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喪失夢幻のアトラクタ  作者: 木原ゆう
第一章 真性異言のヘミシンク
3/17

03出現+《eMergenCe》=幻堕


 目を覚ます。


 なんか尻が痛ぇ。何だ……?


 俺は尻を叩きながらも立ち上がる。


「・・・」


 俺は目をこしこしする。


「…………あれ?」


 何か平原とか広がってるね。


「…………平原とか……広がってるね………」


 平原。広がってるね。


「・・・」


 ……そうか。そうだよな。そりゃそうだ。

 だって俺、さっき寝たもんな。うん。確かに寝た。

 という事はあれだ、夢だこれ。

 いつも見てたじゃん。こういう夢。ファンタジーな夢。

 おぼろげにしか覚えて無ぇけど、いつもこんな感じじゃなかったか?


「………夢……ですよね……」


 俺は手の平を開いたり閉じたり。

 腰をグルグル回してみたり、ちょっとジャンプしてみたり。……夢?……これが?


「……うーん……。夢にしちゃあ……なんかこう、意識がはっきりし過ぎてるというか……」


 ……まあー……いっか。夢以外にありえ無ぇし。

 なんか、前どこかでこういうの聞いた事があったな。

 夢の中だけど意識が非常に強い状態?……なんつったっけなぁ……なんかあったよなぁ…そういうの……。


「……ああっ!めんどくせっ!考えんのはいいや!取り合えず、なんだ……夢の世界を楽しもうではないか!」


 ……とは言っても何をしよう。


「……てか喉渇いたなぁ……。そういや俺、学校から帰ってから何も飲んでねぇよな……」


 しかも夢の中でも喉が渇くという有様。

 俺よっぽど現実でも喉渇いてるって事だよな、これ。

 あー、コーラ飲みてぇー。

 あのシュワシュワッとした黒い添加物がいっぱい入った身体に悪い飲み物……。

 大きめのかち割り氷が入ったストロー付きの大きめのガラスコップ……。

 ああ……目覚めたらソッコで飲むぞソッコで……。


 と、次の瞬間パチンッと甲高い音が鳴った。


「……ッ!……なんだあ……?静電気……?」


 目をパチクリさせる俺。

 そしたら目の前に。


 美味しそうなコーラが置かれておりましたとさ。






◆◇◆◇







「意味わかんねぇんだけど……」


 とか言いながらも俺は地面に置かれたコーラを手に持ち、美味しく頂く。


「…………ゲフッ」


 うん。紛れもないコーラだね。俺の好きな味の奴。

 今さあ、ゼロカロリーとか復刻版?とかさあ、色々出てんだけど、結局は通常版がいっちゃん最高って言うかさあ……。


「……じゃなくて!」


 俺は飲み干したコップを地面に投げ捨てる。


「何で味すんの!?ここ夢でしょ!?てか俺も俺だよ!何でいきなり現れたコーラを平然と飲み干してんだよっ!」


 俺の叫び声が平原を駆け抜ける。

 、と頭上に何かが浮かび上がっているのに気付く俺。


「……なんだ……これ?」





01:25:35

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □






「……何か時間、みたいなのと……なんだぁ?目盛り?……一個減ってるけど……」


 俺は思考する。


 ここは夢の世界……だと思う。

 やけに感覚がはっきりとはしているが、いきなりイメージしたコーラが出現するなんて、夢以外にありえねぇ。

 味もしっかり感じたし、まるでリアルの世界のようだが、ここは夢の世界。そうしておこう。うん。

 で、あの上にあるやつ。

 今も一定のペースで数字が減って行っている所を見ると、どう考えても『時間』だよな、あれ……。

 何で夢の世界なのにあんな…そう、あんな『制限時間』みたいなのが表示されてるんだろう。しかも空中に。


「……あれ?……そういやあ、あの音楽CD……」


 ……そうだ。確かあのCDの再生時間が『90分』だった事を思い出した……。

 もう一度俺は頭上を確認する。表記は『01:24:12』となっている。


「……俺があのCDを聞いて寝ちまった時は……確か3~4分くらい聞いた後だったよな……」


 ならば頭上に表記されている数字は、あの音楽CDの残りの再生時間…て事かよ…。余計意味ふ。


「……何か変な夢だなー…。カウントダウン始めちゃう夢なんて…俺初めて見たよ……」


 ……まあいいや。深く考えても仕様がねぇだろ……。

 あー、後はあれだ。何か目盛りのやつ。……なんで一個減ってんだ?


「………もしかして?」


 俺は試しにもう一度コーラをイメージする。

 別にもう飲みたくは無いが、試してみる価値はあると思っただけ。


 次の瞬間、またしてもパチンッと音がしてコーラが出現。

 俺はコーラには手を出さずに頭上の目盛りを確認する。





01:19:58

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □ □





 目盛りがもう一つ消えていた。


「……はっはーん……謎が解けたぜ俺天才☆」


 つまりはこういう事だ諸君!

 一個イメージする毎に一個目盛りが消費されて行くんだな!俺、名探偵!

 ……………うん、名探偵……。


 何か分らんが、この夢は『イメージを具現化する夢』っぽい。何でか知らんけど。

 ならばやる事はただ一つ。

 一体『どこまで』具現化出来るのか試すまで!


「……おおおっし!せっかくだしガンガンイメージしてみっかあ!!」





・・・




 20分後。


 俺の周りは具現化したものばっかになりました。


 以下、具現化出来た物と出来なかった物のまとめ。



【具現化出来た物】

・コーラ(コップ、ストロー付き)×2

・鉛筆

・消しゴム

・石

・布

・何か鉄の板

・洗濯バサミ

・輪ゴム

・靴下(穴空いてんだけど)



【具現化出来なかった物】

・時計

・携帯ゲーム機

・携帯電話

・テレビ

・パソコン

・洗濯機

・冷蔵庫

・カメラ

・アイロン(なんでイメージしたのか知らん)

・蛙

・犬

・ゴキブリ(なんでイメージしたのか知らん)




 ……こんな感じ。


 ちょっと疲れた俺は地面に胡坐をかきながら頭上に視線をやる。





01:05:11

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □







「……やっぱ目盛りは一個具現化するごとに一個減るんか……」


 そしてもう一つ分った事。

 機器類とか生き物とか、そういった複雑なものは具現化できないっぽい事。

 多分、あれだ。俺のイメージ力の問題だな、きっと。

 電子機器の中身の構造とかもちろん全然知らんし。

 生き物の構造なんてもっと知らんし。てかそこまでイメージできたら俺天才じゃん……。


「あー……後はなんだろう……。俺がイメージしやすいもの……。俺にしかイメージ出来なさそうなもの……」


 こんなオタクでゲームばっかやってて、アニメばっか見てて三次元捨てて二次元にひた走っている俺にイメージ出来るものなんてこれ以上……。


「・・・」


 これ以上……。


「・・・」


 ……あんじゃん。イメージ出来るものなんて、いっぱい。


「……いやー……でも……流石に……ねぇ?」


 具現化された石に話しかける俺。

 正直痛い光景にしか見えないが。


「……でも……もしかしたら、いけんじゃね?」



 そして具現化しちゃいました。色々と。



















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