如月の闇
二月七日。
「これは巡航ミサイルを撃ち込めば一瞬よ?わざわざ衛星を落とすまでもないわ。発破の訓練を受けた兵士でも十分じゃない」
「たしかに、これほど脆いとは思ってなかった。上申しよう」
ひとまず能代は大きく伸びをした。
潜入作戦に備えた特殊なスーツを着ているため、簡単には見つからないだろうがあまりにも緊張感に欠けるのではないだろうか。
幾重にも盗聴対策がなされた衛星電話で内務省に連絡する能代。
女もどこかに連絡している。
「...私は一旦北京へ行く。君はどうするんだ?」
「ベトナムに戻るわ。サイゴンの大使館にいることになってるの」
女は妖艶な笑みを浮かべるも一瞬でそれを消す。
静かな殺気がこぼれている。
「...無粋な輩だ」
「これだからアジア人はモテないのよ」
「日本人は別枠にしてくれ」
「訂正。これだからアジア人、特に日本人はモテないのよ。特に用もないし、急ぎましょう。それともナニかあるのかしら?」
先程より二段階くらい劣る、それでも十分魅力的な笑みを浮かべて能代を舐めるように見る。
「異議はない。行こう」
「OK Cherry boy. 私が前を行くからカバーよろしく」
「アイ、マム」
内務省から防衛省に、これまた厳重な盗聴対策を施した連絡が送られた。
「山峡ダムはすでに老朽化。工兵五人で発破可能。以上です」
足柄防衛大臣は緑茶を淹れながら職員の報告を聞く。
「統合参謀本部にまわして発破計画を立案させろ。あと星一号作戦は継続する。第二目標をロックしておけ。総理へは俺から言う..いや、日向がやってるか」
星一号作戦。
露見したら世界から袋叩きにされるかもしれない作戦だ。
おい、お前も飲め。
しかしそれを気にした風もない足柄が湯飲みをぐいっとさしだし、職員はとても苦い茶を飲まされた。
タン、タタタタタン、タタンタン。
「そういえば名前を未だに聞いていないな。サイゴンに旅行にいったとき頼りたいから教えてくれないか?」
「まだ早いわボーイ。もっと経験積んでから出直しておいで」
走りながら会話する。
タタタタタンタン。
雑多な中国兵が粗末な銃で追いかけてくる。
...元々ダムの西側にいたのにこの女ときたら東へ走りやがった。
世界最大の規模を誇る山峡ダム。
ちなみに貴重な遺産を水没させてできたダムだ。
下を見るとかなりの高さに足がすくむ。
タン。
こちらも正確に突出してきた敵をヘッドショットする。
イタリア製のベレッタ90-Twoはなかなかの高精度な拳銃だ。
スナイパーを避けて右に左に不規則に走りながら撃っても狙い通りに当たってくれる。
実際それは腕に依るところが大きいのだが。
「ここでいいわ」
ダムの真ん中、一番逃げ道からはほど遠いところでこの女は止まった。
ダムの両脇からは装甲車が入ってきている模様。
逃げ場のないところへ走ってきたこの女、頭が沸いてるのかもしれない。
「行くわよボーイ?」
そう言うだけ言って、突如女は能代のベルトをしっかりつかみダムの欄干から身を踊らせる。
崩れそうなダムの壁面が上から下に流れていく。
数秒にも満たない自由落下の後、スーツのベルトを通す部位が千切れる音。
そしてみぞおちがおもいっきり締め付けられた。
「ぅっ...」
足が振り子のように大きくふられ、そのときになって自分が頭から落ちていたことを知る。
みぞおちを絞めるベルトと自身のベルトをカラビナで結んだ女はいつの間に持ち込んだのやらパラシュートの糸を手繰って夜間飛行を開始した。
とはいえ辺りに見えるのはダムの上の中国兵が照らすサーチライトの光輪と、新月の夜空一面に広がる満天の星だけだ。
半端に開発されたダムの流域の建物も入居者はいないようで、大地は黒く空を行く二人を待ち構えていた。
内務省という組織は新参の組織でありながら(平成二十二年にできた)外務や財務、防衛とならんで主要行政機関となっている。
警察や公安を従え、治安維持と諜報を任務とする。
ちなみに諜報組織は防衛省にもあるが内務省発足に従い縮小された。
防衛省の諜報組織は海上自衛隊の一組織として陸空のそれを統一し、アプヴェーアとあだ名される。
〈ええ、そうです。なんとかなりませんか?〉
「たしかに、これは死にますね」
海上自衛隊情報処理隊。
広島県呉市におかれたその組織の業務の一つに内務省からの要請を秘密裏に処理するというものがある。
