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戦闘

 ケントは地を蹴って魔物に飛びかかり、勢いよくそれを斬り殺す。


「きゃー!ケンちゃん格好いい!」

「……真面目に戦ってよ愛美姉ちゃん……」

「メグ姉って呼んでよ~そっちのが可愛いよ?」


 現在、魔物の群れに囲まれていた。どうやら縄張りを侵してしまったらしく、犬系の魔物が次々と現れるのだ。


「くっ……」

「破砕拳!」


 メイドたちも奮戦している中で、愛美はずっとケントの周囲を過剰なくらいに守っている。他にも【ヤンデレ姉の嗜み(エルシスタスク)】の7つ道具の一つの薬の効果によりケントは疲れも知らずに戦えるのだが、メイド二人が心配だ。


 だが、それを直接言えばこの場に最強の敵が降臨することになる。そのためケントは言葉を選んで口を開いた。


「め、メグ姉の、格好いい姿みたいなー……」

「え~?ケンちゃんの方が格好いいって~」


 照れているだけだ。この手では戦ってくれないのかと思っていると小さなメイドさん、エスクラが悲鳴を上げた。どうやら何かあったようだ。


「め、メグ姉!俺、今すぐ大量の犬の肉が食べたい!」

「え~?変なケンちゃん。」

「愛してるからこの場の犬たち全部倒して!」

「も~」


 照れながらも満更でもなさそうな愛美が指を鳴らすとこの場にいた全ての犬たちがその場に倒れ伏した。


「ケンちゃんったら、お姉ちゃんに頼ってばっかりだと……一生、私に頼らないと生きていけないような体にしたくなっちゃうぞ……♥」


 冗談でもない言葉を返された。だが、その目は一瞬だけ本気の視線を放っていた。


「あ、あはは……これ、どうなってるの……?」

「んー?体の中、光の通ってない部分をね、食い荒らしたの。あ、安心してね?内臓を食い潰しただけで、お肉はちゃんとあるから!」


 笑顔の言葉が怖かった。それに、ケントは別に犬なんて食べない。だが目の前では愛美の調理が始まっている。


「ドッグハンバーグがいいかな~?でも、ケンちゃん味覚でも変わったの?犬を食べるなんて……この世界じゃ普通なの?あ、だ、大丈夫だよ?お姉ちゃんはケンちゃんのことちゃんと受け止めてあげるから!」


 疑問に思って首を傾げ、勝手に慌てている愛美。その姿は可愛らしいが現実にやっていることと言っていることは恐ろしい。


「寄生虫とかは、内臓全部抉ったから大丈夫だと思うけど……あ、もしかしてケンちゃん……寄生虫とか知らなくて食べるなんて言ってたり……?」

「ぜ、全然知らない……」

「そっか。じゃああんまりお勧めしないかな。味は牛肉と豚肉の牛肉寄りで少し硬い位で美味しいと言えば美味しいけどね。普通、食べないし。」


 闇に呑まれて行く犬たちを背筋に冷たい物を走らせながら見るケント。


「あれって……どこに行ったの……?」

「んーとね、多分、色んな世界の犬を食べたり何かに使ったりする変わった人たちのいる場所だと思う……しばらくしたらお金になって帰って来るよ。」


 朗らかに笑う愛美。そんな彼女を見てケントは僕よりもよっぽど変わったのはこの人だよ……と思いながら愛想笑いを浮かべた。


 気になっていたメイドたちは無事のようで、それを安堵すると笑顔のまま夜叉を召喚する彼の姉にご機嫌取りをしながら彼らはまた道を進んで行く。




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