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喪失夢幻のアトラクタ  作者: 木原ゆう
第一章 真性異言のヘミシンク
5/17

05奇襲+《sneakAttack》=周忌


00:30:54

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □





「・・・」


 出た。

 ……マジで……出た……。


「れ・・・」


「?(にこっ)」


 俺のメーターと言うメーターは振り切れて壊れますた。


「レイナちゅわああああああああああああああああああんん!!!!!!!」


 俺は理想の女性にハグするべく涙と鼻水を垂らしながらも手を大きく広げ、地面を蹴る。


「《レイニー・スプラッシュ》!!」


 目の前の理想の女性は飛び掛かろうとする俺に向かい、脇に抱えていた細剣を連続で突き出してきた。

 そして見事に俺の全身に突き刺さりました。


「痛ぇよ!!何すんの!?全部刺さったよ!何で生きてんの俺ェっ!?」


 混乱した俺は思った事を一気に喚き散らす。

 俺の全身は風穴だらけ。


「聖なる刃に裁きの力を!《シャイン・ブレイド》!!」


 居合いのポーズからお決まりの台詞を叫び、俺目掛けて超必殺技を繰り出す理想の女性。

 異空間から光を帯びた巨大な斬馬刀が現れ、俺の身体を横一文字に真っ二つ。

 これ喰らったら死ぬに決まってるお!


「終わったあああああああ!!!俺の人生、理想の嫁に真っ二つにされて終わったああああああ!!!!」


 真っ二つにされ、穴だらけにされた俺は後方にすっ飛ぶ。

 いきなり死ぬのかよ俺……。

 せめてちょっとぐらいハグとかしたかったな……。

 でもやっぱレイナちゃんはかわゆくてかっくいいよな…///

 あんな子にぶち殺されるなら本望っしょ、俺。

 ある意味理想の死に方?


 ……ごめんな、麗佳れいか


 お兄ちゃんは……この夢の世界でお星様になりました……。





◆◇◆◇





 お星様になってませんでした。


「……おい…。何で生きてんだよ、俺……」


 何か風穴開けられた部分が妙に『揺らいでいる』感じ?

 なんだろ…ぼやけている?ユラユラと陽炎みたいに揺らいでいる…そんな感じ?

 てか血も噴出さねぇし、それ以前に胴から真っ二つにされてんのに意識があるってどゆこと?


「……夢、だから?」


 俺は上半身だけでその場に起き上がる。

 身体の再生は……されないみたいっすね……。

 俺は自分の身体が『再生』されるようにイメージする。

 てか『回復魔法』のイメージとかの方が俺には向いてんのかな……。


「癒しの力よ!我が全身を包み込め!《オールオーバー・ザ・ヒール》!!」


 とか適当に叫んでみる。


「・・・」


 ・・・。


「…………あり?」


 俺はそのままの姿勢で頭上を確認する。





00:24:42

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □





「あー……目盛りがー……無いっす」


 確か氷魔法を唱えた後、残りの目盛りが7つくらい残っていたはず……。

 てことは、レイナちゅわんを『具現化』するのに、残り7つの目盛りを全て使いきっちまったって訳か……。


「あれ……?じゃあ……俺、このまんまなの……?」


 上半身だけで、風穴開きまくりで、傷が付いていないのは顔くらい?

 どこのゾンビキャラだよ俺!


 と、向こうからレイナちゅわんが剣を鞘に仕舞いながらもこっちに近付いて来る。


「・・・」


「・・・」


 沈黙。


「・・・」


「…………あのぅ……?」


 堪らず話しかける俺。

 てかこの状態だと俺の顔の位置がレイナちゅわんの股間の位置に…///


「………貴方は一体……何者なの……?」


 俺を見下ろしながらもそう聞くレイナちゅわん(…ちょっと俺ウザイから普通に呼ぼう…)、もといレイナ・ノーザンヴェルネス。

 俺の嵌っている格闘ゲームに登場する女剣士キャラ。

 その子が俺を見下ろしている。

 すっごい怪訝な顔をしながら。

 萌ェ…///


「……聞いているの?私の話を……?」


「……はっ!……あ、はい、聞いてます。すいません…。そして謝罪ついでにお願いが……」


「?……お願い?……何かしら。」


「俺の嫁になって下さい」


「……はあ?」


 駄目だ俺。こんな説明じゃぁ、俺の気持ちは伝わらないだろ。


「あ、いや、嫁というのは肉体的なものも勿論なんですが、精神的にも支え合いたいというか、そもそも既にレイナは俺の嫁だし?あ、交際からスタートとかでも良いですけど、最終的には裸エプロンとかは捨てられません。あ、あと俺の事はいつも通りに『あっくん』とか呼んでくれても良いんですけど、最初の恋愛パートで盛り上がるまでは『八神くん』の方が後々良いのかなぁなんて思ってもいます。それと……」


「ちょ、ちょっと待ちなさい!……貴方は一体……何を言っているのかしら……?」


 あれ?まだ伝わらない?俺の気持ち。


「ですから、俺はレイナが好きだし、レイナも俺の事が好きだって、俺の事しか見えないって、散々言ってくれてましたよね?俺もその気持ちに応えたし、これからも応えて行くつもりです。あ、でも、俺の嫁は常時5人ほどは確保させてもらっていますんで、どうしてもお相手出来るのは日替わりになってしまう事は了承して下さい。それと裸エプロンの件なんですが……」


「だからっ!待ちなさいってのっ!!!」


 いきなり俺の口元に細剣を突き出してきたレイナ。


「むぐぅ……」


 何だよ…。喋れネェじゃんかよ……これじゃぁ……。


「さっきから何を訳の分らない事をペラペラと……。身体を真っ二つにしても生きているし……。何なの貴方は?答えなさい!」


 いやだから……この状態で喋ったら舌がすとーーんって……。

 でもそのツンデレモードも萌ェ……///


「な、何よ……その気持ち悪い笑みは……。貴方は一体何なのよ!」


 何なのよって……。



 ただの二次元&ゲームオタクですけど何か?



















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