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ハワイ沖迎撃戦

1-15

「餓えた狼」

海上自衛隊にはそうあだ名される男がいた。

護衛艦たかなみの元艦長だ。

大西洋で行われたNATO海軍の演習に単艦参加したことがある。

ひょんなことからたかなみ一隻で英国艦隊を相手に模擬戦をやるはめになったのだが、たかなみが沈没の判定を受けるまでに英国艦隊は空母含む八割が沈没させられた。

サー、ウルフ(Sir. Wolf)。

優雅さや気品に欠ける戦いかたをする男という意味だ。

部下からはよく慕われており、港近くのサッカーコートで親善試合を行ったときは艦長自ら乗員を率いて参戦した。

素人ばかりのチームでドイツ、イギリスに続いて三位に輝く大健闘。

イタリア選手に向こう脛を蹴られても、コートの上では紳士的に振る舞ったとされる。

ちなみに翌日から、その選手は常になにかに怯るようになったという。


「足柄大臣。やはりアールグレイが一番落ち着くと思うんだ」

「何をいうか。嬉野茶だよ」

「足柄さんは郷土愛が強いですよね」

「そうでもない」

内務大臣の日向と防衛大臣の足柄はちゃぶ台をはさんで対面していた。

「インド洋で拾った捕虜を調べましたよ。彼らはすごい」

「その件なら防衛省でも調べた。頭の上についたものは本物の耳。日本人とDNAの差違は99.89パーセント。人体を構成する成分や比率なんかも、血球なんかもほぼ同じだ」

モンゴロイドとコーカソイドの違いと、モンゴロイドと異星人の違いは同じ程度だというのだ。

「便宜上異星人と呼称しているが、異世界人と言うべきかもしれんな」

「その心は?」

「謎かけじゃない。まずJAXAもNASAも正月だから業務放棄って訳にもいくまい?今のところ世界中のどこの研究組織も外宇宙からの訪問者を観測していない。月の裏側にあるナチス残党の基地からきた遺伝子改良兵士だとしても、対空レーダーに引っ掛かるはずだ」

足柄はそう言って羊羮を口にいれた。

「宇宙人も、異世界人も、存在の証明が不可能なところは同じですし、文明が違うことを世界が違うと表現することもできる。出自はたいした問題じゃない」

日向はケーキをフォークで食べやすいサイズに切る。

“しっとりして美味しい”と箱に書かれている。

「捕虜の重傷者は皆峠を越した。死人がでれば解剖したんだが、全員回復の見込みあり、だそうだ。それと秘密裏に動員できる限りの言語学者は集めたが、いまだに彼らの言語は不明だ。必死で解析するとともにこちらの話者を増やそうとしている」

「その件に関しては防衛省のほうが動きやすそうですね」

「文科省にも協力をあおいでいる。それに“cake is a lie.”。ケーキは嘘だ。..内務省の手の内を知りたい」

スティルアラーイ..と口ずさんで足柄は日向を問うた。

「やはりミスターウルフだ。私の知人の軍人はすべて軍人ではなく、郵便配達員かなにかだったようだ」

「...分かりやすく言ってくれ」

「君は海の男の一員なのにジョークに品がない。センスもない」


高雄は組閣にあたり、ひとつ賭けをした。

閣僚に当てはめるべき人間を、すべて“びびっときた”人間で揃えてみたのだ。

結果は成功。

半年でバブル崩壊直前の中国や、内外の問題で圧壊しそうなアメリカを差し置き国際社会で頭角を表すまでになった。

同時期にドイツ、ロシア、イギリスでも政権が交代している。

彼らも同様に、これまでの風潮に逆らった内閣だ。

例えば、イギリスは全ての大臣は議員から選ぶことになっているのだが、シャドウキャビネット(影の内閣)という野党の人事案から数名をヘッドハンティング。

そして次の選挙では当選したばかりの新人立候補者を大臣に抜擢するなどやりたい放題やっている。


(英独露のそれぞれの代表と話したときも、ニュータイプ的な直感が“びびっと”きた。恐らくは彼らもまた新人類..)