通常の縦割り行政では扱えない事案、例えばダムの上に取り残された諜報員の救出などは、もとが秘密作戦であるため情報の公開を可能な限り減らさねばならない。
「わかりました。所定の手はず通りに特殊作戦群を急行させます」
いくら諜報員が死にかけでも、いまだ縦割り行政ゆえに内務省が直接自衛隊の一部隊に指示を出すことはできない。
双方のお偉いさん方はどちらも不足の事態にそなえて相手の省に頭を下げることを嫌ったという大人の事情もある。
ゆえに茶番だ。
内務省は諜報員の行き先を他に伝えることは許されていない。
防衛省も国会の許可なく海外派遣はできない。
だが、たまたま防衛省を訪れた内務省職員が私物の書類を忘れ物をして、防衛省が自衛隊に海外での極秘演習を指示したとしてもそれは問題ではない。
公的な書類など存在しないのだから内務省職員に罰則はないし、公文書でないから防衛省職員が開けてしまっても問題ではない。
内務省発足以来そんな茶番が繰り返されてきたのは、ひとえに変化を嫌う役人根性のせいであった。
一応、それを是正せんとする一派もある。
それにこのようなルールを国会で承認してしまうということは、自衛隊の極秘潜入任務の存在を特定アジア諸国に知らしめてしまう恐れがあった。
現在政府の議会掌握はほぼ完了しているため反発はないだろうが、マスコミは何をしでかすか分かったものじゃない。
「ようやくお上から許可が出た」
「遅いですよ?」
「無茶言うな。いまだに縦割りなんだから」
真っ暗な森にうごめくモリゾー。
ギリースーツを纏った特殊作戦群だ。
数は十名。
完全武装してピックアップも用意しているが、名目上は演習である。
四人がおもむろに立ち上がり、川沿いに出ていった。
「これって国際法的にどうなんですか?」
「敵の軍服を着て撹乱するのは違法だな」
四名は人民解放軍の軍服を着ているおかげで、川沿いを警戒する中国兵からは怪しまれていない。
「いました。対岸を下流に八十ヤード」
「馬鹿が。回収地点は教えてあるはずだ」
「イギリス当局から苦情が来たらどうします?」
「ありのままを教えてやるさ。降下地点を間違えて捕虜になり、薄汚い中国人どもにさんざんレイプされて亡くなられました、とな」
中国人に先んじて見つけた諜報員だが、肝心の二人は対岸に降下していた。
「よし、プランDだ。かかれ」
スナイパーが静かに銃を構え、件の四名がいる場所から離れた地点にいる中国兵を撃つ。
続いてもう一人のスナイパーが対岸の敵を撃つ。
「移動する。阿呆が逃げ切ることを祈ろう」
川沿いに出た四人も行動を起こす。
狙撃されたと知り、賢しくも逃げ惑う中国兵を避けながら森に駆け込む。
制止の声がかかるも、しんがりの兵がサイレンサー付きの拳銃で頭蓋を撃ち貫く。
もんどりうって倒れる兵士。
各所で兵がどよめき、とどめに森の中から爆弾が飛んできたことでそれはパニックに変わった。
「ライフルグレネード、いいですよね」
「かさばるが高威力だからな。だがぐずぐずしている暇はないぞ」
06式小銃てき弾。
ちなみに製造はダイキン工業。
銃口の先につけて引き金を引くと、銃弾がグレネードを刺激してグレネードが放物線を描いて飛んでいくという代物だ。
手榴弾よりも遠くに撃てる(三百メートル程度)のが長所。
「しかしこれは極秘作戦ですよね。なんであんなに中国兵が..」
「阿呆が逢い引きしていたのは二枚舌王国の女間者だ。そこから漏れたのかもしれん。英国紳士の腹は光までもが呑み込まれたような色をしている」
途中で中国兵の軍服に身を包んだ四人とも合流し、森を東進しピックアップを目指す。
プランDは対岸に向かう場合の行動指針。
水上バイクで川を渡って回収に向かう。
敵兵は狙撃で足止めをするものの、いつ撃たれるかわからないという恐ろしさがある。
回収に成功し次第、水上バイクは投棄して現場を離れる。
すこし離れた地点でイギリスのヘリが待ち受けているはずだ。
「助かるわ..」
能代はおそらく発動しているであろうプランDのために降下地点から川を目指していた。
イギリスの工作員の女は着地の際に足首を挫いたため能代の背中に乗っている。
「敵は?」
「いないみたいよ」
背中に成人女性をおぶっているとは思えない足取りで能代は森を抜けた。
(嬉しくないな..)
