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アマザクラ  作者: 兎藤うと
一章 始期編
27/43

3-7 『鼻にくるニオイ』

アクセスありがとうございます!

 

「……、ん?」

「どうかしたの、佑真?」

「いや、今誰かの声がしたような……」


 佑真と透は部室の片付けをしていた。会話が長引いてしまったことで片付けるのが遅れ、少し部活動終了時間が過ぎてしまった。


 そして今に至り、佑真の耳はなにかを聞き取っていた。


「気のせいじゃないの? 幻聴とかだったり」

「俺をなんだと思ってんだ?」

「いやぁ、ゴメンゴメン。佑真の耳は特別性だもんね。僕の聴覚じゃ佑真の聞き取った音は聞こえないから、つい気のせいだと思っちゃうんだよね」

「俺の耳は普通だと思うがな。まあ気がしただけだ。なにか聞こえたわけじゃないしな」


「なんだ電波受信しただけか」

「毎回脳内アダルトコンテンツを受信してる奴がなにを言う」

「あっ、馬鹿にしたなぁ? こうなったら佑真にも同じコンテンツを」

「ほっぺのシップ増やしてぇのか?」

「は、はは……やっぱなんでもないです」


 シップを張った片方の頬を摩る透は苦笑しながら逃げた。

 片づけを終わらせた佑真たちは、カバンを持って帰り支度を済ませる。


「それじゃ、帰りに佑真のオアシスでも寄ってく?」

「いいな。丁度新作が欲しかったところなんだ」

「まだ未読のも多いのに?」

「気分にもよるだろ」


 何気ない会話をする二人は部室を出て施錠した。

読んでくださりありがとうございます!

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