「総理、お食事の用意が整いました」

「..」

スッと片手で感謝を示す。

総理のこんな態度には慣れている職員はそれだけ見るとカートをごろごろと持ち込んだ。

今日はかき揚げうどんだ。


ずぞぞ、と夕張は護衛艦きりしま艦内の食堂で肉うどんをすすっていた。

「な、千代田。お前あの異星人を見てどう思った?」

「似合わないって思ったっす。俺が見たのは男ばかりでしたから」

同じく食堂でアイスを食べていた千歳一士は、佐世保で補給した物資のなかに入ってたブラックモンブランのあたり棒をどう保管しようかと悩んでいた。

ブラックモンブランとは佐賀の竹下製菓が作るアイスだ。

当たりがでたらもう一本。

広く流通しないので食べられるのは北部九州くらいだ。

子供たちはこれで育つといっても過言ではない。

「俺の田舎にはこんなのなかったっすね。いいもん食ってんなー..」

「長崎佐賀は甘いものが多い。カステラや羊羮なんかが有名だな。なぜだと思う?」

「んー、中国に近いからっすか?」

「惜しい。ヨーロッパに近いからだ。平戸や出島から江戸へ砂糖が運ばれた。高級品だったらしいぞ。だが佐賀長崎では砂糖を安く仕入れることができた。近いからな。江崎グリコや森永は佐賀生まれのメーカーだったはずだ」

「へー。詳しいんすね」

裏表もなくただ感心する千歳。

皮肉をいっているようすは見受けられない。

「佐賀出身の知人がいてね..」

夕張の脳裏にいたのは知人というより上司だった男。

「そういえば先任伍長殿はヨーロッパに行かれたんですよね?どうでした?」

「どうもなにも、演習に行っただけだ。ロイヤルネイビーを一隻で伸してやった」

「眉唾っす」

「よくそんな難しい言葉知ってたな。演習のあとはサッカーしたっけ。クリーグスマリーネ(独海軍)選抜チームと接戦で負けたっけな。あの試合の先制点を入れたのは俺なんだ。例の佐賀県民がゴール前にボールを運んだからドイツ人たちゴール前に集まってな?ちょうどコートのまん中にいた俺にロングパスが回ったときは唖然としたな。敵が動揺したところでこの黄金の右足よ。俺の華麗なシュートは記録にも残ってるぜ」

「..眉唾っす」

どうも真面目に聞いてもらえていないようだ。

「先任伍長ならてっきりテロリストに制圧されたイージス艦を奪還するくらいの経歴をきたしてたんすけど..」

「じゃ、お前が諜報組織の工作員やるか?」

「うっへ、マジ勘弁す」


「如何しました大臣。決済書類はまだ少し残っています。呆けている暇はありませんよ」

秘書がどんくさい生き物を見る目を向けてくる。

少しくらいは敬ってもいいんじゃないかなと思いつつも声に出したら何をされるか想像してしまった足柄は、大人しく判子を押す作業に戻った。

クーデターの一件で業務に滞りが出てしまい、官僚諸君は皆三日ほど家に帰っていない。

一部の人間のみがシャワーを許され、他の省外の人間と会う予定のないものはトイレと業務以外で席を立つことが許されていない。

だが、ついにそのデスマーチも今日で終わる。

足柄は秘書が差し出した最後の書類に高々と振り上げた判子を押した。

「もし押印に失敗していたら如何なさるおつもりでしたか聞かせていただきたいのですが」

「..」

「..」

「すみませんでした」

「はい」


二月二十三日。

日本は混乱期を終えて新体制へと切り替わりつつあったある日。

「足柄大臣!二打潜の潜水艦せとしおがハワイ沖で敵艦隊を捕捉!それを受けて米軍が艦隊をよう撃にまわしました!」

防衛省職員が駆け込んできた。

「あの海域には自衛隊は?」

「榛名上級一佐の艦隊が..」

「二打潜か..こちらには米軍からの援護要請は来ていない(ばってん、ほたっとったらあいつら“仲間ば見捨てよったー”っち喧伝すっちゃろうね..なら売り込むか?やっけど日本人死んぞ?現場に任すっか?さすがにそいは無責任やね...)」