しかし表情はあまり冴えない。
けっして女の豊かな双丘が背中に密着しているからではない。
首に回された腕がいつでも息の根を止められるようにガッチリロックされているからだ。
憎らしいことに女は重心を少し後ろに引いていて、一歩一歩進むたびに能代の呼吸が阻害されることはない。
だが喉仏が少し圧迫されているため呼吸がしにくい。
潜入任務の最後にこの仕打ちだ。
置き去りにされるのを防ぐために首を押さえているのだろうが、もっと信用してくれてもいいんじゃないかなと能代は考えるのだった。
「あとは運を天に任すのみ..」
「来たぞ!回収急げ!」
想定よりも一分早く森を抜けてきた二人を赤外線ゴーグルで視認。
手はず通りに二台あるうちの一方からピックアップから水上バイクを引っ張り出す。
「全周警戒!」
「ダムより敵のヘリが接近。機種不明」
「下流より装甲車!」
バタタタタ、と夜空に不気味な羽音が響いてくる。
装甲車の音はヘリにかき消されているが、じきに聞こえてくるだろう。
「ここで捕まるわけにはいかん。何としてでも生還するぞ」
「こんなことならスティンガーでも持ってくるんだった」
「使い捨て無誘導無反動砲で我慢しろ。ほら、持て」
ヘリ最大の敵であるスティンガー(ないし歩兵が携行する地対空誘導ミサイルの類)は、潜入任務の都合上持ち込めなかった。
無反動砲は使い捨てを一発のみ持ち込んだのみだ。
「後方の安全を確認。撃て」
集中して無反動砲を構える兵士のそばに立ち、無反動砲の後ろから吹き出す炎で仲間がウェルダンにならないように控えていた兵士が射手の肩を叩く。
バシュウ、としまりのない音と共に砲弾が飛んでいく。
「ファッキンシット!」
「隊長、避けられた!」
「ステンバーイ....ゴウ」
重い音が響き、十二、七ミリの弾丸が闇夜を切り裂き飛翔する。
「ナイスショット」
見事装甲車のドライバーを防弾ガラスごしに射ぬく。
「さすが中国製防弾ガラス」
「まぁ、中国製なんだ。察してやれ」
「...おいお前ら、ヘリが健在だ。何とかするぞ」
隊長が檄を飛ばし、幌のないほうのピックアップの運転席の屋根を支えにしていたスナイパーと、幌のあるほうのピックアップの中から後方の歩兵を牽制していたスナイパーが揃ってヘリを狙う。
「お前はいいよな、対物で」
「そういえば狙撃兵がピックアップにのったアフリカ民兵を始末していたらヘリが来て、スポッターが死んだってな映画があったよな」
「極大射程。縁起でもないことを言うなよ」
二人の狙撃兵はそれぞれヘリのコクピットとエンジンを狙う。
「だめだ!てんで効果がない!」
「乗り込めノロマ!」
能代はよたよたと水上バイクの後部座席にまたがる。
疲労ではない。
女が何が気にくわないのか知れないが、ふくらはぎをげしげしと数分に渡り理不尽に蹴りつけたのだ。
やはり置き去りにすべきだったのだ。
能代は地上をバイクで追いかけてきた中国兵を拳銃で射殺しつつ女のヘッドロックを外しにかかる。
「あなた私を落とすつもり?」
「だったら少し緩めてくれ」
「特殊作戦群には負傷者なし。内務省エージェントが入院中。全治一か月。さすがだ一佐。これでこそ陸自最強の部隊だよ」
二月十日の防衛省。
足柄防衛大臣は緑茶を淹れながら官僚の報告を聞く。
「ダムの発破は警戒されるでしょうね」
「なら警備ごと粉砕するか。できるよな?」
「不可能ではないでしょうが、無駄が多すぎます。戦争大好き(ウォーモンガー)アメリカ人でもけしかけるべきではないでしょうか...」
そこまでいったところで官僚の顔が少し青ざめる。
「ん、ん。...そうならないように外務省が働いてくれればいいんだが..」
咳払いをしつつ外務省を憂う。
中国韓国に媚びた官僚が多いことで知られる外務省。
外務大臣の伊勢が必死で膿を取り除こうと奮闘するが、中堅以下のマトモな層の取り込みにうまくいっていない。
上層部と同一のレッテルを張られてしまったらしい。
