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平凡な主人公が異世界で転生してチート勇者な人生を送るかと思ったら  作者: けろよん
新生編

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20/27

ファイダ討伐

 そして、司会の掛け声とともに決勝戦が始まった。

 目的は火山へ行って炎のファイダを討伐すること。

「来い! シルバーバード!」

 セインが口笛を吹くとそこに白銀の大きな鳥が舞い降りてきた。セインはそこへ上手く飛び乗った。

「目標は火山だ! はいよー!」

「抜け駆けはさせねえぜ!」

 ファルコンは鳥の足へロープを投げて巻きつけ、ぶらさがった。二人はそのままあっという間に空の向こうへと飛び去っていってしまった。

「戦いはもう始まっているというわけか。僕達も急ぐよ」

 オサダは馬に跳び乗って走り去っていく。

「出遅れたぜ、走っていくしかねえか」

「公ちゃん、乗って!」

 呼びかける声に振り向くと、宙に浮いたスケボーのような乗り物に乗ったエンデがいた。

「お前、その乗り物どうしたんだ?」

「前にカジノの景品でコインと交換したの。燃料代は掛かるけど二倍の速さで走れるよ」

「二倍か。なら、三倍の速さで走った方が速いな」

「公ちゃん?」

「悪いな、エンデ。俺は先に行っているぜ」

「え? 待ってよー!」 

 公太郎は走っていく。エンデもその後を追いかけていく。それをミスターカボチャは静かに見送っていた。

「わんわん!」

 犬は会場の中央を嬉しそうにぐるぐると走り回っていた。

「さて、ハンデはこれぐらいでいいな。行くぞ、ひよっこども!」

 そして、腕を組んで目をつぶっていたデバランが巨体に似合わぬ速さでスタートを切った。


 荒涼とした平地の中で、火山は静かにたたずんでいるように思われた。

 しかし、一番乗りをしたセインが上空から火口へと近づこうとした時、突如として噴火を始め、炎の中から巨大な一匹の赤いトカゲが現れた。

「あれが炎のファイダですか。上空だと上がってくる炎が熱いですね。場の悪い斜面で戦うのも得策とは言えませんし。平地に降りますよ、シルバーバード」

 鳥に命令し、セインは火山のふもとに広がる平地へと降り立った。ファルコンは途中で飛び降りて岩陰へと姿を隠していた。ファイダが地を這うように山を下りてくる。

「自分に有利な地形で待って戦う。良い判断だね」

 そこへやってきたのがオサダだった。セインの隣に馬を止めてファイダを見る。

「もう来たのですか。速いですね」

「僕の馬はいい馬なんだ。さて、あれとどう戦おうかね」

 二人が山を下りてくるファイダを見上げていると、その間を駆け抜けていった巨体があった。

「ここまで来て見物か? ならばそこでこの優勝者デバランの活躍を目に焼き付けておけ!」

「ば・・・・・・馬鹿な! 無謀すぎる!」

「ここはお手並み拝見といこうかね」

 あせるセインと落ち着いているオサダ。

 岩のごつごつした斜面を物ともせず、あっという間に火山の中腹まで駆け上ったデバランはそこで炎のファイダと組み合った。

「このまま火山の火口まで押し戻してやろう!」

「勝ちを拾うのは俺様だ!」

 そこを岩陰から飛び出してきたファルコンが腕の大きな爪をファイダの背へと叩き付けた。だが、びくともしない。

「かてえ! 俺のクローが通らないだと!? おっと」

 ファイダの尻尾による打撃をかわして、ファルコンは再び身を潜めた。

 ファイダが吠える。デバランを押さえつけようとのしかかっていく。だが、デバランも負けじと押し返していく。

「俺と力勝負をしようってのか。良い度胸だ!」

 だが、ファイダは力勝負は挑まなかった。あっさりと後ろへ下がると体勢を崩したデバランに向かって鋭い頭突きを繰り出した。

「ぐわああ!」

 デバランは吹っ飛び、岩の斜面を派手に転がっていって、山のふもとまで落ちていって気絶した。

「むうう、デバランほどの男がこうも容易くやられるとは」

「早くたどり着いた方が有利というわけでもなかったようだね」

 セインとオサダがうなっている。

 そこへ公太郎がたどり着いた。

「どうやら主人公の出番のようだな」

「お前が主人公だと!? むっ、これは失礼、お嬢さん」

「ほう、たいした自信がおありのようだ」

「あいつがファイダ!」

 そこへエンデも駆けつけてきた。

 4人が待ち構えているのを悟ったのか、ファイダは一気に山のふもとまで駆け下りてきた。そこで獲物を吟味するかのように立ち止まる。

「さて、何か作戦は?」

 ちろちろと舌を出す炎のトカゲを前にしたオサダの質問に公太郎は答える。

「奴を早く倒した奴が勝利者。それだけだろ」

「お嬢さん達は下がっていなさい。戦いは男の仕事です」

 セインの提案に公太郎は身震いした。

「誰がお嬢さんだ!」

「公ちゃん! 来るよ!」

 ファイダが飛びかかってくる。それを4人はそれぞれ別の方向に散って避けた。


 静かな宿屋の部屋でフィオレは青い部屋着に着替えて言われた通りに安静にして寝ていた。

「公太郎ちゃんとエンデちゃん、うまく勝ち抜けてるかな。応援に行った方がいいのかなあ」

 フィオレは気になって起き上がって窓の外を見た。そこから会場の中が見えるはずもないが、遠くの火山で炎のような物が上がっているのが見えた。

「まさか、ファイダが目覚めたんじゃ!」

 フィオレは迷ったが、すぐに自分の使命を思い出し、大剣を手に宿の部屋を飛び出していった。

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