プロローグ
ここは、どこだろう…
あれからずっと、適当にその辺を彷徨ってて…
そういえば、その時に誰かが僕に声をかけてきて…
確か用件は…
「君を私たちの実験台にさせてほしいんだ」
ああ、そうか…
僕は今、実験台なんだっけ…
てことは、目隠しされて見えないけど、ここは研究所か…
でも、そんなことはもうどうでもいい…
何をしても、僕に居場所なんてない…
居場所を見つけても、どうせ誰かが壊してしまう…
何をしたって、もうあの楽しかった時間は帰ってこない…
もうこの世界に、僕の居場所なんて無いんだ…
あれからどれくらいの時が流れたかわからないけど、もしもこの実験で僕が死ねば、彼女のもとへ行けるのだろうか…
だったら死ぬのもいいかもしれないな…
この世界に居場所がないなら、別の世界で居場所を探せばいいんだ…
僕の居場所があの世だって言うのなら、死んでやる。
すると近くから、男たちの話し声が聞こえた。
「おい、準備出来たか?」
「はい、大丈夫です。いつでもいけます」
どうやら実験が始まるみたいだ。
何の実験をするかは知らないけど、どうでもいい…
僕から居場所を奪うこんな世界がどうなろうが知ったことじゃない…
僕はただ、彼女と一緒にいられれば…
「では、実験を開始する。スイッチを押せ」
「はい」
その言葉と同時に、激しい脱力感が僕を襲った。
どんどん力が抜けていく感覚とともに、どんどん意識が薄れていく。
ああ、これで死ねるのかな…
また、彼女と一緒に、暮らせるかな…
「ん?なんだ、これは…」
「博士!この子供、想像以上のマナを持っています!」
「何!?まさか、この子供は…」
研究者たちが何か言っているが、意識の薄れていく状態の僕には聞き取ることが出来なかった。
「おい!早く実験を中止しろ!」
「む、無理です!制御できません!」
「何だと!」
ガシャアアアアアン!
何かが割れる音が鳴り響くと同時に、僕の意識は途切れた。