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3.筋肉の才能

 翌日から未知の才能筋肉の調査を開始した。

 レアな才能は効率的な伸ばし方こそわからないが、父さんの言う通り可能性に満ちている。

 強くなるかなれないかは自分次第なんだ。


「ステータスは腕力がバカみたいに高いんだから腕力を伸ばしたら良いんじゃないか? 筋肉だし」


「バカみたいとか言わないでくれよ父さん……」


 人生経験も戦闘経験も豊富な父さんにアドバイスして貰うと、長所である腕力を伸ばすべきと返ってきた。

 腕力のステータスは剣鬼のエルカより高かったし、やっぱりそこを伸ばすべきだよな。

 ステータスはLvの上昇によって上げることができるが、Lvを上げるには体内のマナ総量を増やすことで上げることができる。

 マナ総量を上げる方法は主に二つ。

 鍛錬によって自身のマナ総量を上げる方法と、モンスターを殺すことによって相手のマナを吸収し、マナ総量を上げる方法だ。

 正確にはモンスターだけでなく生き物を殺すことがマナの吸収条件だから人を殺してもLvは上がるんだが、そんなことをしたら大量殺人で捕まってしまうので、みんなモンスターを狩ってLvを上げるんだけどな。

 相手が強いほど多くのマナを保有しているのでLvが上がりやすい。

 ようするにモンスターを倒していれば、嫌でもLvが上がるって訳だ。

 ステータス閲覧のスキルがあるから変化はわかりやすいし、ちょこちょこ確認していこう。




 あれから六十日鍛錬した結果俺のステータスはこうなった。



名前 :テイン・アイソレート

種族 :人間

状態 :行動阻害

Lv  :5

HP  :93/93

MP  :17/17

腕力 :102

防御力:58

魔力 :18

素早さ:4

才能 :筋肉(Cランク)


通常スキル

〖筋圧縮Lv1〗 〖パンプアップLv2〗 〖ステータス閲覧Lv1〗



 行動阻害ってなんだよ! 素早さめちゃくちゃ下がってるじゃん!

 Lvが上がって他のステータスは伸びたけど素早さが下がりすぎてのろまになっちまったじゃねえか!

 動きが遅すぎて最近はアルストムにも勝てなくなってきてるし、このままじゃやばい。


「おい、うすのろテイン。勝負しようぜ」


 クソッ! アルストムの奴、俺に負けないようになってから毎日これだ。

 上級剣士Lv4まで上がったとか自慢してたから俺の方がLvは高いが、なぜか素早さが落ちた俺の攻撃はアルストムに当たらなくなったんだよな。

 まあ、領主の息子の誘いを断る訳にもいかんし、道場主の息子としても逃げることはできないし逃げたくもない。


「うらああ! のろまテイン! 打ち返してこいよ!」


 容赦なく木剣を振り回すアルストムの攻撃をなんとか受けるが防御で手一杯だし俺の攻撃は空を斬る。

 まあ、アルストムの木剣が当たったところで俺はほとんどダメージを受けないから勝負自体は引き分けなんだが、タコ殴りにされるのは例え痛くなくても頭にくるものだ。


「テイン頑張れ! アルストムなんてやっつけちゃえ!」


「くそぅ……テインこの野郎おおぉぉ!」


 アルストムが勢いを増して攻撃してきた。エルカの声援が火に油を注いだようだ。

 わかるぜアルストム、お前もエルカが好きなんだろ?

 だが、エルカは誰にも渡さない、特にお前みたいな嫌な奴にはな!


 俺はアルストムの攻撃に合わせて被弾覚悟で飛び込んで体当たりを食らわせた。

 エルカの声援で頭に血が上ったようだな、カウンターのぶちかましが綺麗に入ったぜ。

 ぶちかましを受けたアルストムは道場の壁に激突して膝をつく。


「やったあ! ちょっと動きは遅くなったけどテインは強いね!」


 エルカは喜んでくれるが、俺は今のエルカには全然勝てなくなっていた。

 アルストムのように攻撃が効かないのではなく、エルカの攻撃力なら木剣でも俺の防御を貫通してダメージを受けるのだ。

 この前Lv5だって言ってたし、剣鬼Lv5は相当強い。

 行動阻害の状態異常をなんとかしないとエルカには勝てないだろう。

 まあ、何が原因はなんとなくわかってるんだが。


「このクソデブテイン! 筋肉ダルマ! 次は勝つからな!」


「デブじゃない。でかいと言ってくれ」


「そうだぞ! 筋肉のかっこよさが分からないのかバカアルストム!」


 エルカが筋肉はかっこいいとフォローしてくれるが、吠えるアルストムの言葉は間違ってはいない。

 そう、筋肉が肥大しすぎて凄く動きづらいんだよ。

 筋肉の才能を得て筋トレと食事を頑張った結果、凄い勢いで筋肥大した。

 結果筋肉が邪魔して動きづらくなってしまったんだ。

 体を動かすと筋肉がつっかえて可動域が狭くなったんだよな。

 代わりに腕力のステータスは凄い勢いで上がったけど、戦いは素早さがないと勝つのは難しい。

 練習は木剣だからまだ良いが、真剣だったら俺の防御力でも斬られるだろうから早急になんとかしなくては。


「テイン、素早さが落ちたこと気にしてるんでしょ? 私いい所知ってるよ。ついてきて!」


 そう言うや否やエルカは俺の手を取り外に走り出した。




 俺はエルカに引きずられとある場所にきていた。

 ここは、最近町にやってきた旅の占い師がやってる占いの館じゃないか!

 まあ、館と言ってもテントに看板を掛けているだけだが。

 まさかエルカ、占いで筋肉の才能のヒントを得ようってのか?


「フクキタルさんの占いは良く当たるって評判なんだから! テインの筋肉の悩みも解決してくれるよ!」


 エルカは笑顔で俺を引きずり占いの館に入って行くのだった。

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