「無能は八日の会議でもだったな」
二月八日、カイロにて敵方からの交渉要請があった。
敵の指揮官はテレビ中継でもわかるほど、とにかく存在感があった。
会議は欧州主導で各国が停戦に向けて合意しかけたところで米中が継戦を主張。
あろうことか外務省が派遣した官僚はそれに対して異議を唱えなかったのだ。
そしてひどいことに、交渉前の欧州各国との合意では米中と距離をおいて和平側に着くことを確約していた。
政府の意向を無視した彼は即日で首にされ、直後行方不明となった。
敵は停戦交渉は決裂し、アフリカを北上中。
東南アジアの遅滞戦術を行っている戦線もジャワの辺りまで来た。
ジャングル独特の地形と生態に悩まされつつも頑張っているという。
(おそらくこの間のロシアから頂戴したデータ、あれの存在がばれたかな?そこから揺さぶりをかけられたのだろう。首根っこを掴んでいたのは我々だと言うのに!..日向が提唱する例の計画、のるべきなのか?)
「大臣、いかがなさいました?」
「..君は組織と国民。どちらに忠を尽くす?」
「....なにを...なさるおつもりですか?」
内務大臣の日向は、秋葉のスタバでとくに代わり映えのしないカフェラテを飲んでいた。
SPが数人周囲をそれとなく囲んでいるが、風景に溶け込んでいてぱっと見無防備だ。
そもそも日向自身が目立たないなりに身をやつしている上、もともと目立たない術を身につけた人間であるからなのだ。
(作戦名がおもいつかない....こう、オトコノコの心をくすぐる中二ワードをだな..オペレーション:漆黒の炎....地味だ。オーソドックスなのじゃ駄目なんだ。歴史書に‘中二病をこじらせた大臣がいた’とだけしか書かれない!)
内務省は歴史の新しい組織だ。
ゆえに官僚に媚中派はいない。
採用の際に徹底した身辺、思想調査が行われもする。
ちなみに防衛省も同様に特定の国に入れ込んだ連中は主要な職からはずされている。
「大臣、お時間です。それと..」
「..そうか..行こう」
SPに促されて駐車場へ。
サングラスをかけた日向が黒服数名を従えて歩いている姿はマフィアか何かに見える。
日向が乗り込んだ黒いバンのなかにはモニターが並び、モニターの向こう側には上品なスーツの白人男性がいた。
〈どうも、ミスター日向。まるでマフィアみたいな風体だな〉
「どうも、ミスタートップ。いつか..そうだ、五年前にウィーンで会って以来だな」
エーリヒ=トップ。
ドイツの駐日大使だ。
〈三年前にバンコクで会っているじゃないか〉
「そうだったな。で?昔話をしに来たわけではあるまいな?」
〈そうだ。この前のカイロの会議のことで日本政府に抗議をだな〉
ドイツは和平側の最先鋒だった。
ヨアヒム=シュプケドイツ首相の怒りは凄まじく、カイロからの帰りの便で暴れまわって機が墜落しかけたそうだ。
〈貴国の外務省は何の役にもたたない。いつまでもたついているんだ?..あぁ、これは極秘回線だよな?〉
「極秘回線だ。だがな、いい作戦名が思いつかないんだ」
トップの言葉はドイツ政府の意見であるとみていいだろう。
しかし内密に進めていた工作がドイツにまで漏れているとは。
内務省が今年になってやって来たことは、まず国会議員の取り込み。
設立以来集めてきた議員の弱味をちらつかせて正体不明の敵に対する自衛隊の防衛出動を認めさせた。
そして中国やアメリカを中心に世界各国に工作員を送り込んだ。
一方外務省は特に何もやってない。
というか足を引っ張っただけだ。
在エジプト日本大使館はうまくやったのだが、本庁から来た官僚がぶち壊しにしてしまった。
〈名前?〉
「案はあるし内閣府、総務、文科、厚生、農水、経産、国交、環境からは承諾された。漏れる前に動かないといかんな..あと外務大臣の伊勢にも伝えられている。やつはこちらの人間だ。防衛と財務と法務がまだだが..ちょうど今法務から来た。那智と足柄ももうすぐ決める。というか決める以外に道はない」
