺さぶってくる。
ヤバい、そんなに揺さぶられたら、まじで吐きそう。
でも、ここで吐いたらちびっこいのに怒られそうだ。
いや、もう怒ってる?
怒っているのか?
「当たり前じゃないですか!それに私はちびっこいのではありませんよ。パーンです」
「えっ?なに?パーン?」
「はい!以後お見知りおきを……」
パーンはクルクルと帽子を回転させながら、俺に頭を下げる。
いや、いやそうじゃなくて。
俺、今、口に出して話したっけ?
吐きそうだから、口押さえてなかったっけ?
えっ?
どういうこと?
もしかして、心が読めるとか?
まさか、読めるわけないよな?
「読めますよ。あっ、よろしくお願いしますよ」
「あっ、うん。こちらこそ、よろしく」
えっ?
今、何て言った?
よろしくお願いしますの声がデカすぎて、最初の言葉が聞こえなかった。
まあ、でも。
そんな細かいこと、気にしなくてもいいか。
だって、ここ天国かもだし。
いちいち細かいことは考えなくていいか。
とりあえず、俺は死んだんだよな。
パーンは死んでないっていうけどさ。
それは、魂がここにあるからって話だよな。
まあ、そんなのもいちいち気にしなくていいか。
俺はパーンに握手をしようと手を差した。
その手を見てパーンは「ラヴィール」と小さな声で呟く。
「えっ?あっ?あっ?えっ?何で?同じ身長なんだけど……」
俺の膝ぐらいの高さしかなかったはずなのに、なぜかでかくなった。
「この方が握手がしやすいですからね」
パーンは俺と同じ身長の173センチになった。 ただ、大きくなるとこいつの可愛さは皆無だ。
何だかいっきに不気味さが際立ったように感じる。
ヤバい、また吐きそうだ。
「吐きそう?って。あのーー。さっきから、全部聞こえていますからね」
「はひゃ?」
その言葉に、ビックリしすぎて変な声が出た。
まさか、全部聞かれていたって嘘だろ?
それって、もしかして。
俺は、驚いて丸くなった目をパーンに向けながら尋ねる。
「えっと、もしかして。もしかしてだけど?魔法とかがあったりするのかな?」
「そうですね。心を読む魔法ならありますよ」
パーンは、ドヤ顔で自信満々にニコニコと笑っている。
魔法があるって事は、ここは天国ではなくて。
もしかして、異世界なのか?
いや、そんなはずはないよな。
あれは、アニメの中の話だし。
現実に存在するわけがない。
もし存在しているなら、何故今まで異世界に行かなかった?
そう考えると、やはりここは異世界ではない。
それが正しい答えだ。
絶対にそうだ。
「あのーー、異世界って何ですか?それ?」
ヤバッ!!
心が読めるのを忘れていた。
パーンは、首をゆっくりと傾げながら俺を見つめている。
「異世界……異世界。異世界ってのは、ほらあれだよ。魔物を倒すとか……」
「魔物?そんなものは、この世界にはおりませんよ」
「えっ?じゃあ、何!何で、こんな白い空間になってるの?どういうこと?」
俺の言葉に、パーンはおかしいのか急に笑い出す。
いやいや、意味がわからない。
異世界じゃないなら何なんだよ。
この白い空間。
あっ!!
やっぱり、天国ってことか?
そうなんだよな、天国だよな。
「違います」
「何がだよ」
「だから、ここは白い空間でもないし、天国でもありません。ここは、白王国です」
「白王国?」
白……王国?何だ、それ。
理解できていない俺のために、パーンはポケットから何かを取り出した。
「あーー、あなたの住む場所では街というのですね」
パーンは何かを見ながら大きく頷いている。
街?
街……!!
「って事は、この真っ白なものが全部そうだって事だよな?」
「そうですね!ここはいわゆる街になります」
「だけど、何だろう。色がないんだよな……何があるかわかんないし」
俺の言葉にパーンはまた大声を出して笑い出した。
何がおかしいんだよ。
俺、何か変なこと言ったか?
「何だよ」
少しイラつきながらパーンを見つめる。
「あーー、すみません。ここは、色がないわけじゃないんです。ここは、掃除をする街なんです」
色がないわけじゃない?
何言ってんだ。
意味わかんねーー
だって、あっちもこっちも真っ白だし。
色なんか最初からないだろ。
掃除……。
ちょっと待てよ。
掃除をしているから白いってことなのか?
えっ?
どういうこと?
だから色がないってこと?
えっ。
でも、俺は白くないよな。
どういうことだ?
「えっ?」
「だから、ここは掃除の街なんですって!!」
パーンは、少しイライラしながら叫んだ。
「それはわかってるんだよ。だから、何なんだって話だよ」
パーンの言っている意味が理解できない俺は、首を傾げながら言う。
「実は、国王が色のついたものは病気になると言いだしまして……」
「色がついてると病気になる?えっ?何で」
「それは、わかりません。しかし、この国に色がなくなったのは事実です。色は魔法で全て、国王に取られてしまったんですよ」
パーンの言葉に俺は驚いた。
色がついてると病気になるって、そんな極端な話があるのか。
だって、色がなかったらわからないこともあって不便だろ。
野菜とか果物とかだって、色がなかったら不味そうだし。
道とかだって、色がなかったら凸凹とかどうやってわかるんだ。
車とか、信号とか。
どうするつもりなんだ?
ってか、そもそも色がなくてみんな生活出来てるのか?
うーーん、謎だな。
謎すぎる。




