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異世界ベテラン幼女師匠  作者: 赤しゃり
本編

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189/296

皇帝 ③

「ウワーッ!? どどどどどうしましょう師匠!」


「ちょっと下がってろモモ君……“爆ぜろ”」


 師匠が魔術を唱えて攻撃するけど、爆発が直撃しても扉には傷一つついていない。

表面には焦げ跡どころか取っ手すら見えないほどぴったり閉まっている、扉が開閉するところを見ていなかったら壁としか思えないほどに。


「堅いな、火力を上げないと突破は無理だぞ」


「なら私が何とかします! いっせぇ……のっ!!」


 師匠に代わって私が扉を殴る、渾身の力と体重を込めた全力パンチだ。

そして除夜の鐘のような重い重い音を立てた扉はヒビ割れ……


「……ない! いったぁい!! 師匠、めちゃくちゃ硬いですこれ!!」


「知ってる」


 扉は全然まったくこれっぽちもびくともしない、むしろ殴った私の腕が壊れてしまいそうだ。

そうこうしている間にも後ろではアラーム音がビービー鳴ってるし、ゴーレムがガッションガッション動き出している。 このままじゃ壁とゴーレムたちに挟まれて潰されてしまう。


『緊急起動:敵性存在感知。 早急排斥執行』


「……なるほど、扉の継ぎ目はここか。 こじ開けるにしても指が引っかかる凹凸すらない」


「言ってる場合じゃないですよ、逃げないとまずいです!!」


「逃げる隙間なんてどこにもないぞ、残念だが詰みだ。 このままだと僕らは物量ですり潰されるしかない」


「やだー!!?」


「……だから待つしかないな、幸いにも君がバカでかい音を鳴らしてくれたから嫌でも気づくはずだ」


「――――うむ、余の耳が千切れるかと思えるほどの快音であった!」


「へっ? ……わっ!?」


 数えきれない数のそっくりさんゴーレムたちが突っ込んでくる寸前、あれだけ開かなかった扉が突然あっさりと口を開けた。

背中でもたれかかっていた私は首根っこを掴まれ、すぐさま扉の内側に引きずり込まれる。

そして師匠も合わせて中に飛び込んだ瞬間、すぐそこまで迫るゴーレムたちと目が合いながら、再び扉は堅く閉ざされた。


「ふぅ、間一髪だな。 無事かモモ君?」


「な、なんとか……王様もありがとうございます」


「気にするな、余も配慮が足りなかった。 危うい目に合わせてすまなかったな」


 どうやら私が大きな音を鳴らしたから、王様が異変に気付いてすぐに引き返してくれたらしい。

扉の外ではゴンゴンと重たいものがぶつかる音が聞こえてくる、こうなってしまうと頑丈な扉が頼もしい。


「君の腕力で破壊できないんだ、あのゴーレムたちがいくらぶつかったところで壊れまい」


「だけどもうこの扉開けられないですよ、帰り道無くなっちゃいました」


「先に進むしかないな。 この先で面白いものを見つけた、お供せよ!」


 王様は秘密基地を見つけた子供のような目をして私たちを手招きする。

後ろは二度と開けられない扉、通路は脇道もなく10歩も進めば次の扉に突き当たる短さだ。

天井からは常に風が送られて髪が乱れてしまう、何のための部屋なんだろう。


「余計な埃や不浄を持ち込みたくないんだろうな、この先にはよほどデリケートなものがあるらしい」


「ああ、わかります! なんとかルームってやつですね!」


 小学生のころ、パン工場の見学で同じような部屋を通った記憶がよみがえる。

たしか食品を清潔に保つために徹底的に埃を吹き飛ばすために必要な部屋だ、今の今まで焼き立てパンが美味しかった記憶しか残っていなかった。


「桃髪の、この扉をくぐると何があると思う? 余に遠慮せず答えてみよ」


「焼きたてパン!!」


「ははは! その発想はなかったな、昼餉(ひるげ)にはたらふく振舞おう!」


 しまった、つい考えてたことがそのまま口に出てしまった。 後ろに立つ師匠の顔を見るのが怖い。

しかも王様の反応からすると食べ物があるわけじゃないらしい、ならここは何のための部屋なんだろう?


『コラー! はよ解かんかい! ワイを怒らせたらいくら人間サマとて許さんぞ!!』


「おお、すまぬすまぬ。 さてこの扉を開けるには……と」


「あれ……? 師匠、今の声って」


「ああ、さきほど天井から聞こえてきたアナウンスと同じ声だ」


 師匠と話をしている間に、王様はポチポチと壁に張り付いた装置を弄って扉を開ける。

音もなく開いた扉の向こうには、王様を案内していたそっくりさんゴーレム……の足ともに、既視感のあるデザインのロボットが横たわっていた。

白くてツルっとしたボディと胸の部分に張り付いたモニター、そしてなんだかお寿司が食べたくなってくるこのロボットは……


「ぺ、ペッ〇ー君!?」


『あ゛ぁ゛!? 誰がペ〇パー君やねん、この極上ホワイトボディに向けてダッサイ名前つけてくれおってからに!!』


「訛りがひどいな、なんだこのゴーレムは?」


「名をイカロスという、どうやら外のゴーレムたちはすべてこやつが制御しているらしい」


「ほぉう?」


『あ゛っ? なんやガキンチョ、悪いけどワイはもっと胸部放熱板マシマシ搭載型スチームタイプの子やないと守備範囲外……ってなんで災厄のガキどもがここにおんねん!!?』


「悪いが人違いだ。 僕もモモ君もこう見えてごく普通の人間だよ、話を聞いてもらえるかな」


『ダメやダメやお前らと話すことなんて何もあらへん!! 今日は散々や、クッソ久々に仕事やと思ったらこのザマやで!!』


「交渉決裂か、仕方ない。 それじゃ勝手に色々調べさせてもらおう」


「師匠、この〇ッパー君はどうします?」


「見たところ兵装は備えてない、放っておけ。 それより今はこの部屋が何なのか調べたい」


『やめろォー!! ワイの大事な仕事場に指一本でも触れたら呪い殺すで!!』


「師匠、この機械ですけど何もしてないのに壊れました!」


『おどれは特に何もするな!!』


「モモくーん、君はそこのイカロスとやらに話を聞き出せ。 設備には指一本触るな」


「はいぃ……」


 この近未来チックなコンピュータールームでは、どういう仕組みで動いているのかわからない機械で埋め尽くされている

つまり私が触れると壊れてしまいそうなものしかない、ここは師匠に従った方が良い。

それに、イカロスさんから事情を聞き出すのも大事な仕事のはずだ。


『くっ、壊せ! おどれら人類の敵に話すことなんて何もないわ!!』


「うーん、話してくれるかなぁ……」


 さてさて、どうやってこの人(?)から話を聞き出せばいいんだろうか。

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