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蒼穹の並行線

二〇十五年十二月三十一日。

メルボルン。

日米英独仏伊露加。

ボーグ、コパヒー、アルマタ、ナッソー、コア、クロアタン、バーンズ、ブレトンハ。

アリストラ(地球)、デクシア(異世界)両界の主要国十六カ国の首脳が集まった。

メルボルン条約の締結である。

これにより一月一日より始まった一年戦争は幕を閉じることになる。


この戦争により、旧来の国連が主要国の都合に従って世界平和を演出する時代が終わった。

アメリカはその国力を落とし、ドイツやイギリス、ロシアや日本が台頭する。

主要国の立ち位置がおおよそ平均化され、パワーバランスが一変。

世界の警察が消えたことで、植民地主義時代の風潮と、インターネットによるグローバリゼーションが複合した時代となる。


「平和とは戦争と戦争のあいだの、たかだか十年程度の戦争準備期間に過ぎない。恒久的平和なんてものは幻想だ。平和は受け身では享受できない。積極的平和主義こそ我が国が進むべき道だ」

メルボルンのホテルの一室。

「‥民主共和制とは、人民が自らの意思で為政者を選ぶ仕組みだ。しかし私は選挙で選ばれた正当な政治家だが、議会や官僚から親中派を駆逐した。これは専制に近いものだというより、専制だ。民主主義国家の行政指導者として、私は身を引くべきかも知れんな」

南極のほうを見やりながら高雄はつぶやく。

「総理、ナッソーのアッポジ=アルデルト首相との会食のお時間です。そろそろご準備願います」

と、秘書が呼びに来た。

「なぁ、私は、民主主義国家の首相に相応しいか?」

「え‥?」

「そろそろ引退も考えてるんだ」

秘書は押し黙る。

「私はヒトラーと同じようなことをしたんだからな」

「しかし首相」

秘書は口を開く。

「当時のドイツはヒトラーが必要でした。不況から脱却し、ドイツ人として誇りある生を送るためには独裁者の強権で現状を打破せねばなりませんでした。そして日本も、今は強いリーダーが必要なのです。最悪の民主政治と最良の専制政治。民衆は税金が安くて裁判が公平なほうを選びます。だから首相、あなたは専制か共和制かで迷うのではなく、ただ税金を安くして裁判を公平にすればいいのです。所詮歴史など後世の権力者が自分に都合のいいように書き換えるだけです。ならば後世の日本を勝ち組にすることを考えてください。あなたの誇りなど、一億六千万の国民の前には塵も同然です。いづれ不要となるでしょうが、今は貴方が日本には必要です..…差し出がましいことを言って、申し訳ございません」


高雄は初日の出をホテルの屋上で迎えた。

「昨日はありがとう。正気に戻れたよ」

「私で良ければ、何度でもお助けします」

夏のオーストラリアに日が昇り、二〇一六年が明けた。

「…いずれ不要になるために。‥帰るぞ、日本へ。外務省と内務省と防衛省がいろいろやらかしたせいで忙しくなる。後世の日本のために、ちっぽけなこの身をすり潰すぞ」

「はい。お伴します」


蒼い空に二条の雲がたなびいている。

平行に浮かぶその雲も、きっといつか交わるのだろう。


          超★佐賀シリーズ第一章

             蒼穹のアブリースト/完

独裁制の欠点は後継者に恵まれる確率が低いこと

共和制の利点は最悪な後継者にはならない確率が高いこと


一気に進んで一気に弾ける独裁制

もたもた進んでゆっくり弾ける共和制


これが拙シリーズの中心軸となります

銀河英雄伝説を見ればわかるように、独裁は悪ではなく、共和制も善ではないのです

他の軸としては“超限戦”や“マキャベリズム”などを取り入れています

拙作は実世界に大きめの石を投げ込んだ場合の波紋の広がりを恣意的に解釈してみたものです。


完全なオリジナルワールドでも史実過去世界でもない、近未来ならではの妙にリアルでそれでいてファンタジーな世界観を楽しんでいただければ幸いです。

第二章はすでに執筆中で、いずれ投稿します。

あと今章では佐賀要素が全くありませんでしたが、二章ではマシマシになりますので気になったら観光してください

有田陶器市では焼き物を安く多く入手できます

期間中は有田駅前などで企業が配送サービスをやっていますのでご利用ください

ほかにも長崎くんちや佐世保の基地見学、雲仙温泉巡りなど、長崎観光の際にお立ち寄りいただければ、何もないですけど嬉しいです。

(佐賀のいいとこを書いたら佐賀県庁から表彰貰えないかな..)

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