授業再開
俺は、ゴミ箱に缶を捨てずに何故か教室に持ってきてしまった。
「アーキー君、それはまた何かに使えると?」
クリーン先生にそう言われて頷いていた。
「はあーー。どうやら、アーキー君は(必要なもの)と(不必要なもの)を分ける力がないようですね。仕方ありません。今日の授業では、ゴミを捨てる事を学習しましょうか?」
「はい」
三時間後……………………
「全部、必要でしたか?」
「はい」
クリーン先生は、もう俺を怒るのをやめてしまった。
「クリーン先生、さようなら」
「はい、さようなら」
幼稚園児達は、いなくなった。
「明日からも頑張りましょう。兎に角、アーキー君は、ゴミを捨てる練習をしましょう」
「はい」
俺は、クリーン先生にお辞儀をして教室を出た。
「頑張ってますね」
ちょうど、ミズーに声を掛けられる。
「あっ、お疲れ様です」
「ゴミが捨てられませんか……」
「どうやら、そのようです」
「そんな時もありますよ」
ミズーは、そう言って優しい顔で笑ってくれる。
案外、リスって可愛いんだなーー。
「あのーー。何かようでしたか?」
「あっ!そうなんです。ちょっとついてきて下さい」
俺は、ミズーに言われてミズーについていく。
しばらく歩くと部屋に止まる。真っ白だから、部屋が変わった実感はないんだけど……。
コンコンーー
「はい」
「失礼します」
そう言って、ミズーと一緒に部屋に入ると……。
そこにいたのは、キレート校長先生ではなかった。
銀縁の眼鏡をかけた、スラッとした男性が座っている。
「こちら、この学校の理事をしているソウヤさんです」
「あっ、初めまして……。アーキーです」
その人は、キリッとした顔を柔らかく崩して話す。
「キレート校長から聞いています。スキルが汚部屋だとか……」
「あっ、はい」
「この世界に色がないのが、困りませんか?」
「はい、困ります」
「そうですよね」
そう言って、ソウヤ理事長は、立ち上がった。
「そのソファーに座って下さい」
「はい」
俺とミズーは、ソファーに腰かける。
「いろんな白があると言っても、白は白でしかないですよね」
そう言って、資料を見せられるけれど……。
白に濃い白で内容が読みにくい。
「見にくいですよね」
「はい」
俺は、光が当たるようにしたり、向きを変えたりするけれど……。
全く読めなかった。
「すみません。読めないです」
「そうですよね」
そう言うとソウヤ理事長は、俺から資料を取った。
「昨日、キレート校長から面白い提案があったんですよ」
そう言って、理事長は俺をジッーと見つめる。




