魔法少女フィア 始めました
エロイ人達の助言に従い妄想短編投稿用の小説を作りました!
本編も妄想垂れ流しじゃないかとか言ってはいけません。
「・・・ふあ~~む。ムニャムニャ。・・・ん、おはようございます」
「おはよー」
寝起きの重たい瞼をコシコシしながら入ったリビングでは、今日も早起きしてフィアとお兄ちゃんの朝ごはんとお弁当をお母さんが作ってくれています。今日のお弁当は何でしょう、今から楽しみです。
「あ、フィア。悪いんだけどお兄ちゃん起こしてきてくれない?さっき起こしたんだけどまだ部屋から出てきてないのよ」
「・・・むぅ、またですか。まったく、困ったお兄ちゃんです」
お兄ちゃんは高校生にもなって1人で起きられない困ったさんです。きっと遅くまで遊んでいたに違いありません。
よろしくねーというお母さんの声を背に今さっき歩いてきた廊下を戻ってお兄ちゃんの部屋に向かいます。
お兄ちゃんの部屋は廊下の突き当たり。隣にあるフィアの部屋よりもちょこっとだけ大きいのでうらやましいです。
「・・・くぅー、すぴすぴすぴ・・・くぅー、すぴすぴすぴ」
一声かけてからお兄ちゃんの部屋に入るとこんもり膨らむお布団がいました。
寝息も聞こえるのでお兄ちゃんが丸まっているのは間違いありません。
「・・・お兄ちゃん起きてください。もう朝ですよ」
「んー、後5光年・・・」
ベッドの上のお団子をゆさゆさしながら声をかけてもお兄ちゃんは一向に起きる気配がありません。
それに光年を距離じゃなくて時間の単位だと間違えて覚えています。ダメダメなお兄ちゃんです。
「・・・こうなったら実力行使です」
お兄ちゃんはお布団をがっしり掴んで丸まっています。
クラスの中でもちょこっとだけちっちゃい方なフィアの力じゃ、ゆさゆさするので精一杯です。
ですので・・・
「・・・魔装。部分展開」
フィアの胸から出た光が両手をキラキラと覆うのを確認してから力いっぱいお布団を引っ張ります。
「・・・せー、の!」
ドッシーーン!!
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「痛ってて、なんか最近フィアの怪力がさらに強くなってる気がする」
「・・・なら、明日からは1人で起きてください。フィアはもう起こしませんので」
「すいませんでしたフィアさん。いつも起こしていただいてありがとうございます」
「・・・分かればいいのです」
結局お兄ちゃんごとお布団を床に叩きつけてお兄ちゃんを起こすことに成功したフィアたちはリビングで3人揃って朝ごはんを食べています。
4人掛けのテーブルでフィアの正面に座っているのが久遠寺 祐 お兄ちゃん。小学生の頃から身長が低くってさらに中学生の頃から殆ど身長が全然伸びなくなっちゃったから、高校生になった今でも時々小学生と間違えられる事もあるほどちっちゃなお兄ちゃんです。
本人は小学生料金でお会計できてラッキーと言ってるけれど、それが原因でイジメられてた事も知ってるからちょっと心配です。
「ん?どした?」
「・・・何でもないです」
ツヤツヤした黒髪でパッチリ二重に童顔で女顔。おまけに声も男の人にしては高めなので、寝癖を直して髪を伸ばして話し方を変えたら女の子と絶対に間違われますね。むしろ今のままでも良く姉妹だと言われます。
フィアの左隣に座っているのが、お母さんです。
ちなみにお母さんもちっちゃいです。どれぐらい小さいかと言うと夜出歩くとおまわりさんに補導されかかったり、お酒を頼むと未成年でしょ。と窘められるくらいに小さいです。
お父さんは居ません。夜遅くまで働いていて朝早くに出て行くため会うこと自体があんまりありません。
休日も平日で昼まで寝ているので休日の夜にお兄ちゃんとアニメの話をしているのを見るくらいです。
そして私が久遠寺 フィア です。
光を反射して輝く自慢の空色の髪と同じ色の瞳以外は近所の中学校に通うどこにでも居る普通の中学生です。
・・・どこにでも居る普通の中学生だったのです。先月の始め、あんな事件に巻き込まれるまでは・・・。
『やっぱりいつ見てもフィアのママの作るご飯はおいしそうなの!あたちも食べてみたいの!』
最後にフィアの膝の上に乗って短い前足をテーブルの上に乗せてタシタシと叩いているのがウサギのボーパルちゃんです。
