異世界でサモナー始めました 7
シンフォギアの一挙放送を見てたら投稿が遅れちまったぜ・・・つまりテトメトは悪くないんだよ?
「きゅい!」
「ホー!」
「~~~!」
「コーン!」
「「「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」
ボーパルちゃんが。ミズキちゃんが。ティーニャちゃんが。イナリちゃんが。その足を。ハンマーを。翼を。魔法を。爪を。尻尾を振るう度に屈強な。この世界でも上位に位置するであろう強者の騎士さんたちが塵芥の様に宙を舞い着地すら許されず空中コンボで光の粒子になって消えていきます。
・・・騎士さん達も確かにこの世界では強いんでしょう。ただ・・・ユウさん達が文字通り別世界の強さだっただけで・・・
「ちょっと~俺の分は~?『いくぞみんな!』とか言っといて俺まだ1人も倒して無いんだけど?まぁ、いつもの事だけどさ~」
そしてこの戦場・・・いえ、もはや戦闘では無く作業の様に倒してるので戦場とは言えないかもしれませんが、この惨殺現場に似つかわしくない緊張感の欠片もないゆる~い声が、騎士さん達の悲鳴と怒号に混ざって聞こえてきます。
不思議な事にこれだけ凄惨な殺戮現場にも関わらず血の一滴も流れてはいませんが、それが逆に未知の恐怖を引き立て厳つい騎士さん達が身を震わせて怯えています。
蹴られても、燃やされても、斬り飛ばされても僅かの痛みすら感じず、なのに粒子となって消えていく仲間や自分の四肢。
それを成したのが悪魔や死神であればまだ無理やりにでも納得できたのかもしれませんが、実際にはのほほんとしている1人の少女と5匹の召喚獣。それも、もふもふもこもこな動物達やちっちゃな天使達のみの力でなされています。今日まで必死に鍛え上げてきたのであろう騎士さん達はその5匹の内の1匹すら突破する事も出来ず、また無様に宙を舞っているのです。
「お~いみんな~。そろそろ切り上げて行くから残ってるのにトドメ・・・ぉ?」
「とっ、たどぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「っ!ユウちゃん!!」
粒子化して消滅してなかった騎士さんの1人が完全に油断して近づいて来ていたユウちゃんへと剣を突き立て・・・ユウさんの胸を貫通した剣が背中から生えているのが私が隠れている場所からでも見えて、思わず飛び出してしまいました。
「あっ・・・そん・・・なん、で・・・・」
「は、ははっ!舐めやがって。俺達を舐めるからそうなるんだよっ!あはははははっはははははあはは!」
大きく目を見開いたユウちゃんが自分の胸に突き立つ剣を信じられない物を見る様に見ながら震える手をそっと剣に添えています。
そんな、そんな!ユウちゃんが!ユウちゃん!!
「なん・・・て、なんて勿体ない事をしてくれてんだお前っ!!」
「あはははははは、はぁ・・・?」
「・・・はい?」
大きく目を見開いたユウちゃんが震える手を・・・いえ、カッ!と目を見開いたユウちゃんが怒りで震える手を剣に添えて、そのまま力任せに自分の胸から引き抜きました。
抜かれた刃にはそれが当然であるかのように一滴の血も付いておらず、確かに貫通していたはずのユウちゃんの服にも肌にも小さな穴すら開いていません。
う、うん。なんか途中からそんな気はしてました・・・けど・・・ユウちゃんの心臓が無傷でも私の心臓に悪いので止めて欲しいです・・・
「あぁ!耐久値が1割も持ってかれてるぅ!この服貴重なんだからなぁ!スペアはあるけども!」
「ば、バケモノ・・・」
「さっきまで死にかけてたのに唐突にクリティカル撃ってくる奴に言われたかねえよ!吹っ飛べ!」
「がはっ!」
哀れ、華麗に不意打ちを決めて高笑いをしていた騎士さんは呆気にとられて怯えて蹴られて消滅してしまいました。
なんというか・・・そう。相手が悪かったのです。致命的に・・・
「えっと・・・ユウちゃん?大丈夫・・・そうですね?」
「ぜんぜん大丈夫じゃないよぅ・・・耐久値がごっそりもっていかれたぁ・・・くっ、この恨みはらさいでいかー!」
うん。全然大丈夫そうです。ウガーって吠えながら両手を振り回してます。
今さっきまで胸から剣が生えてた人とは思えないほど元気です・・・あれ?人?ユウちゃんは人ですよね?合ってますよね?ちょっと心臓を貫かれても無傷な人なだけです。あれ?人の定義っていったい・・・
「きゅい!」
「って、もう全滅しちゃってる!なんてこったい。この怒りは一体どこに八つ当たりすればいいんだ・・・あっ」
八つ当たりだと分かっているのならぶつけないでください。
