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5.筋圧縮

 あれからフクキタルさんの助言通りモンスターと戦ってレベルを上げて魔力操作の訓練をしているんだが上手く行かない。

 レベルは順調に上がってLv7になったんだが、魔力操作は俺の周りに魔法の使い手がいないから独学で鍛錬している。

 俺は元々物理攻撃特化の才能だし、独学じゃやっぱり限界があるな。

 人に頼りすぎるのは良くないとは思うが、俺は強くならなきゃいけないんだ。

 俺は自分の知る唯一の魔法職を持つ人を頼る為に、エルカと一緒に占いの館に訪れた。


「フクキタルさん! お願いします! 俺に魔力操作を教えてください!」


「あら、テインさんにエルカさんじゃないですかー。そろそろくる頃だと思ってましたよ。お姉さんが魔力操作を教えてあげましょう」


 どうやら占いで俺達がくることは分かっていたみたいだ。

 しかし、二つ返事で引き受けてくれるとは思わなかった。

 もちろん倒したモンスターの素材を売って報酬は用意している。

 戦闘職の才能があればモンスターを倒してお金を稼ぐことができるからな。

 貨幣価値は銅貨10枚で小銀貨1枚、小銀貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で大金貨1枚、大金貨10枚で白金貨1枚だ。

 銅貨1枚でパンが1個買えて、小銀貨5枚で宿屋に泊まれる。

 魔力操作を教えて貰う報酬には小銀貨5枚用意したけど足りるかな?

 硬貨の入った布袋をテーブルに置いて尋ねた。


「フクキタルさん、報酬はこれで足りますか?」


「別にお金なんていらなかったんですけどね。その気持ちは嬉しいので受け取っておきましょう」


 フクキタルさんは快く報酬を受け取ってくれた。

 報酬がなくてもやってくれるつもりだったようだが、俺の気持ちを汲んでくれたようだ。


「それじゃあ背中から魔力を流しますね。どうですか? 魔力を感じますか?」


 フクキタルさんは俺の背中に手を当てると魔力を流し始めた。

 体の内部に何か温かい物を感じるが、これが魔力なのか?


「多少は感じているようですね。では、ちょっと強く流してみますね」


「ぴぎゃっ!」


「あはは! テイン変な声だしてるー!」


「ありゃー、ごめんなさい。強すぎましたかね? でも、私の魔力感じたんじゃないですか?」


 勢いよく体に流された魔力に驚いて思わず変な声が出ちまった。

 エルカには笑われるし、フクキタルさんは色っぽく笑ってるんだが、この人反応を楽しんでるな。

 でも感じる。魔力を感じるぞ!


「フクキタルさんの魔力、確かに感じます。魔力って温かいんですね」


「それは私の心が温かいからですよー。まあ嘘なんですけどね。では、魔力も感じたことだし筋圧縮を使ってみましょう。筋肉の密度を高めて圧縮するイメージでやってみてください」


 そうだ、目的は筋圧縮なんだ。

 俺はフクキタルさんの助言に従って魔力を練り上げ、スキル筋圧縮を発動した。

 魔力によって俺の鍛え上げられた筋肉たちが圧縮され悲鳴を上げる。

 すまない俺の筋肉、これはより強くなる為の大事な一歩なんだ!

 筋肉はノー! と悲鳴を上げるが俺はイエス! とゴーサインを出す。

 俺の肥大した大きな筋肉が圧縮され、より密度の濃い濃厚な筋肉へと生まれ変わって行く。

 わかる、わかるぞ! 俺の体が生まれ変わっていくのが!

 筋圧縮が終了すると、筋肉が熱を持ち湯気を立てていた。


「どうやら上手く行ったようですね。でかい筋肉も良いですが密度の濃い引き締まった筋肉も素敵ですよ」


「見た目は才能を貰う前のテインに近いけど、前より引き締まった体がかっこいいよ!」


 二人の反応を見ると上手く行ったようだな。

 でも二人とも何言ってるんだ? 筋肉はでかい方がかっこいいだろ?


 行動阻害は解除されたんだろうか?

 ステータスを確認してみよう。



名前 :テイン・アイソレート

種族 :人間

状態 :通常

Lv  :7

HP :117/117

MP :8/22

腕力 :92

防御力:51

魔力 :25

素早さ:48

才能 :筋肉(Cランク)


通常スキル


〖筋圧縮Lv2〗 〖パンプアップLv2〗 〖ステータス閲覧Lv1〗



 状態が通常に戻ってる! 成功だ! 

 腕力と防御力が下がったのは圧縮したとはいえ筋肉が小さくなったからだろうな。

 その分素早さが上がってるから問題ない。

 戦いにおいて素早さは重要なステータスだ。

 いくら腕力が高くて攻撃力があっても素早さが低いと当たらないからな。

 今までの俺がそうだったからよくわかる。

 MPが減ってるのは筋圧縮のスキルを使ったからだろう。

 スキルレベル2に上がってるしな。


「状態異常が解けました。フクキタルさん、ありがとうございます」


「私もステータス閲覧で確認しましたが成功のようですね。おめでとうございます」


「良かったねテイン! これでアルストムにバカにされないね!」


「エルカ、心配かけて悪かった。もっと強くなってお前を一人で騎士団に行かせないからな」


「イチャコラするのは構いませんが、二人きりの時にしてもらえませんかねぇ」


 エルカに決意を語っているとフクキタルさんに嘆息しながら突っ込まれてしまった。

 ありがとうございますフクキタルさん。この恩は絶対に返します。


「大変なのはこれからですから、お二人とも頑張ってくださいね」


 フクキタルさんは真剣な面持ちで告げるのだった。

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