ただ1人森の中から
ヒロイン達と会う少し前の主人公の話です。
第2章それではどうぞ("`д´)ゞ
「さて~これからどうしましょうか…」
森にただ1人の状態で彼は迷子になっていた。
(まぁその辺散策していればその内人里に着くでしょう。飛行魔法使えば早いでしょうが、龍種とか変なのに見つかったら不味いですからね)
歩き始めて30分程、右側の茂みで物音がしたので人と思い茂みをかき分けて
「あの~誰かいませ」
「「「グルルルル」」」
しかし、そこには残念ながら人ではなく食事中の狼がいた。
「「「ガウ!」」」
3頭の襲ってきた狼に対して指を向けて
「風よ」
すると風の弾丸によって3頭の狼の首と胴体に穴が空いた。
「やれやれ先が思いやられますね。人より先に狼とかこれも全部あの愚王達のせいですね。あれらは地獄でも見ていればいいですけどね。仕方ないエコーを使いますか」
エコーとは魔力を周囲に拡大させて周りを探るレーダーのような魔法である。ある程度長距離であっても、索敵出来るので非常に便利な魔法である。
アートルムは右手に魔力を込めて、ある程度貯まったので魔力を薄くして円状に周囲に広がらせた。
「10時の方角距離は約2300mですか…周囲に人以外の反応が多々ありましたから、速く行った方が良いですね。風よ」
風を纏って地面から10cm程浮かび上がって高速で向かった。途中の木々をなぎ払いながら…
たどり着くとそこには馬車と武器を持った数名と10匹以上の狼がいた。
「くっ数が多すぎる。ニコル、フレッド無事か?」
「あぁこっちはジュリアの援護があるから大丈夫だ」
「ゲイツ、こっちはあと少しで矢が無くなりそうだよ」
「ちっ万事休すか…」
(これは援護が必要そうですね)
「そこの人達、助太刀は必要ですか?」
「あ、あんたは?」
「け…魔法使いです。それで?」
「ああ!頼む危なかったんだ」
「分かりました。馬車の近くに集まって下さい」
彼らが移動したのを確認すると
魔力を使い左右の10本の指に小さな雷の玉を作って馬車を中心に彼らを雷の玉で囲んで配置した。
「アウトチェイン」
言葉に反応して雷の玉が数珠のように繋がりその後、輪の外側の狼達に向かって雷が飛んでいった。
「おら!こいつで最後」
剣を持った1人が最後の狼を斬り倒し戦闘は終了した。
先程狼を倒した人が近づいてきながら
「あんたのおかげで助かったよ。俺はゲイツ剣士だ。よろしく。それでこいつらが他のメンバーで右からニコル、フレッド、ジュリアそして今馬車から降りてきたのはニーナあとは依頼主のウォンさんだ」
彼の自己紹介に合わせて続々と近づいてきたので
「えぇ、よろしくお願いします。僕はアートルム、一応魔法使いです」
すると2人の女性が近づいてきて
「見た見た!凄い魔法だったよね。私は見たこと無いけどニーナはどうだった?」
「えぇ私でも見たことの無い魔法でした。もしかしてアートルムさんってエルドアから来た方でしょうか?」
(誤魔化しながら話しますか)
「エルドア?ごめんね。結構遠くでそれに人が余りいない場所で暮らしていたから、ちょっとこの辺りの事には疎くて分からなくてね、もしあなた達が人が多くいる場所に行くのなら、出来たら君達が行くところまで同行してもいいかな?あと色々教えてくれると助かるよ」
「おう!同行してくるなら助かるぜ。俺はフレッド見た通りの槍使いだ」
「私はジュリア魔法使いよ!それでこっちは」
「ニーナです。神官です」
先程弓矢で戦っていた少年も近づいてきて
「一応索敵しましたが周囲に敵はいませんでした。ウォンさんもう大丈夫ですよ。僕はニコル、弓使いです」
すると馬車から小太りのおじさんが降りてきて
「いや~助かりました。私はユーロ商会のウォンと言う者です。いや~あなた様のおかげで商品無事です。出来れば都市のドヴァーまでご一緒にお願いしたいのですが…」
「良いですよ。私も街に用がありますので」
「おお!ありがとうございます。それでは向かいましょうか」
馬車での移動中
「アートルムさんってどこから来たんですか?」
「えぇ…とニコル君だっけ?」
「はい」
「あっ私もそれ気になる!」
「ここは当たり障りなく答えた方が良いですね)
「エストっていう孤島からなんでどちらからとかは分からないんですよ。ちょっと探索中に油断していたら、転移のトラップに引っ掛かったので気づいたら山奥だったんですよ」
「「「転移トラップ!?」」」
「えぇ、対象者がある場所に踏みいると勝手に陣が作動してどこかに飛ばされるっていう代物ですよ。聞いたことありませんか?」
「そんなのがあるんですか!」
「私は神殿でも聞いたこと無いですね…ウォンさんは聞いたことありますか?」
彼は馬車の運転をしながら
「ん~私は長年商売してますけど転移トラップなんて聞いたこと無いですね。」
「つーかあんな強い魔法使うんだからエルドアから来たんじゃねぇの?」
「でもアートルムさんは違うと言っていましたよ」
「まぁ良いじゃ無いか、それにしてもあの魔法って凄かったよな…」
(そんなに強い魔法ではなかったんですがそれに少し弱めたので威力は第3節程度ですけど)
「そうでしたか?」
「凄かったよ!あれは私やニーナも見たこと無いんだから上級の雷魔法じゃない?」
「上級って…じゃあ魔導師じゃねぇかよ。はぁ…すげぇな」
「Ⅲクラスか私は…まだまだだなぁ」
さっきから何か分からないこと話しているがなんだ?上級って?威力で分けているのでしょうか?それにⅢクラス?何の事でしょうか?
「その…上級とは?それにⅢクラスって?」
「え?知らないんですか?!」
「えぇ…その強くなるのに集中していたから外界の情報は分からなくてね。」
「流石ですね…では私が説明しますね。上級とは魔法のランクのことで魔法使いが使うのが初級、魔術師は中級、魔導師は上級となります。それ以上だと超級と呼ばれ、魔法国家エルドアの魔導王は神級の魔法が使われると言われています。それでクラスとはジョブのランクのことです。先程の説明に合わせると魔法使いはⅠクラス、魔術師はⅡクラス、魔導師はⅢクラスとなります。その上はⅣとなります」
「なるほど大体分かりました」
「そう言えばアートルムのジョブ何なんだ?俺達はさっき言ったが、あの魔法見たら流石に魔法使いでは無理があるだろ。なぁ教えてくれよ」
「フレッド!失礼だぞ。すみませんアートルムさん」
「だってよ…気になるじゃねぇか」
「フレッドさん無理矢理ジョブを聞くのは御法度ですよ」
「ちっ分かったよ。リーダー、ニコル」
「でもでも気にはなるよね」
「もうジュリアったら」
「だって私だって魔法使いの端くれよ。気になるじゃん」
「皆さんもうそろそろ着きますよ」
目の前には大きな城壁があった。
「アートルムさんここが中立都市ドヴァーです」
ヘルプ アウトチェイン
指先に魔力を込めて魔力の電球を作る。その後対象を囲むように飛ばして配置数珠のように繋がったら「アウトチェイン」の一言で一気に外側に電気を放つことが可能。魔力をより込めることで配置後の電球を大きくして威力を高めることが可能。射程範囲は輪の半径に比例する。片手でも出来るが両手の方が安定する。これは元々は対象を囲んで電気で束縛する攻撃魔法チェインロックをアートルムがアレンジした魔法である。