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戦火の裏で

さてと、と能代は大きく伸びをする。

焼けた肌に引き締まった肉体。

一月の那覇、彼はホテルにいた。

(在日米軍の半数はアンデス戦線に引っ張られるだろう。アフリカにいるSEALsやマリンコもアンデスに移動だろうな。アメ公ども本州(ステイツ)さえ無事ならユーラシアなど知ったことではないってか)

ホテルのトレーニング施設から部屋に戻る。

(問題は中国人だ。沖縄のアメリカという重石が消えた今、国内の不安を外に向けるべくここぞとばかりに尖閣や沖縄本島まで浸食するだろう)

暑いシャワーを頭から浴び、シャツを着替える。

シャツはユニクロだが安いので遠慮なく汚せて気に入っているのだ。

無論仕事によっては高級品にも袖を通すし、能代は高給取りなので普段着もユニクロではない。

(西普連に奪還を任せるとして、潜り込むべきはどこだ?上海か青島か…)

そこまで考えを巡らせたところで、能代はソファーの上に見慣れない人物がいることに気がついた。

「誰だ」

「ルームサービスよ」

金髪の美女はそう笑った。


〈こちらヴュルガー1。指示に従う〉

僚機の通信が聞こえた。

どうやら敵の襲撃機がキリマンジャロ東部のフランス軍基地に接近中らしい。

「マスターアーム、オン」

〈パワーマキシマム〉

四機のEF2000タイフーンが飛ぶ。

〈襲撃機はフロッグフットっぽいずんぐりやだったそうだ。護衛も付いてるが落せばいないも同然。まずミサイルで戦闘機を排除した後襲撃機を穿つ〉

「Ja(了解)」

〈腕が鳴るぜ〉

〈俺にまっかせな〉

お調子者だが腕は確かな3と4。

ここに来るまでも軽口がいつもより多かった。

どうやら初めての実戦で緊張しているようだ。

〈1より全機、敵を探知した。長距離ミサイル発射。Fox1、Fox1〉

「Fox1、Fox1」

八条の軌跡が空に広がる。

敵は四機の護衛のうち、三機が落ちた。

〈悪運強いのがいるじゃねーじゃ〉

〈スクラップにしてやんよ〉

〈3、4。戦闘機を任す。2、俺たちは襲撃機を攻撃する〉

「わかりました」

高度を五百メートルまで落とし、一直線に突貫。

〈Fox2、Fox2〉

「Fox2、Fox2」

短距離ミサイルが襲撃機を襲う。

二機が主翼に直撃して撃墜成功。

のこり四機も虫の息だ。

「機銃いきます。Fox3」

襲撃機隊はドイツ空軍機の阻止に会い、フランス軍基地にたどり着く前に全滅した。


「ランスロット1、Fox2、Fox2」

〈Fox2〉

パパラッチに追われてもなお気高いレオパルドの姫は、

さながら鋼鉄のヴァルキリーである。

しかし熱くて太くて堅いガン(百二十ミリ)に挿し込まれてしまえば、か弱いお姫様と何ら変わりはない。

「友軍戦車残存三、装甲車四」

イギリス空軍のランスロット小隊がドイツ陸軍の戦車隊を援護する。

初動の遅れゆえ損害も出たが、多数が脱出に成功しつつある。

〈異星人どもめ、ケツからガン突っ込んで奥歯ガタガタ言わしてやんよ〉

〈..黙れ…大英帝国に下品な男は不要だ〉

「やめろ2、4。まずは目前のウジ虫どもを地獄へ送り返してやれ」

〈了解〉


ものの数分で異星人の戦車隊は排除された。

地上の覇者たる戦車でも、空を統べる者には敵わない。

〈こちらドイツ陸軍派遣軍第一戦車大隊黒小隊、ロタール=フォン=ペリエール中尉であります。航空支援に感謝します〉

「こちらイギリス空軍所属、ランスロット小隊のチャールズ=イングリス大尉だ。何両かやられてしまった。遅れてすまない」

〈中にいた兵士も大概は脱出に成功しているゆえ問題ない。周囲に敵影はないか?」

「何もないさ。キリマンジャロ東部のNATO軍基地はそこから二時間もかからんだろう。武勲を祈る」

〈そちらこそ〉

ランスロット小隊は基地に向けて機首を翻す。

黒小隊はそのまま直進する。


〈こちら空中管制機ライジングウルフ。ランスロット小隊、ご苦労だった。空域パトロールには別の隊を充てる。基地で補給を受けられたし〉

「了解した」

ランスロット小隊が飛行場へ戻っていく。

開発失敗によって数が少ないタイフーン戦闘機。

これでもアフリカにいる機体のなかでは強い方なので休みなく飛び続ける必要があった。

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