〈んで、案はあっても作戦名が決まらなくて悩んでいたか?お前は変わらないな。ドレスデンでも、ウラジオストクでも、サクラメントでも、モナコでも、ウィーンでも、バンコクでも。そんな小さなことにいつも拘る〉
「悪いな、性分だ。で、何かないか?」
〈Freiheit...どうだ〉
それは自由を意味する言葉。
「フライハイト..却下。ああ、ちょうど財務も金貨の持ちすぎで曲がった腰を落ち着けたようだ」
〈のこるは防衛大臣だけか。作戦の要だしな〉
足柄からの連絡はまだない。
〈..すまない日向、所用だ。また会おう。グーテンナハト〉
「ああ。よい夜を」
「私だ、足柄だ。時間いいか?」
湯飲みに茶柱がたっている。
〈遅いぞ足柄。決めたか?〉
「日向。会って話がしたい」
二本の茶柱がたっている。
〈明日の朝イチなら〉
日が昇る前の九段下を中年二人が歩く。
ランニング中の平均的なサラリマンに会釈しつつ、緑茶を入れた魔法瓶を大事に抱えながら足柄は切り出した。
「お前の持ってきた商談..確実に成功するだろう。外務省を追われた連中の天下り先も確保した。すべて無害なところだ。すべては完璧、お前は最高の策士だ」
「当然さ」
緑茶を一杯、歩きつつ飲む。
「経済に与える影響も、政治に与える影響も、すべて計算された。だがな..」
「お前たちの力がないとこの商談は成就しない。それは国家の損失だ」
自販機で日向がコーヒーを一本買う。
「他の大臣は誰も何も言わないが、アプヴェーアを擁する我々だから知ることもある。例えば、」
「PMCメタルアージ。鋼の衝動か..だっせー名前だとは思わんか?足柄よ」
ちなみに日向は昨日と似たようなマフィアファッションで、足柄はこれまたヤクザファッションだ。
護衛の黒服も付かず離れず囲っている。
「外務省媚中派が極秘に雇い入れたPMC。あろうことか外部の武装組織を国内、しかも皇居の近くのビルに潜伏させるとは..」
メタルアージ、人民解放軍の精鋭連中を一般商社の社員として日本に入り込んでいる。
ちなみにその商社は中国資本の会社で、日本人社員も多い。
「アプヴェーアではついにその存在しかわからなかったよ」
「雇った外務次官の逮捕状は外患誘致で法務の五十鈴さんにまかしてるよ。うちで探ったところ、対戦車、対ヘリが一杯持ち込まれてた」
ゆっくりと歩き、横断歩道で道を譲ってくれたタクシーに会釈。
「うちの官僚にも媚中ではないが頭が固いやつは残ってるしな..」
まだ人影まばらな並木を行く。
「まぁ、パージするんだが」
何の気なしに二手に別れて記念碑を通る。
「焼却炉も用意した」
手を清める。
二拝二拍一拝。
厳かな雰囲気に包まれて参拝。
「他の大臣は誰も何も知らないんだろうな。だが矢面に立つのは俺たちだ。情報がほしい」
「外務省潰しに積極的だったお前の返事が一番遅いのは部隊抽出について揉めてたからか?」
「そこは制服組の仕事さ。兵を出すかどうかで次官と揉めてね」
最悪次官から漏れてるかモ..と足柄は呟く。
「奴らも独自の情報網を持つ。今も監視されているようにな」
「日本人に化けて都内を、か。今も背中に赤外線ポインターの赤い光点がついてないか心配だよ。怪しいタクシーもいるしな..」
「安心しろ、ここは英霊のおわすところ。愛国者には彼らの加護があるはずだ」
「聖域にまで踏み込んできよるか..亜人どもめ」
黒服も見た目こそ落ち着いているが、内心ひどく殺気だっている。
指パッチン一つで境内に鮮血の華が咲くだろう。
「亜人どもが動く前に、なんとかして石頭の官僚を黙らせよう。高雄総理がいる限り自衛隊は我らの陣営よ」
「外務以外の賊の芽も摘まにゃならんな」
「まったくだ」
某A大学校の推薦試験を受けることになりました
赤点とか取ったことあるのによく会議通ったな、って思います。
これで安心して推薦入試の日まで艦これに励めますね。




