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4.占い師フクキタル

「フクキタルさーん! 悩める友達を連れてきたよ! 占ってください!」


「おや、エルカさんじゃないですか。またきてくれるなんて、余程私の占いが気に入ったようですね」


「占いも好きだけどフクキタルさんにも会いたいから悩める友達を連れてきたんだ!」


 この人が噂の占い師フクキタルさんか、歳は俺たちより少し上、十五歳前後くらいの綺麗なお姉さんだ。

 美しいブラウンの髪に、占い師らしい怪しげなローブを纏っている。

 うちの母さんも占って貰ったことがあるらしいが、凄い凄いって言ってたから腕は確かなんだろう。

 若くして旅の占い師なんてやってるってことは訳ありなのかな?


「そこの貴方がエルカさんの悩める友達ですね? 私は旅の占い師フクキタルです。若くして旅の占い師なんてやってる私を怪しいと思ったでしょう?」


「えっ、何で分かったんですか!」


「ふっふっふー、顔に書いてありましたよ」


「凄いでしょテイン! フクキタルさんは本物の占い師なんだよ!」


 占い師は結構レアな才能で、本物の占い師なら一生食うに困らないと言われ、高Lvの占い師は国に雇われ戦争で活躍していたりする。

 さらに、占い師の上位才能には預言者があり、預言者を獲得した国は天下を取ると伝えられている。

 フクキタルさんがどの程度の占い師かはわからないが、占いでヒントを得るのも悪くないのかもな。


「私にはテインさんの悩みがわかりますよー。ずばり、筋肉の才能についてでしょう? 」


「俺の名前や才能までわかるんですか!」


 フクキタルさん恐るべし!

 まだ話していない俺の名前や才能のことを知っているだと……。


「ま、初回ですし、エルカさんのお友達なので種明かししてあげましょう。名前はさっきエルカさんが呼んでましたし、テインさんの珍しい才能はこの町では有名ですから」


 そういうことか、フクキタルさんは占いではなく観察、洞察、情報収集で当てたのか。

 話し方や服装は怪しげだが、意外と頭の良い人だな。


「さらに! 私には見えますよ。テインさん、貴方は状態異常行動阻害によって素早さが著しく落ちていますね? それを解決したくてここにきたのでしょう?」


「――えっ! 何でそれを……」


 フクキタルさんの発言に動揺して体が震える。

 名前や才能は情報収集でわかっても、行動阻害について俺は誰にも話していない。

 話していないならどこからも情報は入らないはず、なのに何で……。

 狼狽える俺にフクキタルさんは不敵に笑いながら続ける。


「特別サービスで種明かししてあげましょう。通常スキル、ステータス閲覧はLvが上がると他人のステータスを覗くことができるのです。占い師の才能はステータス閲覧Lvが高いのですよ。一つ勉強になりましたねテインさん」


「フクキタルさん凄い! テイン状態異常で悩んでたの? 相談してよ!」


「ごめんエルカ、筋肉の才能はまだわからないことが多すぎて言えなかったんだ」


 すまないエルカ、隠し事はしたくなかったんだが心配させたくなかったんだ。

 しかし、隠していた状態異常を見抜くなんて、フクキタルさんはその若さで凄腕の占い師なんだな。

 高いステータス閲覧Lvで相手の情報を見抜いて占いしているって訳か、占い師恐るべし。


「それじゃあ早速行動阻害について占っちゃいますか! 行きますよー、チチンプイプイワラウカドニハフクキタルー!」


 フクキタルさんが水晶玉に手を翳して怪しげな呪文を唱えると水晶玉が光を放つ。

 眩い光が収まると、フクキタルさんが得意気な顔で結果を告げた。


「見えましたよ! テインさん、筋肉の才能には筋圧縮と言うスキルがありますね? そのスキルを使って肥大しすぎた筋肉を圧縮するのが吉と出ました!」


「それが、筋圧縮は何度も試したんですが発動しないんです」


 そう、もちろん俺も筋圧縮が鍵になることには気づいていた。

 なにしろ筋肉が肥大しすぎて動きが阻害されてるところに筋圧縮なんてスキルがあったら誰でも気づくさ、だが何度試してもスキルが発動しないんだよ。

 そんな俺の思いを読んだのかフクキタルさんは続ける。


「テインさんは魔力操作が苦手ではないですか? 筋肉の才能は近接戦闘に特化した物理攻撃タイプの才能なので、少ない魔力を上手く使わないとスキルも発動しませんよ」


「確かに、今までは筋トレをメインに鍛錬してきました。なるほど、魔力操作の鍛錬が必要だったんですね」


「後は根本的な魔力量を上げることも大切なので、筋トレはいったんお休みしてモンスターを倒してレベルを上げるのが吉と出ました」


 なるほど、これ以上筋肥大が進んだら素早さが0になっちまいそうだし、モンスターを倒すレベル上げに切り替えるべきか。

 フクキタルさん、怪しげな恰好の人だが噂通り凄い占い師じゃないか。


「フクキタルさん、ありがとうございます。貴方のおかげで道が開けそうです。エルカも連れてきてくれてありがとう」


「どういたしましてですよー。また迷うことがあれば占ってあげましょう。頑張ってくださいね」


「ふふん! フクキタルさんは凄いんだから!」


 エルカはすっかりフクキタルさんに懐いたみたいだ。

 一人っ子だからお姉ちゃん的存在なのかもな。

 次にすべきは筋圧縮をものにするための魔力操作とレベル上げだ。

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