その1
都市湯澤に入ったのは放浪種との遭遇戦の次の日の朝だった。夜半には着く予定だったのだが、周辺の村々が斥候を出していたので安全のため、斥候がいなくなってから入った。
ルコ達四人は疲労困憊状態だったので、潜伏先を決めてそこに潜むと、昼過ぎまで睡眠を取った。
ルコ達が睡眠中に、昨夜の猪人間の体当たりによって破損した外部カメラの交換修理を行った。無論、これはルコ達が寝ている間にドローンが全てやってくれた事だった。
「ルコ様、お早うございます」
マリー・ベルは寝室区画のベットから起きだ出したルコにそう挨拶をしてきた。
寝室区画は前部座席区画と作業区画の間にあり、2段ベットが2つ並んでいた。ベットはシャッターを閉じれば、防音・遮音・遮光性が保たれ、プライベートの空間に早変わりするものだった。
「お早うございます、マリー・ベル」
ルコは欠伸をしながらそう答えた。まだ眠そうだった。
「外部カメラの付替え修理、完了いたしました。しかし、それによって予備のカメラの在庫がなくなりました」
「都市の倉庫には在庫はあるの?」
「はい、ございます」
「食糧はあと何日分?」
「約59日分です。補給する場合は約1日分となります」
「補給車を手配するより、直接行ったほうが早いわね」
ルコはそう言いながらようやく紫のパジャマを脱ぎ始めた。このパジャマは瑠璃が選んだもので、ルコをとてもセクシーに見せていた。どっから見ても一端の女性だった。
「はい、仰る通りです」
「みんなは?」
「まだ睡眠中です」
「そう」
ルコはそう会話をしながらパンツを脱いで、上下お揃いのサックスブルーの下着へと着替えていた。
「起こしたほうがよろしいでしょうか?」
マリー・ベルにそう言われると正面に表示されている時計を見た。ちょうど、13時になったところだった。
「そうね。昼食後、補給作業があるから起こしてくれる」
ルコはニーソを履きながらそう言った。
「はい、承りました」
マリー・ベルはそう言うと他の三人を起こしに掛かったようだ。
ルコはキャミを上から着ると、シャッターを開けてベットの外に出た。
無意識に着替えができているところを見ると、既に女の子としての覚醒は済んだようだった。