そして今度は何を見つけて・・・あっ。
「まって。待ってください。それは流石にやりすぎです」
「え~?でも本人が居なくなっちゃんだから連帯責任って言うか上司の責任じゃね?つまりやってもOK?」
なんにもさっぱりOKじゃありません。それにユウちゃんを刺した騎士さんは居なくなったんじゃ無くってユウちゃんが自分で消し飛ばしたんです。
だから・・・だから・・・
「お城を消し飛ばそうとするのはやめてくださぃ!あ、あそこにはカレンちゃん達も居るんです!だから・・・」
「ソラ・・・」
火の玉をいっぱい浮かべているユウちゃんの肘に抱き着いて涙目でお願いしたら、ユウちゃんが私へと振り向いて、優しげな笑みを浮かべてくれました。
そ、そうですよね。いくら心臓を抉られて怒ってるとは言っても、怒りに任せてお城を壊したりはしませんよね。ただでさえも手配度が上がってるのに一発でMaxになりますもんね。
・・・あれ?なんかデジャヴ・・・
「ソラ。人を生まれで判断しちゃダメだよ?敵に付くんなら平等に皆殺さなきゃ!」
「違います。違いませんけど違います」
言ってることは間違っていない気がしないでもないような気にならなくもないですが、結論は明らかにおかしいです。
そ、それは私だって無理やり異世界に誘拐されてあ、あんな事になりかけてんです。このお城にいい思い出は全くありませんしむしろ滅びればいいとは思っていますが、カレンちゃん達は何にも悪くない・・・いえ、助けに来てくれたのがユウちゃんだけだったのには思うところが無い訳でもありませんが・・・
「撃てぇ!」
「きゅい!」
「ホー!」
「~~~!」
「コーン!」
ドゴァーン!
「ぁ、あぁ・・・」
ユウちゃんの火の玉とボーパルちゃんのハンマーとミズキちゃんの影の槍とティーニャちゃんの魔法の矢ガトリングとイナリちゃんの火の玉がお城に激突して一撃で崩壊させました・・・
城壁の目の前に居る私達にも風にのって折り重なる悲鳴が聞こえてきます・・・
あ、あれぇ?なんか私の知っているお城からの脱出と違います・・・お城を消し飛ばして消滅させれば脱出成功なんでしたっけ・・・?
「ふぅ・・・汚ねぇ花火だぜ・・・」
「いや、あの。花火って。アレ。お城が・・・」
映画のラストシーンの様に崩壊していく悪のお城に、胸がすくどころか罪悪感で胸が張り裂けそうなんですが、ユウちゃんは一仕事したったと言わんばかりにすっきりした表情で出てもいない汗を拭う仕草をしています。
お、お城が・・・大量殺人が・・・い、いえ。崩壊するお城の狭間から青い粒子がちらっと見えていたのでまた消滅したのでしょうから殺人ではないのかもしれませんが・・・大量滅人?あれ?より酷いような気が・・・
「んん?・・・ああ。大丈夫だよソラ。安心して」
あれ?何故かまたデジャブが・・・これ絶対大丈夫じゃないやつです。流石にもう分かってきました・・・
「砦とかお城とかの重要施設は壊しても直ぐに生えてくるものだからね!」
「・・・・・・」
ユウちゃん・・・それは勝手に生えてきてるんじゃありません・・・重要施設だからみんな全力で建て直してるんです・・・
・・・そしてお城崩壊のどさくさに紛れて私達の王都脱出はあっさりと成功しました。
これがユウちゃんの目的だったとしてももうちょっと穏便に済ませて欲しかったです・・・
ただ、脱出の前に城下町で大騒ぎしているカレンちゃんや、見覚えのある騎士さんを見かけたのでそれだけは良かったです。ユウちゃんは殺人鬼では無かったんですね。みなさん元気に大騒ぎしていました。
・・・えぇ。それはもう狂った様に大騒ぎしていました。
突如お城が崩壊して町中では騎士さんが狂った様に喚き散らして、深夜だというのに町中が大狂乱に陥れられ。その元凶さんは五月蠅そうにしかめっ面を群衆に向けていました。
いえ、ユウちゃんその反応はどう考えてもおかしいです・・・無関係ならばしかめっ面をしたくなる気持ちは分かりますが、関係者どころか犯人のユウちゃんに迷惑そう顔をする権利はありませんよ・・・?
もふもふ!
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お城からの脱出成功!
脱出・・・脱出?お城消滅しちゃってるけど脱出成功したと言えるのだろうか・・・ま、まぁお城の中じゃ無くなったから脱出成功だよね!間違いない。
次どうしよっかなぁ・・・なんも考えてないや。リクエストある?ダンジョンでも潰しに行く?まさかの一度も出番が無かった王様視点でもやる?異世界人を誘拐して戦争の手駒にしようとした愚王の末路を・・・