どうしたものかと湯飲みを一瞥。

そこには茶柱が二本。

..いける、そう足柄は確信した。

「時雨統合幕僚本部長に繋げ」

机上に備え付けの電話のランプが一つ、緑に光る。

「私だ、足柄だ」

〈大臣。お話は?〉

「ああ。..できるか?」

統合幕僚本部長、時雨の返答は明瞭だった。

〈日本人の血は一滴も流さず、米軍を助けてみせましょう〉

「総理には私からいっておこう」

〈命令一下、即座に動けるように手配します〉


「総理。防衛省からです」

「あいつは野生のカンかなにかでもあるんじゃないかな」

机上に備え付けの電話のランプが一つ、緑に光る。

「私だ。ハワイだな?」

〈はい。潜水艦隊が一つ現地で遊弋しています〉

「いくらで売れると思う?」

〈面の皮の厚いアメリカ人のこと。踏み倒されるのが関の山かと〉

「..まぁいい、許可する。やつらに我々の力を知らしめせ」

高雄は受話器をおき、引き出しに入れてあるカリントウを食べはじめる。

ボリボリと咀嚼音。

今日はピーナッツ味のカリントウだ。

(あとで買い足さなきゃ......アメリカからのアクションはいまだにない。いつのまにか政府機能(ホワイトハウス)壊滅とか?まさかな。おそらくは日本の手を借りたくないのだろう。アメリカ国内世論は先のインド洋海戦で米海軍の出番を日本が奪ったと言い出している。海軍も実績を残さないと予算が下りないんだろうな..)


「時雨閣下。榛名上級一佐と繋がりました」

「よろしい。..上級一佐、こちらは統合幕僚本部長の時雨だ」

〈第二打撃潜水艦隊の榛名であります〉

潜水艦けんりゅうを旗艦とし、そうりゅう型三隻、おやしお型三隻で構成される潜水艦隊だ。

「米海軍の支援を開始しろ。私からは以上だ。健闘と無事の帰還を願う」

〈任務了承いたしました〉

時雨はそのままマイクを海上幕僚長の山城に渡す。

「海幕の山城だ。ブリーフィングを行う」

〈艦隊全艦に繋いでもかまいませんか?〉

「構わない」

榛名の接続完了の返答を待って、ブリーフィングが始まった。

「衛星に写った限りでは、敵は空母が四。戦艦が四。巡洋艦が一五。駆逐艦は三十程度と見られている。空母もジェラルドフォード相当の正規空母二杯、カヴール相当の軽空母二杯。戦艦はキーロフ相当の巡戦が四杯といったところ。巡洋艦はインドで金剛上級一佐の艦隊がやりあったものと同級。駆逐艦はうちのむらさめ相当だろう。潜水艦については不明」

〈我々で未確認のキャビテーションノイズを探知しています。双軸が六杯いるようです。タイフーン級相当の戦略潜です〉

エンタープライズはアメリカの原子力空母。

カヴールはイタリアの軽空母。

キーロフはロシアの原子力巡洋艦。

タイフーンはロシアの原子力潜水艦である。

おそらくインド洋海戦のときの日米印連合艦隊よりも強力だろう。

「輸送艦はいないようだが、軽空母が強襲揚陸艦ではない保証はない。ハワイを落とされればグアムに侵出される。大型から食え。旗艦が死ねば敵も浮き足立つはずだ」

〈米海軍との共同は?〉

「まだだ。連絡は総理がなさるはずだが、最悪即興で連携しろ。貴様らならできる」

〈..急速潜航!深さ四百!〉

一瞬のざわめきの後、いきなり通信途絶。

戦闘が始まったのだ。


榛名上級一佐は第二打撃潜水艦隊の司令官でもあり、旗艦けんりゅうの艦長でもある。

そもそも上級一佐とは、将補以上を地上勤務とし、佐官が艦隊指揮をとるという新編成のために作られた一佐と将補の間の階級で、水上艦においては旗艦の艦長は司令官の下につくが、潜水艦では旗艦の艦長が司令官を兼ねるため、同じ上級一佐といえど水上艦と潜水艦で違いがある。