ボーパルちゃんは見た目普通のモコモコうさぎさんにしか見えないけど全然普通のうさぎさんじゃないのです。
『んー?あたちのことジッと見つめてどうしたのー?ハッ!?分かったの!きっと、あたちのこのわがままばでーから溢れ出るみりきにメロメロになってるの!いや~人気者はつらいの~』
普通のうさぎさんはボーパルちゃんみたいに喋ったりはしません。ボーパルちゃんも口を動かして喋っているわけじゃなくて頭の中に直接ボーパルちゃんの声げ聞こえてくるのです。だからボーパルちゃんの口を塞いでも、フィアの耳を塞いでも変わらず声が聞こえるのです。うるさいのです。
『むー、うるさいとはひどいの!賑やかだと言って欲しいの!』
フィアの心を読んで騒ぎ始めたボーパルちゃんを無視して食事に戻ります。
普通食事中にウサギが騒ぎ始めたら気になりそうなものですが、ボーパルちゃんはチカラを持っている人にしか見えないらしいので大丈夫なんだそうです。そこらへんは良く分かりません。
うん。今日のご飯もおいしいです。
『無視するなんてひどいの~~~』
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「・・・いってきます」
「いってきまーす」
「はい、いってらっしゃい」
朝食の片付けが終わったらお兄ちゃんと一緒に学校へ向かいます。
といっても一緒なのは家を出るまででお兄ちゃんはもう自転車でピューと出てってしまったのです。
『フィア!魔力反応なの!距離は・・・近いの!もう魔人になりかかってるの!』
フィアの頭の上に乗っかるいつもの移動スタイルのボーパルちゃんがフィアの頭をペチペチ叩きながら魔力反応が出現したことを知らせてきます。
むぅ、早めに出発したとはいえ寄り道せずに学校に向かいたいのですが。
『そんなこと言ってられないの!ほらほら行くの!すぐ行くの!あっちなの!』
分かりました、行きます。行きますから無理やり顔の向きを変えないでください。首が痛いです。
はぁ~、なんとか朝礼までには片を付けたいところです。
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「・ぜだどう・・・んなひ・いこと・・・るお・・たい・つに・・せつに・・・たふぃ・あだったの・・のち・りも・・・つな・からも・・った・・・の・ろい・さぎ・・べて・・・じって・・や・た・な・・ぜなぜなぜなぜなぜなぜ!」
『いたの!あの人なの!』
下を向いてブツブツなにかを呟きながらあるくお兄ちゃんと同じ制服を着た男子高校生。ボーパルちゃんの案内に従い見つけたその人にフィアは見覚えがあったのです。
「・・・タクさんですか」
タクさん。お兄ちゃんの数少ない友人の1人で時々家にも遊びに来るです。いつも明るく賑やかで、フィアの髪も綺麗だと褒めてくれたのです。
・・・少なくともあんな風に暗い雰囲気を撒き散らして歩いているのはタクさんらしくないのです。
『早く変身するの!もう呑まれかかってるの!魔人化まで時間が無いの!』
ボーパルちゃんのおかげで見える眼で見るとタクさんから黒いモヤがドロドロとあふれ出し体に纏わりついてるのが見えます。タクさんの体が見えている場所の方が少ないです。アレが全身を覆い尽くした時人は魔に落ち、魔人になるのです。
「・・・変身は好きじゃないです」
『好き嫌いを言ってる場合じゃないの!』
「あ゛あ゛?お前は・・・お前はあああああああああああああああああああああああ!!!」
タクさんはグラリと首を倒し濁った瞳でこちらを見ると突然狂ったように叫びだし、同時に全身からさっきまでの倍はありそうなほど黒いモヤが噴出し全身を隙間無く覆ってしまいました。
魔人に成りかかっている人に近づくと時々起きる現象です。
『まずいの!来るの!』
「ガアアアアアアアアアアアアアア!!」
肌が紫に変わりねじれた角と鋭い牙の生えた人外の姿に変わり果ててしまったタクさんが雄たけびを上げてこちらに禍々しい爪の伸びた手を伸ばしてきます。
「・・・魔装。部分展開」
半実体化させた魔装を足に纏い、強化された脚力で突撃をかわします。
大丈夫です。これぐらいなら部分展開でも余裕を持ってさばけます。
「ガアアアアアア!!」
「・・・ッ!」
後ろを取ったと思った瞬間タクさんの背中が割れて5本の触手が飛び出し一斉にフィアへと伸びてきます。
