コント「夜のコンビニエンス・ストア」
ぶっこんでみた。
A「コンビニって、便利だよな」
B「そうですね。特に夜のコンビニって便利だと思います。買い忘れた物とか、すぐに欲しいときとかありますからね」
A「ああ、あるある」
B「コンビニならではのやり取りってのもありますし」
A「え。そんなのあるか?」
B「ありますよ。じゃあ私が店員役しますね」
A「じゃあ俺が客な」
客「ちょっとすみませーん」
店員「いらっしゃっせー」
客「まず挨拶がおかしいから」
店員「…………うぜぇ」
客「おい、聞こえてんぞ。態度悪いな、お前!」
店員「いらっしゃいませー」
客「ちゃんと言えるじゃねえか。最初からそう言う態度でいろよ」
店員「あ、後ろのお客様にです」
客「俺じゃねえのかよ!? まあ、いいわ。あのーあれ、あれが欲しいんだけど」
店員「あれ?」
客「分かるだろ。喉まで出てきてんだけど、あと少しが出てこねえ」
店員「そーいっ!」
客「うわっ、何で喉を突いてくるんだよ?」
店員「喉まで出てるっていうから」
客「比喩、比喩っていうの! 慣用句ってやつ知ってる?」
店員「なんとなく?」
客「首を傾げて『なんとなく?』じゃねえよ。絶対分かってないだろ」
店員「あの、あれとは?」
客「ああ、喉まで出てるんだけど……手は準備しなくていいから、まだ突こうと思ってるだろお前」
店員「いらっしゃいませー」
客「聞けや! しかも俺じゃなくてまた後ろの客に挨拶しただろ」
店員「正解」
客「正解じゃねえよ! お前腹立つな。あっ、思い出した。切手が欲しいんだよ」
店員「あー、切手」
客「最近使わないから名前が出てこなかった。切手くれ、切手」
店員「…………」
客「おい、どうした。切手だ。切手」
店員「切手とは?」
客「そこでひっかかってたんかい! お前、切手が何かも知らねえのかよ!?」
店員「ググるから待って」
客「ググるのかよ!? いやいいわ。確認は大事だ。間違いじゃねえ」
店員「理解した」
客「おう、それは良かったな。切手くれ」
店員「店を出てから右に100メートルで郵便局です」
客「おう、ありがとう。って、そんなこと知ってるつーの。今、夜でしょ? 郵便局開いてないでしょ? だからコンビニに切手買いに来てんでしょ?」
店員「いらっしゃっせー」
客「そこからかよ! 俺だけ挨拶おかしくね?」
店員「正解」
客「お前ふざけんな! ……もういいわ。とりあえず切手くれ」
店員「いくらのがいりますか。種類がありますけど」
客「あ、120円のだっけか? 間違ってもいいようにこの辺の2枚ずつ買うわ」
店員「切るのが面倒臭い」
客「切れよ。客のオーダーだよ。そこはやれよ」
店員「はい。ぴりぴり」
客「お前、手が震えてるぞ。大丈夫か」
店員「多分」
客「そこは大丈夫って言おうぜ!?」
店員「ピリピリ……できた!」
客「うわーえらーい。満面の笑みを浮かべてドヤ顔すんなよ。思わず褒めたじゃねえかよ」
店員「お会計――多分千円です」
客「多分ってなんだよ、多分って? レジで打ってから言えや」
店員「レジ打つの面倒くさくて」
客「そこは、しようぜ! そこ大事なとこだから」
店員「ピッっと、お会計386円です」
客「なんで一々お前が口でピッっていうか分かんないけど、電子マネーで払うわ」
店員「ググるから待って?」
客「電子マネーはわかるだろ!?」
店員「実は知ってる」
客「なんでドヤ顔なんだよ!? お前馬鹿にしてんのか!?」
店員「正解」
客「マジで殴りてー。もう早く帰ろう」
店員「レシートは、いりますか?」
客「あ、一応貰っとく」
店員「本日は切手のお買い上げ誠にありがとうございました。またのご来店を心よりお待ち申し上げます」
客「なんで最後だけ、そこまで大げさなんだよ!?」
AB「「ありがとうございました」」
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