もとは潜水艦にも司令官と艦長を分けようとしたのだが、いかんせん狭いので現場からの猛反発。

デスクワークを主にする士官からは、潜水艦は出世コースなどと言われている。

だが潜水艦乗りの証であるドルフィンマーク取得の道は、極めて厳しい。

後方の連中はそうやって揶揄するが、潜水艦艦長は実力派揃いであるため艦長が上級一佐として艦隊の指揮を執るのは正当な判断であるとの意見が主流だ。

「方位1-3-7、距離三万」

「一番二番注水。長魚雷装填」

「注水よし」

「敵は依然として速度および進路を維持」

「外扉開け」

ガコン..とかすかな震動。

「発射」


二本の89式魚雷が敵の円陣形の外周にいた駆逐艦二隻を穿つ。

それに前後して艦隊の五隻も魚雷を放っていた。

直径七十キロの敵の円陣形にいくつかほころびができた。

円陣形の進行方向から見て十一時から旗艦けんりゅうが。

十時方向からはやえしおとせとしお。

六時方向からはてんりゅうともちしお。

二時方向からずいりゅうだ。

戦果は駆逐艦七隻、軽巡二隻。

「敵潜に動きあり。詳細不明..こちらを探しているようではありませんが..」

「単魚雷で敵潜を食えるか?」

「射程が足りません」

「艦隊全艦に通達。無音潜航で包囲を狭めろ。海流にのれ。けんりゅう、ずいりゅう、てんりゅうが先行。敵潜を狙う。やえしおとせとしお、もちしおは後続。水上艦を狙え。それから、母艦はどうなってる?」