1本目をサイドステップでかわし、2本目を左足から右手に移動させた魔装で弾き、3本目を右足で踏み潰し、4本目を屈んでよけて、5本目を無理やり体を捻ってかわした所で突然軌道を変えた触手に巻きつかれてしまいました。
「・・・くっ」
胴に巻きついた5本目に気をとられているうちに他の触手がそれぞれの手足に巻きついてきて宙に吊るされてしまいました。
魔装を薄く展開してダメージは抑えていますが身動きが取れません。困りました。
それに・・・うう、ヌルヌルしてて気持ち悪いです・・・。
「キャアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ば、化け物だああああああ!!」
「逃げろ!殺されるぞ!」
「ままぁ、ままぁああああああああ!!!」
動きが止まった事で状況が理解できた通行人の時が動き出し一気に騒がしくなります。
中には携帯電話のレンズをこちらに向ける人もいます。本当に止めて欲しいです。
「ガアア」
異形に成り下がった魔人がニタニタと嗤いつつゆっくりとフィアの所に歩み寄ってきています。その魔人の右腕が解けたかと思うと鋭い槍のようになりました。恐らくあれでフィアを突き殺すつもりなのでしょう。
『言わんこっちゃないの!変な意地張ってないで早く変身するの!きゅい!?』
「・・・!ボーパルちゃん!」
魔人が足元をチョロチョロ動き回るボーパルちゃんが煩わしかったのかサッカーボールのように蹴飛ばしてしまいました。
それぐらいでやられるボーパルちゃんではないですが、空の彼方へと吹き飛んでいったので戻ってくるまでは多少時間が掛かるでしょう。
・・・はぁ、しょうがないです。嫌ですがこうなったら変身するしか無いです。
「・・・『ネヨルギ、カニリ、ロハ、ヨジウヨ、シウホマ』!魔装、全展開!変身!です!」
チカラあるコトバを口にした途端フィアを拘束していた触手が内側からのチカラの圧力に耐え切れず千切れ飛び、宙に放り出されたフィアはそれでも落下せずにその場に留まります。
「な、何だこの光は!?」
「まぶしくて直視できない!」
「お、俺は見たぞ!あの化け物が女の子を殺そうとした瞬間突然光だして服が弾けたんだ!」
「何!?どっちのだ!」
「女の子の方だ!」
「「「何だと!?グワァアアアアア!!目がああああああああ」」」
毎回思いますが、男の人はバカな人しか居ないのでしょうか。
さて、そんな事をしている間にフィアの変身も終わりました。
部分展開ではチカラの一部しか使えず半実体化という不安定な形で体の一部に光として纏っていた魔装か変身では体全体を覆うようにドレスの形で実体化するのです。
この状態なら物理的なダメージをほぼ無効化し魔力の効果も減衰できる上に、チカラも変身前と比べるまでも無く格段に上手く、大量に扱えるので正直魔人化したばかりで魔力の制御も録に出来ていない相手なら負ける方が難しいです。
「いつもどこでもあなたの傍に!呼ばれなくても駆けつける!魔法少女フィア!ここに参上!です!」
クルっと回ってポーズ!
ふっ、決まりました。皆フィアに見とれています。お兄ちゃんのアニメで勉強してお風呂でポーズの練習をしたかいがありました。
今のフィアは自慢の髪と同じ空色を基調とし、白いフリルが所々にあしらわれた可愛いドレスを着ています。腰の後ろに付いている大きなリボンとウサギの帽子もチャームポイントです。
そしてチカラの制御の媒体として生成した杖で可愛そうな魔人を指して言ってやるのです。
「フィアがきたからにはもう大丈夫です!タクさん!あなたの嘆きも哀しみも全部フィアが払ってあげるです!!」
むふぅ~。またまた決まりました。今日のフィアも絶好調です。あの槍モドキで刺されたところで怪我をする可能性が殆ど無いとはいえ、どうしてもっと早く変身しなかったのか不思議でしょうが無いです。変身したフィアなら何だって出来るのに。今なら空だって飛べるのです。
「ガアアアアアアアアアア!!」
変身の余波のチカラ程度で動けなかった魔人が雄たけびを上げると周囲に魔力を固めた弾をいくつも作り出しフィアに向けて射出してきます。
形も役割もあいまいなただ魔力を固めて放っただけの魔力弾なんか魔装の防御フィールドすら抜けないのですが衝撃を受けるのも嫌だし、かわすのも面倒くさいので防いでおきます。
