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平凡な主人公が異世界で転生してチート勇者な人生を送るかと思ったら  作者: けろよん
新生編

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8/27

公太郎の新生

 暗闇の中で一人の少年だったものの魂が流れていた。

 その魂の中からふと何か別のものの光が溢れ、そしてそれをどこか別の場所へと運んでいった。


 公太郎は目覚めると、何度も見たことのあるような暗闇の中にいた。

「あれ? 僕は全てが平和に包まれた世界で穏やかに死んだはずなのに、何だってまたこんなところにいるんだろう」

 彼が手をかざしながら周囲の暗闇を伺っていると、すぐ側にちっこい少女の姿をした神様が現れた。

「やっと死にましたか、公太郎。あなたがあれほどまでにやるとは正直この神もびっくりしました。あなたのわずか6話の異世界転生チート人生が弾き出したこの膨大なアクセス数は、きっとあなたにかけられた未来の可能性その物なのでしょう」

「神様! 生きていたのですか?」

 公太郎は神様のよく分からない話よりも、変わらず存在していた彼女のその姿に驚いた。しかし、ちっこい少女の姿をした神様は悲しそうにうつむいて力なく首を横に振った。

「いいえ、わたしは死にました。よく見てください。透き通っているでしょう」

「確かに」

 改めてよく見てみると、神様の姿は確かに透き通っていた。

「しかし、悲しいことばかりではありません。わたしは自分に残された最後の力を、自分の世界に残された最後の物と融合させることで、何とか実体は失いながらも存在だけは残すことに成功したのです」

「最後の物? あの世界に残された物があるのですか?」

 公太郎の世界の物は全て妖精さんの世界へと吸収されてしまったはずだった。公太郎の疑問に神様は答える。

「分かりませんか? それはあなたの魂です。残念ながらあなたの体は世界とともに妖精に取り込まれてしまいましたが、あなたの魂だけは現世にあったそのままでした。そこで、わたしはあなたが死んであの世界から解放される僅かな隙を狙って、これをかすめとって奪ったのです」

「何のためにそんなことを」

「わたしはあなたに賭けようと思います。わたしの力とあなたの意思の強さを合わせればあなたを新生させることが可能です」

「新生とは何ですか? 転生とは違うのですか?」

「転生とはあなたを元の存在のまま生まれ変わらせること、新生とは今とは違う全く新しい存在として生まれ変わることです」

「僕が僕でなくなるということですか?」

「あなたの記憶はそのままです。ただ全く別の体や能力になるというだけのことです。では、行きますよ!」

「ちょっと待って、うわああ!」

 神様が手をかざすとそこから光が広がり、公太郎はどこか別の場所へと飛ばされていった。


 公太郎が気が付くと、そこはどこかの氷の洞窟の中だった。

「寒い・・・・・・」

 公太郎はその寒さを不快に感じ、そしてすぐにその違和感に気が付いた。

「この僕が寒いと感じるだとお! 出てこい、神様!」

 公太郎が叫ぶと、ちっこい少女の姿をした神様はすぐに現れた。その姿は闇の中で見たのと同じでうっすらと透明になっている。

「そう叫ばなくても聞こえますよ。今ではあなたとわたしは一心同体の存在なのですからね」

「それはどういう意味ですか?」

「言ったでしょう。わたしの力をあなたの魂と融合させたと。つまりわたし達は別々の存在でありながら、同じ存在を共有するものとなったのです」

 公太郎は頭を振った。神の事情などどうでもいい。彼が気にしているのは自分の力のことだけだった。

「まあいい。そんなことはどうでも。お前が僕の邪魔さえしなければな。それよりもチート能力ですよ! 僕のチート能力はいったいどうなったんですか!」

 公太郎の違和感はそれだった。彼の知るチート能力とはあらゆるものを一方的に容易く倒す力だった。そして、あらゆるダメージを無効化する能力だった。

 寒さを感じるのはともかく、苦痛や不快を感じるなどあってはならないことだったのだ。

「そのことですが・・・・・・」

 神様は話し始める。

「わたしに残った今の力ではチート能力まで与えることは無理でした」

「なんだとう! それでは僕は何のために生まれ変わったというんだ! チートのない人生になど何の意味がある! 僕は自分が主人公になれない世界になどもう興味はないんだ!」

「しかし、半チート能力を与えることは出来ました」

「半チートとは何ですか?」

「敵に1.5倍×3のダメージを与えたり、3倍の速さで動いたり、全てのダメージや状態異常の確率を半減したりする能力のことです」

「何か強いんだか弱いんだかよく分からない能力だな」

「十分に強いですよ。覚醒した世界最強の魔法使いといえど1.5倍×3の物理には勝てないのですから。それにチート能力を取り戻す方法もあります」

「そんな方法があるんですか!!?」

「簡単なことです。この神が力を取り戻せばいいのです」

「早く取り戻してください!」

 公太郎は神の肩に掴みかかろうとしたが、その手はすり抜けた。神はマイペースに答えた。

「すぐには無理です。しかし、すぐにやる方法もあります」

「早く言えよ!!」

「この世界の神様をやっつけて、その力を我が物にすればいいのです」

「そいつはどこにいるんですか?」

「分かりません。しかし、世界があるならこの世界を創造した神様もきっとどこかにいるはずです」

「そいつを探すしかないか。仕方ない。しばらくは半チートで我慢してやるか」

「頑張ってください。わたしも早く力を取り戻したいですから」

 神様の姿が消える。公太郎は洞窟を出て村を探すことにした。とにかくこの世界の情報を集めることから始めようと思いながら。

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