海自の潜水艦はすべて通常動力、ディーゼルだ。

AIP、非大気依存推進のスターリングエンジン搭載艦のそうりゅう型が三隻あるが、原子力潜水艦ではないため二週間の作戦行動が限界だ。

おやしお型三隻に至ってはAIPですらない。

よって潜水艦母艦が必要なのだ。

だが潜母は海自に二隻しかない。

再編成のときに建造されたのだ。

「潜母じゅんようは本艦の後方五十海里。敵の索敵圏外」

一海里=千八百五十二メートル。

コーン、コーン、と敵艦隊が放つアクティブソナーの森のなかを、海流に乗ってこっそり進む。

「こんなとき、海江田ならどうするか..」

「敵の旗艦にピンガーでもあてますか?」

「そうだな..敵の空母の真横に浮上して挨拶でもするか」

「それだと連装砲がついていないのが残念ですね」


「足柄大臣。榛名の艦隊が交戦を開始。アメリカはなんと?」

「だめだ。横須賀もハワイも黙りを決め込んでやがる」

奴さんたち勝手に死にたいらしい。

足柄は呆れたようにそう言った。

「そういえば霧島上級一佐の艦隊は?」

「一威偵ならフィリピンです。タイなどの海軍からは“漆黒の支配者(ドミナントオブナイトメア)”とあだ名されていますね」

現在展開中の艦隊のひとつ、霧島上級一佐の第一威力偵察艦隊。

護衛艦六隻全てを黒灰に塗装した夜戦の達人だ。

非ステルスの三隻を囮に、ステルス性能を“意識した”三隻が後背から痛撃をかます。

これを基本戦術にして、これまでに大小四十八隻を沈めている。

彼らが主戦場とする東南アジア海域には大規模なところでは自衛隊以外に中国海軍がいる。

彼らは数を頼みに攻めるため発見されやすく、しかし掃討にはうってつけだ。

結果、一威偵がメインディッシュを食らい、残りを中国海軍が始末する流れである。

「あそこを担当する中国海軍の指揮官は?」

「小官も提督までは網羅しておりません」

「まぁいい。中国にも常識的な判断ができる指揮官がいるのだな、と思ってな」

とんだ偏見である。

「党の指導部には下手に敵を作りたくない思惑があるんでしょう。たとえ霧島上級一佐の小艦隊相手でも勝ち目は薄いのですから」

「霧島なら嬉々としてなぶりものにするな」


「霧島提督!中国海軍よりリュウ提督がいらっしゃいました」

太平洋戦争中、日本海軍が米英蘭豪の海軍を相手に暴れまわった東南アジア。

第一威力偵察艦隊の霧島上級一佐は旗艦はるづきの艦橋にいた。

「提督?」

「シーっ」

くいくいと人指し指で速射砲を指す。

よく見ると、艦橋にいる全員が注視している。

「あれは..」

「あとでとっちめないとね」

水兵二人が速射砲の影で抱き合っていた。

残念ながらゲイカップルではない。

まるで私にたいする当て付けね、と不満気なこの女提督。

「艦長はまだ行き遅れのアラサーではありませんよ」

「艦長?嬉しいこと言ってくれるじゃないの。既婚者の余裕かしら?」

「船の上では既婚も未婚もありませんよ。異性との交際は禁止だっておっしゃったのは貴女です」

あのー、リュウ提督がー..まだ高校生のような新兵の声は、司令官と艦長の不毛な争いによりかきけされた。


「深度七十」

「速度二十五ノット」

場所は変わって光の届かない海中。

潜水艦けんりゅうは敵の空母のウェーキの中に隠れていた。

「ずいりゅう、てんりゅう共に空母B、Cにつきました。いつでも行けます」

「やえしお、せとしお、もちしお、戦艦A、B、Dにつきました」

ウェーキ(航跡)の中はハイリスクハイリターンだ。

ノイズが混じるためパッシブソナーは使えない。

そして常に衝突の危険がある。

一方、こちらのノイズも敵艦のエンジン音にかきけされるのでアンブッシュにはおあつらえむきだ。

「魚雷装填」

しばらくもしないうちに用意よし、と帰ってくる。

日頃の訓練の賜物により、海自潜水艦は世界最高峰の実力を誇り続けている。

「魚雷発射。急速潜航、深さ四百」


「提督がいらっしゃったのならはやく言ってくれないかしら?まったく気が弱いんだから..」

霧島はなぜ報告が遅れたかの原因が、自分にあることはわかっているようだ。

「お待たせして申し訳ありません、リュウ提督。海上自衛隊上級一佐の霧島です」

「いえいえ、おきになさらず」

霧島は行き遅れのアラサーに見えて、中身はかなり優秀である。

それに気づかない男が悪いのだ。(霧島談)

優秀な彼女は中国語だって流暢に話す。

「それでご用件は?」

空になったリュウ提督の湯飲みに烏龍茶を注ぐ水兵を尻目に、にこやかな笑顔と剣呑な色を湛えた瞳で霧島はリュウ提督を見据える。

「人民解放軍からの提案です。敵泊地に夜襲を仕掛けます」

リュウ提督も野獣めいた眼光を向ける。

「我々ばかりが得をする話ですね。乗れませんわ」

「..は?」

「敵は我々で殲滅しますもの。残敵も小粒が数えるほどしか残らないでしょう」

リュウ提督の口角が引き気味にすこしつり上がったのを霧島は見逃さなかった。

「我らはそちらの負担が大きすぎることを懸念しておりました。いつも通りに後方支援に徹するのも忍びないかと思い、お手伝いをさせていただこうかと思っておりましたもので..」

「あらそう?なら遠慮はいらないのね?」


「上級一佐、よろしいのですか?罠かもしれませんよ」

リュウ提督を見送った霧島はCICに向かった。

「罠は食いちぎるのがルールなのよ」

「..」

「あんたたち、よくお聞き!」

CICに入るなり、霧島は悪の秘密結社の女幹部めいて声をあげる。

「中国海軍からの提案で、私たちは敵泊地に夜襲をかけることになったわ。アプヴェーア(自衛隊の諜報組織のあだ名)の情報によると、ガダルカナルの敵泊地には空母がー。戦艦二がいるそうなの。ちなみに中国海軍からもらったデータにはそんなことは書いてなかったわ。いいこと?中国人は信頼しちゃだめよ?そして中国人は私たちが前を向いている間にバックハンドブロウをかます気でしょうね。いわゆる前門のアンノウン、後門の野蛮人ね。我々はこれを双方ともに撃沈破せしめる!気合い入れていくぞ野郎共!」

おおー!と気炎をあげる男たち。

たとえアラサーでも女性。

どうしようもない男の性である。

海流に乗ってこっそり移動するって、超変態的技術らしいです

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