「『ラビットシールド』!です!」
フィアの正面にうさぎさんの顔の形をした半透明の平べったい盾が現れると魔弾を全て防ぎます。
流石です。うさぎさんは偉大なのです。
「ガアアアア!」
魔弾を全て防がれたのを見た魔人はラビットシールドを回りこむように触手を伸ばしてきますが、甘いです。お気に入りのうさぎさん印のホワイトチョコレートよりもあまあまです。
「『ラビットソード』!です!」
無形のチカラに形を与え、役割を与え、名を与える。それによりチカラは顕現する。
フィアが作り出したラビットソードは薄い、ひたすらに薄い刃を持つ両刃の片手剣です。鍔にうさぎさんの飾りの付いた羽の様に軽いその剣は、ただただ早く、誰よりも早くを追求した最速の剣です。
「ッ!」
一呼吸のうちに魔装の補助が無ければとても視認できないほどの速度で剣先がブレ、フィアに触れようとしていた触手を粉々のパラパラにしてやりましたです。
余りにもゆっくりだったので切り取った触手の先でうさぎさんを作ってしまいました。
見た目はかわいいですけど、素材が嫌なので後で捨てましょう。ブヨブヨしてるのです。
「ガアアアア!!!!」
触手にも痛覚があったのか、自分の体の一部で遊ばれたのに怒ったのか魔人が今まででも最大の雄たけびをあげると再生が始まっている触手も消して、体中から搾り取るように魔力をかき集めて胸の前に集中させています。
相手が目の前で自由にしているのに長いタメのいる技を使おうとしている魔人に呆れますがこちらにも都合がいいので放置するです。
んー、暇です。変身中は体感時間が引きのばされるので待機時間は退屈です。
かといって変身を解除するわけにもいかないですし。
集中している魔人のわき腹でもツンツンして遊びましょうか。楽しそうですけど制御に失敗して自爆されたら困るです。タクさんが死んじゃうのです。
「ガアアアアアア!!!」
あ、チャージが終わったみたいです。
フィアの3倍はありそうなサイズの黒い槍が回転しながら飛んできます。
速度も速く込められた魔力も多いですがまだまだまだまだなのです。フィアを倒すためならあんなに大きくする必要は無いのです。
普通の人間はおなかに引きちぎれるほどの穴が開いたら大抵は死ぬのですから。ごく一部に例外もいますが。
ま、さっさと終わらせるです。
「『ラビットファイア』!です!」
フィアのコトバとイメージを元にうさぎさんの形になったチカラが炎となって出現します。
出現して出現して出現して出現して出現して出現して出現して、皆で黒い槍に飛び込んでいってうさぎさんの形に槍を削り取っていきます。勝手に回転してくれるので削るほうは楽でいいです。
一羽だと寂しくいかと思って沢山出るように調整したラビットファイヤですが使い勝手がよいのでお気に入りです。見た目も可愛いのです。ひとりぼっちは寂しいのです。
「ガ、アアァ・・・」
死力を振り絞って呼び出した最後の攻撃があっさりうさぎさんの群れに削られ消滅していくのを直立不動で見守っていた魔人がフラリ、ゴン!と顔からアスファルトの地面に突っ込んで動かなくなりました。
文字どおり死力を尽くしたため動くことも出来ないようです。仮にフィアを倒したとしてもそれからどうすもるつもりだったのでしょうか。おバカです。
『今なの!魔人が弱っているうちにに早く封印するの!』
やっぱり無傷で戻ってきたボーパルちゃんにジュエルを貸してもらって魔人の心を封印するです。
「『封印』!です」
タクさんの体から引き剥がされたモヤがギュンギュンとジュエルに吸い込まれていくのです。
あのモヤは人の悪意や害意などの負の感情の集合体で放置しておくと魔力に変化してしまって危険なのだそうです。
「封印完了です!」
『あ、まずいの!もう直ぐ朝礼が始まるの!』
ええ!?慌てて携帯を取り出して確認すると後5分しかないです!大変です!
『急いで記憶を消して戦闘痕を消すの!魔法少女のチカラならギリギリ間に合うはずなの!』
「急いで片付けるです!」
チャチャっと記憶を消してパパっと証拠を隠滅してグシャグシャっと携帯電話を潰してピュピュンと学校まで飛んで行ったらギリギリ間に合ったです。危なかったのです。
なにはともあれ今日も魔法少女フィアが華麗に素敵にこの街の平和を守ったのです!
