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平凡な主人公が異世界で転生してチート勇者な人生を送るかと思ったら  作者: けろよん
新生編

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26/27

フィオレ、最後の戦い

 公太郎は言葉を失っていた。

 敵など恐れていなかった。もう見てもいなかった。彼はただフィオレだけを見ていた。

「最後ってどういうことなんだよ! フィオレ!」

 フィオレは答えなかった。ただ剣を構え、ファイダを倒した時のように天高く光を伸ばしていく。

『そのままの意味です。彼女の戦いはここで終わるのです。このまま神に気に入られなければ』

 質問にはサンガーが答えた。彼女もまた公太郎を見てはいなかった。

 サンガーの腕から発射される雷の矢が次々とフィオレに叩き付けられていく。だが、フィオレは揺るがない。チート能力者に攻撃は通用しない。

『神にとって、フィオレの評価は決して良い物とは言えません』

 サンガーが飛ぶ。滅びの雲が舞い、雷が迸る。吹き上がる土煙がフィオレの体を覆い隠していく。

『しかし、ここで出来るところを見せれば、神もきっと考えをお変えになられるでしょう。そのために・・・・・・』

 サンガーが着地する。全身を砲台へと変え、ありったけの雷を発射した。土煙が吹き飛ばされていくその中心で、フィオレはただ立ったままその攻撃を受け止め続けた。

『全力で掛かってくるのです! フィオレ!』

 フィオレが動く。

 チート能力者に攻撃は通用しない。そして、その攻撃を止めるすべもまた、ない。

 フィオレは剣を振り下ろした。サンガーはそれをありったけの攻撃と防御と腕で受け止めようとした。だが、無駄だ。フィオレの剣はそれらをやすやすと貫通し、サンガーの体を切り裂いていった。

 黒い雲が晴れ、空に光が戻ってくる。

『見事です、フィオレ。あなたは立派に使命をやり遂げました。きっと神もあなたをお認めになって、暖かいもてなしと拍手でもって迎えてくださるはずです』

「ありがとうございます。どうか安らかにお眠りを。三魔獣」

 サンガーの賞賛に、フィオレは剣を振り下ろし、顔を伏せたまま答えた。

 サンガーは女性の顔に微笑みを浮かべ、斬られた腕を天へとかざし、そこにいる何者かに向かって祈りを捧げた。

 そして、サンガーの姿は砂となって光さす死の大地へと消えていった。


 最後に残っていた女性の像が崩れ去る。戦いが終わって、フィオレは静かに大剣を納めた。

「終わったよ、公太郎ちゃん」

 振り返るその顔は微笑んでいた。

「フィオレ・・・・・・悪いな、俺何も出来なくて・・・・・・」

「公太郎ちゃんはわたしを見てくれていた。それだけで十分だよ」

「フィオレ・・・・・・」

「見て、空が晴れていくわ」

 公太郎とフィオレは空を見上げた。黒い滅びの雲が消えていき、暖かな青空が広がっていく。

 それは平和を告げる夜明けのようにも感じられた。

「じゃあ、帰るか」

 公太郎はフィオレの手を取ろうとした。その時、天空に神の声が響き渡った。

『よくぞ、使命をやり遂げた! 聖少女フィオレよ! お前の勇志を称え、我が元へと招き入れよう! さあ、その階段を昇ってこの神の元へと来るがいい!!』

 声が止むとともに、天から空色の階段が降りてきて、天空と大地が繋がった。

「さあ、行こうか。公太郎ちゃん」

「行くのかよ」

「一緒にね。だって、公太郎ちゃん。会いたがってたんでしょ? 神様に」

 公太郎は一瞬自分が何を言われたのか理解出来なかった。そして、すぐに飛び上がるほど驚いた。

「ど、ど、ど、どうして、そのことをーーーー!?」

「早く何とかして誤魔化すんですよー!!」

 公太郎の隣でちっこい少女の神様も取り乱していた。慌てる公太郎はその声も耳に入らなかった。

 ただ、フィオレだけが落ち着いて微笑んでいた。

「だって、大きな声で喋ってるんだもの。公太郎ちゃんが一人で言ってたいろんなこと、実はいろいろ聞こえてたんだ」

「聞こえてたんなら言えよ!」

「だって、公太郎ちゃん、わたしのことを気にして秘密にしててくれてたんでしょ? エンデちゃんに聞いたよ。お化けが憑いてるんだってね」

「え、お化け・・・・・・?」

 その言葉を聞いて公太郎はきょとんとして我に返った。

「うん、お化け。わたしがお化けを怖がると思ったんだよね?」

「う・・・・・・まあな。お前ってそういうの苦手そうだからな」

「お化けが得意な人なんていないと思うけどね。でも、公太郎ちゃんに憑いているお化けだもの。我慢出来る! わたし我慢出来るよ!」

「ああ、まあ、頑張ってくれ」

「じゃあ、行こうか」

 そして、公太郎とフィオレはその階段を昇っていった。

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