めでたしめでたしです。
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「・・・あ゛~・・・う゛~・・・あ゛~」
『フィア?枕に顔を押し付けて何を唸ってるの?』
学校も終わって家に帰ってきた後。フィアは自分の部屋で羞恥に悶えているのです。
記憶を消したとはいえ、沢山の人が見てる前で裸になるとか、ヒラヒラなコスプレでクルっと回ってポーズを取るとか。大きな声で叫んだりとか。
「・・・あ゛~・・・う゛~・・・」
人が魔人になったときに大きな負の感情に引きづられて言動や行動がおかしくなるように、魔法少女になったときも正の感情に引きづられて魔人ほどでは無いにしてもちょっとおかしくなるのです。
『心配しなくても今日のフィアもかっこよかったの!『魔法少女フィア!ここに参上!』とか!』
「・・・ぐふっ」
『『あなたの嘆きも哀しみも全部フィアが払ってあげるです!』とか!』
「・・・ごふっ」
『『今日も魔法少女フィアが華麗に素敵にこの街の平和を守ったのです!』とかもよかったの~』
「・・・ごふぁ、って最後のは言ってないです。言葉にしてないからセーフです」
『あ、顔を上げたの!あたちの勝ちなの~』
1人で勝った勝ったと小躍りしているボーパルちゃんは一先ず放置でいいです。ああなったら何を言っても聞きません。
変身はもう使わないようにしようと毎回思うのですが、使わないと勝てないなら使うしかないのです。
魔人を倒すのは魔法少女以外でも出来なくは無いのですが、チカラが使えない人は魔人の使う魔力に対して無防備です。
沢山の人が死んでしまうでしょうし、最後は魔人を殺してしまうしか手段は無いでしょう。
沢山の人の命と自分の羞恥心が天秤にかけられているのです。戦うしかないのです。魔法少女はつらいのです。
「・・・はぁ、今日は疲れました。ちょっとお昼寝します。ボーパルちゃんも一緒に寝ますか?」
『ん~、今日はやめておくの!ちょっと外で風に当たってくるからフィアはゆっくり寝てていいの!』
「・・・そうですか。それではおやすみなさい」
『おやすみなの~』
これが久遠寺 フィアのちょっと普通じゃない、普通の日常のお話です。これからもフィアはこの街に魔人の脅威が現れるたびに魔人と己の黒歴史と戦っていくことになるのです。
フィアのおかげで皆が幸せに暮らせていけているのです。そうでも思わないとやっていけないのです。
・・・でも最近魔人になる人がちょっと多すぎる気もするです。皆ストレス溜めすぎなのです。私も人の事はいえないのですが・・・。
ふぁ~あ。チカラを使ったからか本当に疲れました・・・帰ってきて直ぐにシャワーを浴びたのは逆に失敗だったかも知れません。
・・・ちょっとお昼寝するつもりだったのに・・・本当に眠たく・・・晩御飯と・・・しゅく、だい・・・が・・・zzz
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「首尾はどうですか?ウサギの同胞よ」
「まぁまぁ、なの。意図的に害意を育てて強制的に魔人化させる方法はある程度の結果は出ているけど、やっぱり魔力の収集率は天然物には劣るの。まぁやらないよりは断然いいからしばらくはこのまま様子を見るの。そっちはどうなの?フクロウの同胞?」
「こっちもボチボチですね。魔人化しても意識が残っている個体と言うのは当然強い意志を持っているわけで、それを束ねようとするのは中々骨が折れますよ」
「お互い苦労するの」
「ええ。ですがコレも全ては長き眠りについている我がマスターを起こしあの世界に帰るため。がんばりましょう」
「・・・やっぱりヤギの同胞が討たれたのがここに来て響いてるの。どう考えても人手が足りないの」
「・・・それは今に始まったことでは無いでしょう?まったく。録にチカラも溜まってないのに手っ取り早く悪意を集めるために単身ホワイトハウスに突撃してあっさり射殺されるとか・・・あの世界にいたころから少し頭が弱い印象はありましたがあそこまでとは・・・」
「・・・お互い苦労するの」
「ええ。全く。・・・それでは次の定時連絡も来週の同じ時間で」
「わかったの。色よい報告を期待しているの」
「それはむしろこちらのセリフですね。あなたが失敗したら私もろとも共倒れですからね。・・・それではよい夜を」
「よい夜を、なの」
大きな満月以外見たもののいない人外の密会は始まりと同じく人知れずひっそりと終わる。
年増の魔法少女なんか見たくないよね~
白い魔王「少し・・・頭冷やそうか」
チュドーン!